来春卒業予定の県内高校生の雇用情勢が厳しい中で、昨年度まで雇用の下支えをしていた派遣業と請負業からの求人が激減している。不況で企業の生産規模が縮小されたのに伴い、労働需要が急速にしぼんだのに加え、派遣・請負業者が雇用に慎重になっていることが背景にある。
大分労働局によると、県内の派遣・請負両業種の求人数は全求人数(1998人=9月末現在)に占める割合が1・3%で、前年同期の14・3%から13ポイントも下がった。
新規高卒予定者に対する請負業からの求人は9月末現在、1事業所が募集する22人だけ。前年同期は8事業所が計416人を募集しており、94・7%の減少。派遣業も1事業所が5人募集しているだけ。5事業所から計91人の募集があった前年同期と比べると94・5%の減少。
鶴崎工業高校の進路指導主任を務める飯田康夫教諭は「昨年は派遣、請負業の2、3社から求人があったが、今年は1社もない」と驚いている。
労働局職業安定課は「派遣や請負の労働者を必要としてきた企業の仕事が減少し、その変化に追随する形で求人が減少している」と説明。さらに、昨年度は“雇い止め”や“派遣切り”、内定取り消しが社会問題になったことを指摘し、「余分な人員を抱えることに業者側が敏感になっているのかもしれない」とも。
中津市にある人材派遣会社の人事担当者(25)は「製造業からの仕事が減っているので求人はやめている。製造業が活況になり、仕事が増えれば再び求人を出したい」という。
大分市にある製造業の請負会社は、昨年度までは毎年新卒の高校生を5人ほど雇用してきたが、今年は募集していない。社長の男性(53)は「若者を雇えば仕事場に活気が出る。しかし、景気は不透明。無理に採用して、解雇などとなっては、将来がある若者がかわいそう」と話した。
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