潜入!スイス裏事情編
以前より某掲示板等でまことしやかにささやかれていた噂・・・。
雑誌では広告主が神なので口が裂けても話題にされる事は無かったタブー。
それは!!
※ETAの機械ってタイで作ってるみたいよ。
※ETAとは主にスウォッチグループ傘下のブランドに機械式、クオーツ式の機械を供給している会社。
数が揃えばその他のブランドにも機械を供給していましたが、中国で偽時計への流出が深刻になったので、
現在は流通を規制して傘下ブランド以外には基本的に供給してあげない!と殿様商売を始めました。
私も以前にオ○ガのクオーツの修理依頼を受けた際に、
文字盤裏に書かれたMADE IN THAILANDのスタンプを確認したことがあります。
んが、文字盤表と機械にはSWISS表記・・。
イエーイ!遂に72回ローンでベンツ買っちゃった!!とはしゃいでみたものの、
調べてみたらインドと中国のハイブリッド組み立てだったら嫌ですよね?
そんな気分です。
以前に香港のアンディー君から“アー・イティエー・タイにもコウチョウアルヨ”と、
工場の住所が記載された香港時計業界時報のパンフレットをゲット。
業務内容は、
1、時計全般部品の製作と輸出入業務
2、時計機械(クロノグラフ含む各機械と記載)、腕時計の組み立て
3、各クオーツモジュール(水晶、基盤他)の生産業務・・・・
コレはもうネタ探しの旅に決定です。
ほんとはタヒチかコートダジュール辺りにでもバカンスに行こうかと思っていたのですが、
ETAのタイの住所は本当なのかと以前から気になっておりましたので、
急遽、タイ行きチケットと現地ガイドのみを手配し、
成田国際机場(チョンディエン・ゴッザイゲイジョン)へ向かいました。
ビジネスクラスにでも乗ろうかなーと思いましたが、HISのHPの価格を見て瞬殺でエコノミー に決定。
近くのシートには英語に翻訳された会話ををBBCで衛星放送されたら国家間の争いになるのでは?
と思わせる下ネタインテリジェンスに富んだ、ナイスミドルの日本語での会話をBGMに6時間の空の旅。
素敵な紳士達が雁首並べてタイの国際空港に到着。
怪しい現地アテンダントが名前が書かれたボードを必死に掲げて入国者を出迎えてくれます。
血走ったパッチリクリクリした三白眼で見つめられると怖いですね。
中にはそのままどこぞに連れて行かれてミッシング(行方不明)になる人もいるそうなのでドキドキです。
左)アイドル気分を堪能できる空港到着口 右)空港内はとても綺麗です。
左)カラフルなタクシー 右)警察車両>カッコいいですね。
私が手配したガイドさんに名前を伝えてありましたので、
ボードに私の名前を探して無事に合流。
ちょっとネタの仕込みで、ファイブを着用している空港職員とタイ人を探してみましたが、
残念な事にファイブは発見できませんでした・・・。
2泊3日の強行スケジュールの為に先ずは首都バンコクのホテルに宿泊。
最高級のデラックス・インペリアル・ラグジュアリールームですww
長旅の疲れを癒そうとベットで横になるとドアをノックする音が・・・
まさかETAの回し者が!とは思いませんでしたが、
ドアを開けるとボーイ君が何やら夜の語学学校へのお誘い。
疲れているので丁重にお断りして就寝。
翌朝、タイ人ガイドさんのタナクリットさんが車でお迎えに来てくれました。
ここでETAの工場の住所が書かれたパンフレットを見せて案内してもらうことなりました。
このHPの趣旨を説明し、産業スパイの疑いを晴らしてから出発です。
ドライバーさんによるとここから50キロほど離れた工場団地の外れにあるそうです。
一路、高速道路を飛ばして工場団地近くのランプで降り、一般道をひた走ります。
右)ハイウェイをひた走り・・・・ 左)異様に水位が高い運河が右手に見えます。 海抜ほとんどゼロ。
どう見てもスイスの澄んだ空気、諏訪の美しい山々が連なる場所とは違い、
アスファルト舗装が途切れ、道は地盤沈下のために水没したりと時計工場が本当にあるのだろうか?
そのうちサンダードームでも出現するのではと期待。
雨季にはこの辺りは水没するそうです。
既に水没してましたw
と、トラックが巻き上げる砂塵を浴びながらしばらく湿地帯の中の道を走ると・・・・。
ありましたw
ETA(THAILAND)Co.,Ltd.って書いてありますw
ちゃんと屋号まで書いてありますので間違いありません。
工場のある団地は※1保税工場団地のようで、第2次加工業(化学薬品含む)の工場が多いところです。
日本ですと塀で一帯を囲み一般の立ち入りはできませんが、
なぜかゲートすら無いのでおじゃましてみました。
※1保税工場というのは輸入した材料を加工、組み立てした後に輸出する為の工場で、
一定期限内に完成したものを輸出する条件下で関税を免税、若しくは大幅減税が適用されます。
例えば、日本、中国等の第三国から材料をタイに輸入して、
タイで安い人件費と関税率を利用して加工組み立てをしてスイスに輸出します。
タイの某時計商にお伺いしたところ、タイで作った高級ラインのクオーツもスイスに輸出してからタイに輸入されるそうです。
※2完成した部品をスイスに輸出して、最終組み立てをすればメイドインスイスと認められます。
これですと丁度、第三国の日本、中国→タイ→ヨーロッパと輸送コストも節約できますね。
んが、スイス製の時計って何故か文字盤や機械にはSWISSとしか書いていない物も多々ありますね。
メイドインスイスと書けない複雑な事情があるのかもしれません・・・・良く知りませんが・・。
※2最近は組み込まれたパーツのパーセンテージで定義されるようになりました。
道理でドイツ製とか言う変な時計が増えた訳だw
表は警備員がボケーと突っ立っておりますので、とりあえず見学し放題の裏から偵察。
左)左からエアコンコンプ3基+ガスタンク置き場+トランス 右)左から浄化装置?、エアコンコンプ2台
ぱっと見で工場2棟には大きな窓が無く、閉め切られた状態なので内部はクリーンルームと思われます。
窓の配置と柱の作りと高さから内部は数階に分かれているのでしょうか?
工場は部品製作をしているようで、大きなトランスが4基、
普通のショッピングセンターより巨大なエアコン用のコンプレッサーが5基並びます。
コンプレッサーはビル用に一基、工場用に各2基の計5基が使用されていると思われます。
また、コンプレッサー3基の横にブロックを積み重ねたガスボンベ置き場が見え、
トランスの横にはポンプと大口径のPVC樹脂製のパイプが見えるので排水施設?のようです。
写真右側に大型ポンプが見えます。青いのはPVC管です。
大きなビルはオフィス用?組み立て工場なのでしょうか?
窓の大きさと数からして、ビル内は組み立て工場と勝手に推測。
オフィス用でしたら窓が大きく数も多いからですと妄想。
裏には窓が無い構造ですので、自然光を使わずに蛍光灯下で作業するのに最適な構造ですね。
規模からして様々な物を作っていると妄想。
ま、まさか・・機械式時計部品をはじめ、スウォッチグループの何かを下請け製作しているのでは・・・・。
2棟ある三角工場は部品製作工場と思われます。
トランスから工場内にケーブルが引き込まれていますので、大型?工作機を数多く運用しているようです。
窓から工作機械か配電盤らしき物が見えます。
タイ人従業員がワラワラと精密作業用着を着たままで砂塵が舞う外で何やら手を洗っているようです。
写真右の左下にアイスクリームボックスが見えますので、
キャンティーン(食堂)で食事でもしたのでしょうか?作業着着たままで・・・・。
流石はマイペンライのお国柄ですね♪って、オイ!写真右の消火ホース入って無いww
因みに中に入れませんでしたので、グーグルアースで工場を衛星写真で確認してみました。
これは時計部品工場としては相当な規模の工場ですね。何作っているんでしょうか?
写真で分かるのは工場の天井に採光用の天窓や換気口がありません。
せっかくここまで来たので、工場の表からも車内から撮影してみますた。
表には普通にセクションごとの作業内容(業務内容)の看板が1番から26番まで掛かっておりました。
4番の看板は秘密の内容なのか? 2番の社食はやはり辛いタイ料理なのでしょうか?
この辺りは地板類、歯車等の金属加工のようですね。
12番は地板類のめっき工程でしょうか?17番は太陽光線ですが、なにするのでしょう??
ここはクオーツモジュール専門のようですが、18番の印刷が気になる・・・ダイアルかな?
20番の接着工程とは激安クオーツ専門工場なのか?
※同じ工程の看板は省略してあります。
24は素子?の製作でしょうか?25番が気になる・・・・・。
ここで興味深い求人広告を発見!
トランスレーター兼、ガイドのタナクリットさんに通訳をおながいしてみました。
↓
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素晴らしい!
昨今の日本の製造業で問題視されている派遣労働者より恵まれた環境!!
いやー、先進国内で最もこき使われている日本人ってなんなの!!
日本の要は製造業でしょ!もっと労働者の権利を認めるべきともさ!と感心。
で、タナクリットさんに”ねえ、因みに彼女らの給料ってどれぐらいなの?”と聞いたところ、
”うーん。多分18000円ぐらいじゃないかなあ?”
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こ、これは酷いあぁ野麦峠・・・・・・。
と、確かにタイにETAの工場はありましたが、
上記の内容は外見から判断した私一個人の妄想ですので、
こちらをご覧になられた方は参考程度までに・・。
近いうちにこちらのHPが消滅していたら、何かがあったとでもお思いくださいw
その後、工場地帯を後にガイドさんと観光地を巡り、
ワニを見たり、象を見たり、寺を見たり、オカマショーを見たり、
夜の親善大使としてアルコールで乾杯したりと、
酔いでフラフラになりながら明け方の便で日本に戻りましたが、
とても充実した楽しい大人の社会科見学でした。
気が付けば、本場のトムヤムクンを食するのを忘れており残念・・・・。