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元検事に「謝ってもらう」  足利事件再審公判で菅家さん

再審第2回公判を終え、県庁で記者会見する菅家利和さんと、佐藤博史弁護士

 「なぜ私を犯人にしたのか。検事には謝ってもらいますよ」――。足利事件の再審第2回公判で、取り調べを担当した森川大司・元検事の証人尋問と取り調べテープの証拠採用が新たに決まった。菅家利和さん(63)は閉廷後の会見で、自分を追及した元検事に、自らの思いを直接ぶつける考えを示した。弁護団も「工夫し、機会を設けたい」としており、実現すれば、1審判決から16年半の年月を経て、菅家さんと元検事の“直接対決”となる。

 菅家さんは、弁護団に囲まれて会見場に現れ、終始うつむき加減で記者会見に臨んだ。背もたれに深く腰掛け、組んだ腕をほどくことはほとんどなかった。時折、佐藤博史・主任弁護人の話にうなずきながら、「検事に、無実の人間を犯人にしたのはなぜかと聞きたい」と表情を崩さずに話した。

 菅家さんは、かつて宇都宮地裁の法廷で自分を追及した元検事に対し、今度は自分が質問することを強く望んでいる。逆転する立場に「当然です。絶対謝ってもらう」と記者会見で語気を強めた。

 一方、佐藤弁護士は、取り調べテープの再生と元検事の証人尋問の決定に対し、「部分的にも認めたことは画期的」「実質的には誤判原因を再審で解明してくれるということになった」と評価。顔を紅潮させながら、「隠された事実を明らかにし、菅家さんが無実だと言えなかった理由をはっきりさせたい」と決意を新たにした。

 1か月後の第3回公判は、弁護側推薦の本田克也教授の再鑑定を批判する科学警察研究所の福島弘文所長の証人尋問が行われる。冤罪(えんざい)の構図の解明を目指す弁護団が「足利事件の勝敗がかかった天王山」と位置づけている。弁護団は水掛け論となることを避けるため、本田教授に対する再尋問を求める考え。事件当時の鑑定の是非についても争われる見通しだ。

2009年11月25日  読売新聞)
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