インタビューに答える菅直人副総理兼経済財政相=22日午前、東京都千代田区、池田良撮影
菅直人副総理兼国家戦略相兼経済財政相が22日、東京都内で朝日新聞の単独インタビューに応じ、早ければ10年度中にも環境税導入に踏み切る考えを示した。民主党が衆院選マニフェスト(政権公約)で10年度当初からの実施を明記した「ガソリン税などの暫定税率廃止」と合わせての導入を検討する。税収減を抑える狙いがあるとみられる。
菅氏は経済成長戦略にも言及し、公共事業に依存した大型の財政出動や、市場原理主義によらない「第3の道」を検討するとした。「雇用が需要を生み出す分野、財政に頼らないで経済成長できる分野があるはずだ」と述べた。
具体的には、需要が多い介護サービス分野で新たな雇用を生み出すほか、林業で生産性を上げ、採算を取れる事業形態を検討し、「新たな雇用が新たな生産を生み出す」という循環をつくるとした。
暫定税率と環境税のあり方では「暫定税率は下げますよ、と。しかし、新たに環境税として、ガソリンにリッター20円かけさせてもらいますよ、という話を同時にやるかもしれない」と述べた。
環境税については、小沢鋭仁環境相が11日、化石燃料に課税し来年4月から導入するとした環境省案を発表した。マニフェストにも環境税導入の検討が明記されている。
鳩山由紀夫首相は温室効果ガス排出量を2020年までに1990年比で25%削減するとの高い目標を表明しており、環境税の早期導入には排出削減を促す狙いがある。
ただ、暫定税率廃止による税収減は年約2.5兆円、環境税導入による税収増は環境省案で年約2兆円と見込まれている。同時に実施すると税の看板の掛け替えに過ぎなくなるとの指摘もある。
また、政権内には、暫定税率廃止によってガソリンなどの値段を下げ、政権交代を国民に実感してもらうのが先決だとの意見も強い。特に、来年夏の参院選前の環境税導入には抵抗感がある。