MP3

ファイルサイズを小さくする

ここで、今までのところをちょっと整理してみましょう。

  1. まず事前準備をする。
  2. 音楽CDから音楽データをリッピングし、WAVEファイルとして保存する。
  3. 各ファイルの前後の無音部分を削除し、音量を揃える。

「もうこれで終わりなんじゃないの?」と思う方がいらっしゃるかもしれません。でもまだ終わりじゃないんです。「パソコンJUKEBOX化計画」はそう簡単にはいかないことを肝に銘じてください。

リッピングしたファイルは、色々編集しましたがあくまでWAVEファイルです。このWAVEファイルは非常に扱いやすく音質もいいのですが、1つだけ欠点があります。それは「ファイルサイズが大きい」ことです。

1分の曲で大体10MBになります。現在の流行曲の標準は5分くらいですので、1曲あたり50MBとなります。10曲で500MB、100曲なら5GB弱です。いくらハードディスクが安くなっているとはいえ、CD20枚もリッピングすればハードディスクがいっぱいになる人が続出してしまいます。

将来ハードディスクがもっと安くなり、デフォルトで500GBくらいあるならWAVEファイルのまま保存しても問題ないかもしれませんが、現在のパソコンではまだちょっと厳しいです。

MPEG-1 Audio Layer3

ところが世の中にはすごい人がいるもので、WAVEファイルに比べて音質をそれほど落とさずかつファイルサイズを約10分の1にしてしまうファイル形式が考え出されました。これが今ではメジャーになった「MP3(MPEG-1 Audio Layer3)ファイル」です。拡張子は「.mp3」です。

なぜそんなことが可能なのかと言いますと、例えば大きな音の直後の小さな音は人間の耳には聞こえないらしいです。「マスキング効果」とか言うらしいですが、そういう部分を計算してはじき出し、カット(削除)していくのです。そうすることにより全体のファイルサイズを小さくできる、という理屈です(ちょっと簡単すぎますが、まあこんな感じでしょう)。そして聞こえない部分だけをカットしているのですから、音質もそんなに変わらないファイルが出来上がるのです。

理屈はともかくとして、WAVEファイルとMP3ファイルを私が実際聴き比べた感じでは「まあ気にならない程度」の違いしかないかなあという印象です。ということはWAVEファイルを保存するためのハードディスク容量を確保しにくい現在、MP3は非常に有効なファイル形式であると言えます。というか、この「パソコンJUKEBOX化計画」にとってはなくてはならない技術であると言えるでしょう。

エンコーダの導入

さてこの計画を進めるために次にしなければならないことは、「WAVEファイルをMP3ファイルに変換(エンコード)する」ことです。そのための専用ソフトを導入しましょう。

おすすめエンコーダソフト
ソフト名CDex
作者Albert L Faberさん
入手先http://www.cdex.n3.net/
種別フリーウェア
CDexの日本語化パッチ
ソフト名CDex 日本語化差分ファイル
作者somaさん
入手先http://www1.plala.or.jp/tsoma/
種別フリーウェア

CDexは外国製のフリーウェアです。そのままではメニュー等すべて英語です。英語が苦手な人は日本語化ファイルもダウンロードして日本語化してあげましょう(ただしヘルプファイルは日本語化されません)。日本語化ファイルに添付されているreadmejpファイルを読めば簡単にできます。(差分ファイルは同じバージョンのものを導入してくださいね)

CDexの設定

まず設定をきっちりやりましょう。メニューバーの「オプション→設定」をクリックしてください。

上図は私の設定例です。エンコーダー(MP3ファイルへ変換するのに使うエンジン)はLAME、可変ビットレート(VBR)を使ってできるだけ音質を下げずファイルサイズも可能な限り小さくすることを目指しています。

ビットレートには「固定(CBR)」と「可変(VBR)」の2種類があります。「固定」とはMP3変換の際適用するビットレートを変化させず固定することで、一般的な方法です。すると「可変」させる意味はどこにあるのかというと、MP3ファイルはどうしても高域が弱い傾向があります。そこで高域部分は高ビットレートで(音質がよくなる)、それ以外の部分は通常のビットレートで変換することにより、全体として高音質を保ちながらファイルサイズもそれほど大きくしないようにできるのです。

現在雑誌を読んでいると、「MP3変換の標準ビットレートは固定128kbps」みたいな記事によく出合せます。しかしデジタル接続で聴いてみるとよく分かりますが、固定(CBR)128kbpsで変換したファイルの音ははっきり言って悪いです。ファイルサイズは確かに小さくなりますけど、ここまで音が悪いと私には耐えられません。

ただこれについても個人の好みがあります。「少々音が悪くてもいいからとにかくファイルサイズを小さくしたい」という人もいれば、「音が悪いのは絶対嫌。ファイルサイズが大きくても平気」という人もいるでしょう。

固定で、ビットレートが大きいほど音はいいですがファイルサイズは大きくなります。逆に可変にしてビットレートを下げるほど音は悪いですがファイルサイズが小さくなります。ご自分で色々試してみて妥協点を探すしかないということになります。

あと、下図のように変換したMP3ファイルの保存場所を設定します。「デスクトップ」にしておいた方がどこに行ったかわからなくなりにくいのでいいでしょう。

もう1つ、裏技的な設定をします。CDexをインストールしたフォルダ(私の場合は、C:\Program Files\CDex)の中にある「CDex.ini」というファイルをテキストエディタ(メモ帳で結構です)で開いて編集します。41行目のところ「WAVInputDir=C:\PROGRAM FILES\CDEX\my music」を「WAVInputDir=C:\WINDOWS\デスクトップ\」(デスクトップは半角文字)に書き換えて上書き保存します。(よく分からない人は別に設定の必要はありません)

エンコードする

設定が終わったら、いよいよMP3ファイルへの変換を行います。CDex本体の右端の上から4番目のボタンをクリックします。

先程の裏技的設定を施しておくとここで自動的にデスクトップにあるWAVEファイルが表示されます。設定していなくても青で囲んだ部分をクリックして「デスクトップ」を選んであげれば表示できます。

MP3ファイルに変換したいWAVEファイルをクリックしたら(青反転していることを確認してください)、「変換」ボタンをクリックしてください。変換が始まります。

先程は触れなかったのですが、可変ビットレートによる変換にはデメリットがあります。それは「時間がかかる」ということです。WAVEファイルを解析しながらビットレートを絶えず変化させて変換するのですから、当たり前と言えば当たり前なのですが。ちなみに3分8秒の曲を変換してみたら、約15分かかりました。(もちろんかかる時間は、お手持ちのパソコンのCPUパワーにより左右されます。)

「そんなにかかるんじゃやっぱり固定ビットレートでいいや」という方もいるでしょう。それはそれでかまわないと思います。「時は金なり」ですからね。時間をかけて納得のいくMP3ファイルを作ることに喜びを感じられるかどうかです。これも個人の判断となります。

変換が終了すると、デスクトップにMP3ファイルができているはずです。確認してみてください。

今回使ったWAVEファイルのサイズは、31.7MB、変換後のMP3ファイルのサイズは4.89MBでした。約6.5分の1に圧縮できたことになります。うまく変換できた後は、WAVEファイルを削除しておきましょう。ハードディスク容量確保のためです。

以上の要領でMP3ファイルを作っていきます。そしてうまく作れたら、MP3ファイル専用のフォルダを作り、そこに例えばアーティストごとのフォルダ別に保存するとかしていけば整理できていいと思います。

私の場合MP3ファイルを作っていると、だんだんのめりこんできて「家にあるCD全部を変換してやる」とか言って燃えた時期もありましたが、あまりのめりこんでも疲れるだけです。コツコツ1日1枚くらいのペースでやっていったほうがいい様な気がします。何も焦ることはないのですから。だんだん曲数も増えていったら楽しくなってきますよ。

このMP3ファイルはWindowsに添付されている「Windows Media Player」で再生することができます。是非聴いてみてください。最初はちょっと不思議な感じがします。パソコンから自分の好きな音楽が流れてくるのですから。

何度もいいますけど、あまりのめりこまずコツコツやりましょう。