鳩山由紀夫首相の資金管理団体「友愛政経懇話会」(友政懇)を巡る偽装献金問題で、当時の会計責任者が政治資金収支報告書の内容をまったくチェックしていなかったことが分かった。この元会計責任者が毎日新聞の取材に認めた。虚偽記載を認めている元公設第1秘書が会計実務担当者だったが、政治資金規正法では会計責任者らが報告書の虚偽記載などの違法行為に直接関与しなくても、重大な過失がある場合は処罰対象になると規定。東京地検特捜部は元会計責任者の過失の程度についても今後調べを進めるとみられる。【政治資金問題取材班】
虚偽記載当時の会計責任者は鳩山首相の政策秘書を兼ね、首相が05~08年に2177万円余を虚偽記載していたと公表した今年6月に会計責任者を解かれ、7月の衆院解散で政策秘書も自動的に解職されて、現在は首相の私設秘書を務める。
この元会計責任者は取材に対し、元公設第1秘書に収支報告書などの会計処理を一任していたと説明。「私自身、まったくノータッチだった。怒られるかもしれないが、見たことないんですよ、収支報告書を一度も。14年くらい会計責任者やってたんで『出しますよ』という話は(元公設第1秘書から)あったかもしれないけど」と、会計責任者として実務に関与していないと述べた。
さらに「(友政懇に)いくらのお金があって、いくら使っていたか、そういうのは一切聞いてなくて。6月の報道があって『死んだ人の名前を使った献金がある』と初めて聞いた。パーティー券の販売もすべて彼(元公設第1秘書)が1人でやっていた。どうして彼がこんなこと(虚偽記載)をしたのか分からない」と語った。
規正法では、会計責任者を含む政治団体の役員や構成員が、虚偽記載などを生じさせる重大な過失を犯した場合、虚偽記載と同様に「禁固5年または100万円以下の罰金」と規定。元公設第1秘書は虚偽記載したことを認めているため、元会計責任者が実務に関与しなかった行為が重大な過失に当たるかどうかについて、特捜部が判断するとみられる。
毎日新聞 2009年11月25日 2時30分(最終更新 11月25日 2時30分)