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きょうのコラム「時鐘」 2009年11月24日
映画になる「武士の家計簿」は、原作の磯田道史さんが書いているように、加賀藩御算用方・猪山家文書を偶然手に入れたことに始まる
古本屋の案内で売り出しを見て「値打ちもの」とにらんだ磯田さんは、預金を下ろして店に走ったという。その話を読んだ金沢のある研究者が「あの史料の売り出しを知っていれば絶対買いに走ったのに」とうらやんだほどである が、古文書の価値を知らなければ好運が目の前を通っても気がつかない。普段から、情報の網を張っておかないと好運はひっかからないという。百数十年前に加賀を離れて流転を重ねた古文書は、東京で磯田さんに出会うべくして出会ったのである 人生は出会いの積み重ねだ。出会いは偶然かもしれないが、偶然を呼ぶ努力がなければ出会いはない。人は人とめぐり会い、歴史や自然と遭遇する。映画や本と出会って感動するのも、その人のそれまでの生き方があったからだ 「武士の家計簿」の制作発表で主演の仲間由紀恵さんと堺雅人さんが、互いに初共演を楽しみにしているとコメントしていた。美しい出会いを見たい。 |