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トーク21

11月15日

歌いたい! あなたのために

オペラ歌手 中丸三千繪さん
心に響く声こそ本物

白ゆり合唱団団長 柴田葉子さん
希望の陽光 友の胸に


 荘厳な劇場、華麗な衣装、天まで届く透明な歌声――。本日のトークには、オペラの世界でルチアーノ・パヴァロッティ、プラシド・ドミンゴらの巨匠と共演を重ねてきたソプラノ歌手・中丸三千繪さんが登場します。お相手は白ゆり合唱団で団長を務める柴田葉子さん。歌う喜び、声に託す真心を巡り、語らいは尽きません。それでは、開演です!

シーン1 人の100倍努力する
 柴田 本場ベネチアで行われた、世界で最も権威のあるプリマ・ドンナ(主演のソプラノ歌手)の登竜門「マリア・カラス国際声楽コンクール」。
 20年前、“イタリア人以外は絶対に優勝できない”といわれていた、その常識を打ち破られての優勝! 見事な勝利の栄冠ですね。
 中丸 小さいころから賞を取るのは得意だったのですが(笑い)。年齢制限ぎりぎりの、最初で最後の挑戦でしたからね、もうこれ以上できないくらい、レッスンを積み重ねて臨みました。
 柴田 素晴らしい! まさに“天才とは努力の異名”ですね。それは人生の師匠である池田名誉会長が教えてくださる生き方そのものです。
 中丸 毎日が戦いでした。でも本当に充実していました。成し遂げたい目標のためなら「人の100倍努力する」というモットーは、今でも変わっていないつもりです。
 柴田 音楽への深い愛を感じます。本物の音楽を、そこまで追求していらっしゃるからこそ、中丸さんの歌は私たちの心に響くのですね。
 中丸 ありがとうございます。コンクール優勝の後、80歳になった往年の名プリマ・ドンナ、マグダ・オリヴェーロにレッスンを受けたときのことを思い出します。
 アドバイスに従い、私がオペラ「ルイーズ」の愛の讃歌を歌うと、彼女は心外そうで、しばらく言葉を詰まらせていました。そして、突然歌い始めたのです。
 人を愛する喜び、せつなさ、失う事への恐れ……。全生命を振り絞るようにして歌う姿を目の当たりにして、感動の涙が止まりませんでした。
 柴田 原点を大切に抱き続けてこられたのですね。胸が熱くなりました。

シーン2 出会いは勇気の源泉
 柴田 中丸さんは小児がんと闘う子ども達を支援するチャリティーコンサートも続けていらっしゃいますね。
 中丸 会場での心触れあうひとときが、大切な宝物になっています。天皇、皇后両陛下にご臨席いただいたとき、舞台の直前に、風邪をひいてしまったんです。その時、子どもたちが励ましにきてくれて「風邪なんかに負けないでね」って。まだ小さいのに重病と全力で闘っている子たちに心配はかけられないな、と思うと何だか勇気がわいてきて……。舞台も大成功。子どもたちも大拍手で迎えてくれました。
 今思えば、本番前のプレッシャーにあまり振り回されなくなったのはこの頃からだったような気がします。
 柴田 家族や友達を守るため、励ますために、いざというときには信じられないほどの力が出せる。平和を願わずにいられない女性の特質だと思います。
 私たち白ゆり合唱団も、友の胸に勇気と希望を送る“平和の懸け橋”に、と心に期して歌わせていただいています。
 中丸 素晴らしいですね。技術が優れていても、心がこもっていない歌はどこか冷たく、味気ない。ありのままの思いを届ける歌こそ本物です。
 柴田 名誉会長が作詞された「母」という歌は、平和のために生き抜く健気な女性の心を綴った歌で、何度歌っても新たな感動がわいてくる、大好きな歌です。
 世界中で13言語で歌い継がれています。私たち合唱団も先日、ロシア語の歌詞を何度も練習して、サハ共和国からのお客さまをお迎えしました。「心の美しさは世界を変える力ですね」と、大変に喜んでいただきました。

シーン3 次代に伝える使命
 柴田 中丸さんは歌以外にも多彩な挑戦を重ねていらっしゃるとか。
 中丸 もともと水泳でオリンピックを目指したくらい体育会系なもので、アウトドアが大好きで徹底的にやらないと気が済まないんです。
 スキューバダイビング、飛行機操縦の訓練もしています。スキーはアメリカ・コロラド州のベイルで朝から晩まで滑り続けた3日後、ヘリでアルプスのマッターホルンに降りました。実は足を痛めていて、途中で断念しましたが(笑い)。
 柴田 命がけじゃないですか!
 中丸 生まれて初めて、あきらめることを知りました(笑い)。でも、コンディションに気を使いすぎて、挑戦を避けたくはないんです。
 限界に挑むなか、五体で感じた宇宙との一体感が、舞台に立ったときにふっと浮かんできて、思いがけない声が出せるんです。
 柴田 どんな挑戦も、すべては歌に通じているんですね。
 私たちも信仰を持つ者として日々、友の幸せを祈り、その心と心のつながりを広げていこうと力を尽くしています。モットーは「心こそ大切」です。歌も、相手の胸に響くのは、まさに人を思う誠意しかありませんから。
 中丸 まさにその通りですね。私の歌うオペラ曲はイタリア語で、多くの方はあまりなじみがありません。でも、感動は言葉の壁を超える。こちらが何十倍もの感動で心を満たして、聞いてくださる方に届けたいんです。
 柴田 きょうは素晴らしい歌声の秘密に触れることができて、うれしいです。
 中丸 オペラの黄金時代を築いた先人たちから受け継いだ“音楽の魂”を、次の世代まで伝えたい。それが私の願いです。大学で声楽を教えているのも、その使命の一端を果たせれば、との思いからです。
 柴田 中丸さんの人生の劇は、さらなる佳境に入りますね。
 中丸 次の幕も、お互いに歌声も高らかに、人生の劇を演じていきましょう。

 愛をテーマにオペラの名曲を歌う、中丸三千繪さんのコンサート「Starry X’mas VII」が、東京都港区のサントリーホールで、12月19日(土)に行われます(午後7時開演)。ピアノ伴奏はドナルド・スルツェン氏。問い合わせ・予約は、パルコ、電話03(3477)7921まで(午前11時〜午後5時)。
プロフィール
 なかまる・みちえ ソプラノオペラ歌手。茨城県出身。1986年、小澤征爾氏の指揮する舞台でデビュー。単身イタリアに渡り「マリア・カラス国際声楽コンクール」(RAI主催)で優勝、一躍脚光を浴びる。以後、ミラノ・スカラ座などで一流の音楽家と多数共演。小児がん救済のチャリティーコンサートなど社会貢献の活躍も。桐朋学園大学で特任教授(声楽専攻)を務める。

 しばた・ようこ 婦人部・白ゆり合唱団団長。東京都出身。純粋な信仰に励む母の姿を見て育ち、女子部時代から、富士合唱団で書記長などを歴任。使命に生きる喜びを胸に、師の正義を声高らかに宣揚してきた。現在は東京・墨田の地で、婦人部副本部長として広宣流布の第一線を歩む。細やかな励ましに徹し、和楽の連帯を広げている。1男2女の母。教学部教授。
中丸さん
柴田さん
「次は合唱団の皆さんといっしょに歌いたいですね」「ぜひ! 皆が喜びます」。語らいに、笑顔の花が咲く
白ゆり合唱団が、希望と勇気の歌声を響かせる
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