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足利事件 否認→自白“異例”テープ再生 誤判原因の究明へ

11月25日7時56分配信 産経新聞

足利事件 否認→自白“異例”テープ再生 誤判原因の究明へ
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再審初公判を前に、報道陣の質問に答える菅家利和さん=10月20日、栃木県宇都宮市(緑川真実撮影)(写真:産経新聞)
 足利事件の再審公判で、宇都宮地裁が24日、菅家利和さん(63)が別の2件の女児殺害事件(未解決)で取り調べを受けた様子を録音したテープを証拠採用し、法廷での“異例”の再生を認めた。菅家さんが冤罪(えんざい)を背負うことになった誤判原因の究明に向け、一歩踏み込んだ地裁の判断といえる。

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 地裁は当初、「誤判原因の解明は裁判所の権限を脱する」との見解を示していたが、佐藤正信裁判長は再審初公判で「違法な手続きだったかどうかを判断するために必要な証拠調べは可能」と述べていた。

 再生されるテープには、平成4年12月7、8の両日、検察官が別の女児殺害事件で菅家さんを取り調べた際、足利事件についても菅家さんが一度は否認しながら「自白」に転じていく様子が録音。このため、弁護側は「検事の取り調べが、菅家さんの公判での自白を導き、支えている。自白の任意性を判断する必要がある」として、法廷での再生を強く求めていた。

 テープの存在が明らかになったのは8月。開示を拒む検察側に、「自白の任意性に影響を及ぼした可能性を否定できない」と開示を促したのも地裁だった。

 “異例”のテープ再生について、ジャーナリストの大谷昭宏氏は「地裁側は『なぜ冤罪が起きたのか』ということに真摯(しんし)に取り組んでいる。日本の再審裁判では画期的だ。裁判員裁判で冤罪を生み出さないため、冤罪が起きた構図を市民に明らかにしようとしている」と評価している。

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最終更新:11月25日9時26分

産経新聞

 

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