現在位置:
  1. asahi.com
  2. ニュース
  3. 社会
  4. その他・話題
  5. 記事

中国の人権活動家、成田の制限エリアで寝泊まり9日間

2009年11月12日19時39分

印刷印刷用画面を開く

このエントリをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

写真:中国当局への抗議を示す馮正虎さん=成田空港到着後の機内、支援者提供中国当局への抗議を示す馮正虎さん=成田空港到着後の機内、支援者提供

 天安門事件20周年にあわせて来日した上海の人権活動家、馮正虎(フォン・チョンフー)さん(55)が、中国当局に帰国を拒否されたことに抗議し、成田空港の入国手続き前の制限エリアで9日間にわたって寝泊まりを続けていることが12日、分かった。「中国当局に無理やり日本に戻された」として、日本への入国手続きを拒否。帰国実現への支援を訴えている。

 上海の民間の経済研究所長だった馮さんは、89年の天安門事件の際に、軍による民主化運動制圧に反対する声明を出して職を追われて以来、民主化や人権擁護の活動を続けている。

 今年2月に北京で当局に拘束された後、事件20周年の6月4日を過ぎるまで国外滞在することを条件に釈放。4月に来日し、天安門事件の抗議集会などに参加した。6月以来、8回帰国を試みたが、当局が拒否。今月3日にも上海の空港で入国を拒否され、4日に日本に送り返された。

 制限エリアは、空港の入国審査前と出国審査後に通る場所で、部外者の出入りや物品の持ち込みは許されない。馮さんは、持っていたビスケットを毎日2、3個ずつ食べ、エリア内にあるトイレの洗面所の水道水を飲んで飢えをしのいでいる。夜は並んだイスの上に横になり、旅行カバンを枕にして、体に上着をかけて寝ているという。「中国当局が帰国を認めるまで、空港にとどまる」と話す。

 馮さんは中国籍で、来年6月まで有効な日本の在留資格を持っている。入国するときは本人が自分の意思で上陸申請をする必要があり、入国管理局が強制的に入国させることはできないため、空港外に退去させることもできないという。東京入管成田空港支局は「入国するよう毎日説得を続けるしかないが、長期化すると健康状態への懸念も生じるため、正直言って困っている」と話している。(山根祐作、鹿野幹男)

PR情報
検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内