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酵素ジュース 手作り広がる 野草や野菜・果物から抽出地元の野草や果実などを前に、酵素の働きについて説明する浦崎さん(中央)(沖縄県宜野湾市で)
健康増進のために、野草や野菜、果物などから酵素を取り出した「酵素ジュース」を手作りする人が増えている。腸をきれいにして免疫力を高めてくれると言われる。沖縄県宜野湾市で開かれている酵素教室などを訪ねた。 腸をきれいに/免疫力向上ヨモギ、パパイアの実、ハイビスカスの新芽……。 宜野湾市の農産品直売所「ハッピーモア市場」で、浦崎直和さん(73)(沖縄県浦添市)がビニール袋から大量の草や果実を取り出した。 畑で栽培したものや採集した野草で、ここで開かれている酵素ジュースの教室で使う材料だ。講師の浦崎さんは「その土地の旬の植物から作る、最高の発酵食品です」と力を込めた。 ホテルの支配人をしていた10年ほど前、過労やストレスで体調を崩しがちになり、若い頃から時々作っていた酵素ジュースの効果を見直し、普及活動に取り組むようになったという。 酵素ジュースは、20種類以上の植物を刻んで作る。それを白砂糖や発酵補助剤と一緒に漬け込み、1日1回混ぜながら1週間ほど置く。水は入れないが、浸透圧でしみ出す水分に、植物の酵素やミネラルなどのエキスが含まれるという。 「最近の人は食品添加物や農薬の解毒に体内の酵素を使ってしまう生活をしているので、これで補ってあげて」。浦崎さんが自家製の酵素ジュースを20人余りの受講者に試飲してもらうと、「甘い」という感想がもれた。これをそのままか、水で薄めて飲む。 教室はハッピーモア市場社長、多和田真彦さん(46)の企画で、3月に始まり月1回開かれている。当初4〜5人だった参加者は口コミで増え、今は2か月待ちの状態だそうだ。 「新型インフルエンザの流行もあり、家族の健康に役立てたいという人が増えているようだ」と多和田さん。受講者にも好評で、何度も参加しているという女性(76)は「サラダのドレッシングにも混ぜる。元気が出てよく眠れる」という。できあがったものは1リットル1800円と、市販より安価に手に入るのも人気の理由のようだ。 「薄めると化粧水にも使える。生活に酵素を上手に取り入れて」と浦崎さんは話している。 刻まれたカボチャ、ナス、トウガン、ローゼルなどで、ボウルのなかはカラフルだ
石角さん(左)がこの秋、漬け込んだ野菜などから、10日ほどたってエキスを含む水分が出てきた(大分県由布市で)
陸と海の恵みバランス良く浦崎さんが指導する作り方は、1980年代から手作り酵素の普及に取り組んできた「十勝均整社」(北海道帯広市)社長、河村文雄さん(64)の方法を取り入れている。 野菜などから抽出された水分をこしたあと、河村さんが開発した昆布などのエキスを混ぜて完成する。河村さんの会社では、習熟者約30人を指導者として認定。浦崎さんもその1人で、「陸と海の酵素を両方取り入れるとバランスがいい」と話す。九州では指導者がいる福岡と熊本で、野草や実が採集できる春と秋に講習会を開いているそうだ。浦崎さんによると、亜熱帯の沖縄では一年中作れるという。 子供も喜んで大分県由布市の主婦石角文香さん(36)は3年前から、食物アレルギーを持つ息子たちのために酵素ジュースを作っている。 春はタンポポ、スギナなどの野草が中心。秋はニンジンやカボチャ、ナシ、小豆、ドングリの実など。ビーツ(砂糖大根)を使うと、きれいなピンクになるそうだ。 「水で薄めると子供たちも喜んで飲みます。これにカボスを搾ると大人向きですよ」。搾りかすは畑の堆肥にしたり、手作りパンの酵母として利用したりする。 仕込み中は子供たちも一緒に混ぜる。人間の皮膚にいて体を守る常在菌が、手で混ぜることで増えるそうだ。「私たち家族だけの、世界でひとつしかない健康ジュースです」と石角さん。 コミック誌に登場酵素ジュースは、講談社のコミック誌「Kiss」で連載中のマンガ「ケッコー ケンコウ家族」にも登場する。病気で親を亡くした女子高生が、様々な健康法を実践する親類宅で暮らしながら食の大切さなどを学ぶ話だ。 主人公が親類家族に連れられ、野草の採集や仕込みを手伝う場面は、作者の栗原まもるさん(37)(千葉県)の実体験がもとになっている。 幼い頃から胃腸が弱く、漫画家になってからも体調不良と闘いながら仕事をしてきた。酵素の摂取を提唱する福岡県出身の医師、新谷弘実さん(米在住)の著書を読んだことから、群馬県の教室に通い自分でも作るようになったという。 ブログ(http://ameblo.jp/kurimamo/)でもその様子を発信しており、「身近にインスタントや加工食品があふれるなか、読者が健康について考えるきっかけになれば」と話す。 ◇ハッピーモア市場 098・896・0657 ◇十勝均整社 0155・33・5148 酵素 動植物の生命維持機能をつかさどる物質。人間の体内でも生成され、でんぷんを消化するアミラーゼなどの消化酵素や、細胞の修復などを担う代謝酵素として機能する。ストレスや過食、過度の飲酒でも消費され、不足すると、病気につながるともされる。非加熱食品や発酵食品に多く含まれるため、日本では漬物や焼き魚に大根おろしを添えるといった食生活が長く根付いてきた。 (2009年11月22日 読売新聞)
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