和菓子老舗「駿河屋」社長ら逮捕へ 11億5000万円架空増資 府警
老舗の和菓子メーカー「駿河屋」(本社・和歌山市、東証・大証二部上場)が、投資会社を相手に、実体のない約十一億五千万円の第三者割当増資を行い、法人登記に虚偽記載した疑いが強まり、大阪府警捜査二課は十三日、電磁的公正証書原本不実記録・同供用容疑で、同社の岡本良晴社長(57)や投資会社「飯倉ホールディングス」(東京都港区、飯倉HD)の上田高嗣前社長(42)ら五人の取り調べを始めた。調べなどによると、岡本社長らは飯倉HDに対し九百四十万株(発行済み株式数の47%)を発行し増資したように装うことを計画。平成十五年十二月十八日、飯倉HDから新株購入の払込金約十一億五千万円の入金を受けたとして、和歌山地方法務局で駿河屋の資本金を五億三千万円から十一億三百四十万円に増額したと虚偽申請し、法人登記を変更させた疑いが持たれている。
駿河屋は増資のうち半額を資本金に組み入れ、残額は運転資金に回したと発表していたが、実際には、飯倉HDから入金を受けたとした約十一億五千万円は事実上、同社に全額還流されたことが判明した。
大証は平成十四年、株価の時価総額が五億円を割り込んだ法人は、九カ月以内に回復しなければ上場廃止とする基準を厳格化。府警は、岡本社長らが上場廃止になることをおそれて、「みせかけ増資」を実施した疑いが強いと判断した。
駿河屋は前身の和菓子屋「鶴屋」が室町時代に京都で創業。江戸時代に徳川家から「駿河屋」の屋号を与えられたとされる。昭和三十六年、東証と大証の二部に上場した。
■ 駿河屋総務部の石川雅章次長の話 「架空増資をいわれることについては、事実無根と考えている。増資は見せかけではない」
≪「のれん」に固執 上場廃止回避を狙う≫
創業五百四十年以上の歴史をもつ和菓子メーカー「駿河屋」(和歌山市)で浮上した架空増資事件。同社は売り上げの低迷から近年、資金繰りが悪化しており、市場関係者の間では当初から「のれんを守るため、架空増資で上場廃止を免れようとしたのでは」という指摘が出ていた。駿河屋は和菓子メーカーでは「老舗中の老舗」。西日本を中心にスーパーや百貨店向けにようかんなどを販売している。しかし個人消費の低迷などで平成六年度以降は八年連続の減収になるなど赤字経営が続いていた。
一方、増資の引受先として発表された投資会社「飯倉ホールディングス」(東京都港区、飯倉HD)は平成十四年設立で、「市場ではあまり名前を聞かない企業」(民間信用調査会社)。老舗とは対照的な存在が約十一億五千万円の増資を引き受け、当初から注目が集まっていた。
駿河屋は飯倉HDから約十一億五千万円の払い込みを受け、大幅に増資し、経営基盤を強化したとみせかけていた。実際には、両社間の金銭トラブルをめぐるその後の民事訴訟で、増資に伴う払込金は飯倉HDに全額還流されたことが発覚。「駿河屋に資金は残らず、飯倉HDのもとに株券が残っただけの不可解な増資」(民間信用調査会社)との指摘もあった。
「経営が悪化していた駿河屋は上場廃止を免れる。資金繰りの苦しい飯倉HDも駿河屋の株券が手に入る。架空増資は、両社の思惑が一致した結果ではないか」と話す市場関係者もいる。(産経新聞) - 11月13日15時49分更新
駿河屋社長ら5人逮捕 架空増資で虚偽登記
老舗和菓子会社「駿河屋」(和歌山市、東証・大証二部)が、実態のない約11億円の第三者割当増資で法人登記に虚偽を記録させたとして、大阪府警捜査二課は13日午後、電磁的公正証書原本不実記録・同供用容疑で、同社の岡本良晴社長(57)や投資会社「飯倉ホールディングス」(東京)の上田高嗣前社長(42)ら5人を逮捕した。
調べによると、岡本容疑者らは新株の払込金を一時的に入金して増資したように見せ掛けることを計画。昨年12月12日、飯倉ホールディングスが融資を受けた940万株分の払込金約11億円の保管証明書を銀行に発行させ、同月18日、和歌山法務局で法人登記の「資本の額」を5億3000万円から11億340万円に変更するなど虚偽の申請をして受理させた疑い。(共同通信) - 11月13日21時42分更新
<架空増資>老舗和菓子の駿河屋社長ら逮捕 上場廃止恐れ
有価証券報告書にも同様の虚偽記載があり、証券取引法違反容疑でも捜査を進める。
調べでは、5人は見せ金による架空の第三者割当増資を計画。昨年12月、飯倉HDが金融機関から資金調達し、940万株分の株式払込金保管証明書を発行させて引受金11億4680万円の払い込みを仮装。資本金を5億3000万円から11億340万円に増資したとして和歌山地方法務局に虚偽の法人登記をした疑い。
増資資金は登記直後、約6億5000万円が貸付金に、約5億円は飯倉HD傘下の海鮮料理店の営業権取得代金として、全額が飯倉HDに還流していたことが判明。しかし、岡本容疑者は「架空増資ではない」と否認している。
民間信用調査会社によると、飯倉HDは02年10月設立で資本金3000万円、従業員36人。04年3月期の売上高は2億5000万円で実態が不明な部分が多い。(毎日新聞) - 11月14日0時45分更新
「駿河屋」11億円架空増資問題 社長ら5人逮捕 上場維持目的
東京証券取引所と大阪証券取引所は同日、市場第二部に上場している駿河屋株を「会社の基本となる資本にかかわる事件」として監理ポストに割り当てた。東証には、上場株式の時価総額が十億円未満の企業は上場を廃止する基準があり、駿河屋は抵触のおそれがある銘柄として昨年五月に公表されたことから、捜査二課は同社が株価を保って上場を維持するため架空増資をしたとみている。
(産経新聞) - 11月14日2時37分更新
架空増資、投資会社が主導 駿河屋同意
和歌山市の老舗和菓子会社「駿河屋」(東証、大証2部)の架空増資事件で、電磁的公正証書原本不実記録容疑などで逮捕された投資会社「飯倉ホールディングス」前社長の上田高嗣容疑者(42)が、増資資金の調達方法を駿河屋側に提案していたことが14日、大阪府警捜査二課の調べで分かった。
同課は、多額の負債を抱えていた飯倉ホールディングスが駿河屋の新株を入手して資金を融通することをもくろみ、駿河屋に話を持ち掛けて架空増資を主導したとみて追及する。
調べによると、上田容疑者は増資に充てる資金の融資を銀行から受けるために投資家を介在させる方法を駿河屋に提案。昨年12月12日、投資家から提供された担保で銀行から12億円を借り、払込資金に充てた。(共同通信) - 11月14日15時25分更新
未発行株担保に融資を計画 当初から架空増資共謀か
和歌山市の老舗和菓子会社「駿河屋」の架空増資事件で、同社と引受先の投資会社「飯倉ホールディングス(HD)」は当初、発行される株式を担保に増資資金を引き出す計画を検討していたことが15日、大阪府警捜査2課の調べで分かった。
融資元が見つからずこの計画は頓挫したが、同課は両社が初めから架空増資のために共謀した可能性もあるとみて、駿河屋社長岡本良晴容疑者(57)ら5人=電磁的公正証書原本不実記録・同供用容疑で逮捕=を追及する。(共同通信) - 11月15日8時12分更新
あおぞら銀本店捜索へ=引受金、投資会社側に融資−第三者割当架空増資・大阪府警
老舗の和菓子製造業「駿河屋」(和歌山市)をめぐる架空の第三者割当増資事件で、投資会社が駿河屋に払い込んだ引受金約11億4600万円は、あおぞら銀行本店(東京都千代田区)が融資していたことが15日、分かった。(時事通信) - 11月15日11時1分更新
架空増資に12億円融資 駿河屋事件で大阪府警
12億円は3日で返済されたことなどから、捜査2課は12億円が架空増資に使われると知っていた可能性があると判断し、同日、東京都千代田区のあおぞら銀行本店を関係先として家宅捜索した。電磁的公正証書原本不実記録容疑などで和歌山市の駿河屋本店なども捜索した。
調べでは、あおぞら銀行は昨年12月12日、飯倉HDグループの中華料理店「海皇」(東京)に12億円を融資。12億円は飯倉HDに移され、増資金として、うち11億5000万円が駿河屋に払い込まれた。
融資の担保は大阪市の投資家の預金7億円で、投資家は飯倉HD側から差額5000万円の提供を受ける一方、海皇に7億円を融資した。(共同通信) - 11月15日12時10分更新
駿河屋架空増資、飯倉HD取得の100万株が不明に
老舗和菓子メーカー「駿河屋」を巡る架空増資事件で、駿河屋の新株940万株を取得した投資コンサルタント会社「飯倉ホールディングス(HD)」が「2年間継続保有」の契約に反して270万株を流出させ、うち100万株が行方不明になっていることが15日、大阪府警の調べなどでわかった。
飯倉HD元社長・上田高嗣容疑者(42)が株の一部を担保にした融資を第三者に依頼していたことも判明。府警は、上田容疑者が当初から、「見せ金」で得た駿河屋株で自己資金を稼ぐ計画だったとみている。
調べによると、上田容疑者は、架空増資で駿河屋の筆頭株主となった直後の昨年12月下旬、東京の金融業者に対し、280万株を担保に2億円の融資を依頼。都内で飯倉HD取締役・阿部昌平容疑者(44)らが出席して交渉が行われた。上田容疑者は別の業者を紹介してもらうなどしたといい、関係者は「最終的に数千万円の融資が実行されたようだ」と証言している。
交渉には、駿河屋取締役・下中親美容疑者(50)も同席していた。府警は、東証2部上場維持のため増資が不可欠だった駿河屋側が、飯倉HDの資金調達に新株が利用されることを内々に了承していた可能性があるとみている。
駿河屋の有価証券報告書によると、飯倉HDが保有する株数は今年3月末現在、670万株まで減少。流出した270万株のうち、170万株は飯倉HDの役員関連の会社など2社に名義変更されているが、残る100万株の行方が不明になっている。
調べに対し、上田容疑者は「新たな事業資金づくりのため、駿河屋株がほしかった」と供述しており、府警は、不明の100万株が飯倉HDの金策に使われたとみている。
◆あおぞら銀、5億円分が無担保融資◆
一方、府警の捜索を受けた「あおぞら銀行」本店が、「見せ金」の原資とされた12億円を昨年12月に飯倉HD側に融資した際、5億円分が無担保だったことが15日、府警の調べでわかった。融資先だった東京の中国料理店経営会社は当時、民事再生手続き中。銀行関係者は「こうした企業への無担保融資は通常、あり得ない」と指摘している。府警は、あおぞら銀行に「見せ金」との認識がなかったか慎重に捜査を進める。(読売新聞) - 11月16日6時46分更新
架空増資スキーム、関与していない=駿河屋問題で新光証券
新光証券は15日、同社が関与していたとされる駿河屋架空増資問題について、新光証券は、「昨年、駿河屋に対して飯倉ホールディングスを引き合わせ、両者合意の上で、第三者割当増資の手続き上のアドバイザリー契約を結んでいたが、報道されているような架空増資にかかわるスキーム、資金の流れについては知るよしもなく、一切関与していない」とのコメントを発表した。
15日付読売新聞夕刊は、「駿河屋架空増資事件」に関する記事の中で、増資を計画していた駿河屋に、新株引受先として飯倉HDを紹介したのは、新光証券だったことがわかったと報じた。同紙によると、新光証券は駿河屋の副幹事証券会社で、飯倉HDについて「無借金経営で資金に余裕がある」と説明し、推薦していたという。(ロイター) - 11月16日11時20分更新
焼き肉店譲渡名目に5億円 あおぞら銀、把握し融資か
和菓子会社「駿河屋」(和歌山市)の架空増資事件で、同社が引受先の投資会社「飯倉ホールディングス(HD)」(東京)傘下の飲食店経営会社「海皇」(同)に支払った5億円は、同社経営の焼き肉店買い取り代金名目で、営業権は現在も譲渡されていないことが16日、大阪府警捜査二課の調べで分かった。
巨額の資金を飯倉HDに環流させる目的で、実態のない契約を結んだとみられる。同課は、民事再生手続き中の海皇に12億円を融資し、増資資金を提供した「あおぞら銀行」(東京)もこうした契約内容を知っていたとみて架空増資への関与を捜査している。(共同通信) - 11月16日12時49分更新
駿河屋架空増資 未発行株で融資依頼 飯倉HD上田前社長
あおぞら銀、一度拒否
老舗和菓子メーカー「駿河屋」(和歌山市、東証・大証二部)の架空増資事件で、投資会社「飯倉ホールディングス(HD)」(東京)前社長、上田高嗣容疑者(42)=電磁的公正証書原本不実記録容疑などで逮捕=が、架空増資の資金十二億円の融資を受けた「あおぞら銀行」(東京)に対し、その二カ月前にも駿河屋がまだ発行していなかった株を担保にすることを事前に約束する異例の条件で融資を依頼、断られていたことが十六日、大阪府警捜査二課の調べで分かった。
府警は、少なくともこの時点で飯倉HDに本来の増資を引き受ける経営基盤はなく、架空増資で新株取得を画策していたと判断。資金還流が想定される巨額融資について、あおぞら銀行が一度は断りながら最終的に応じた経緯についても調べている。
調べでは、上田容疑者があおぞら銀行に融資を申し込んだのは十五年十月上旬。駿河屋は同月一日、飯倉HDが第三者割当増資を引き受けて経営参画することを発表しており、上田容疑者は必要な資金十二億円のうち七億円の担保について、増資で取得する予定の駿河屋株九百四十万株をあてる条件を示した。
残り五億円の返済については、当初から傘下の高級中華料理店(民事再生手続き中)の営業権を駿河屋に売る名目で五億円が還流されることを計画していた。
ところが、あおぞら銀行は未発行株を担保にすることの危険性などからいったんは融資を拒否。飯倉HDの資金調達失敗で、駿河屋は同月二十一日と十一月十七日の二回、第三者割当増資の中止を発表している。
この失敗を受けて上田容疑者らは、知人のテレクラ経営者にあおぞら銀行に七億円の預金をしてもらい、これを担保にすることを提案。あおぞら銀行側も応じ、十二月十二日に十二億円を融資していた。
飯倉HDは同じ日、駿河屋に新株の買い付け代金として十二億円のうち約十一億五千万円を払い込んで増資引き受けに成功。
駿河屋は三日後、うち約六億五千万円について、飯倉HDがテレクラ経営者から借りていた借金を肩代わり返済、さらに残りの五億円も高級中華料理店の営業権買い取り名目で飯倉HDに還流。飯倉HDは同日中にあおぞら銀行に全額返済していた。(産経新聞) - 11月16日15時37分更新
発行可能株数1・5倍に 駿河屋、新たな増資図る?
和菓子会社「駿河屋」(和歌山市)の架空増資事件で、同社は投資会社「飯倉ホールディングス(HD)」(東京)を引受先に架空の第三者割当増資を実施後、発行できる株式数を2000万株から3000万株に増やしていたことが16日、大阪府警捜査2課の調べなどで分かった。
同課は架空増資で現金が残らず、営業不振などで都市銀行に約8億円の負債もあることから、新たな増資を計画していた可能性があるとみて捜査している。
調べなどによると、駿河屋の発行株式は昨年12月の架空増資で940万株増え、2000万株となった。飯倉HD側から12億円が入金されたが、すぐに全額を飯倉HD側に還流させたとされる。
発行できる株式数を3000万株に増やしたのは、今年6月。前社長の岡本良晴容疑者(57)=公正証書原本不実記録容疑などで逮捕=は取締役会の承認を得ていた。(共同通信) - 11月16日18時45分更新
「近く訴訟和解」とうそ 駿河屋、不安ぬぐう目的?
和菓子会社「駿河屋」(和歌山市)が架空増資引受先の投資会社「飯倉ホールディングス(HD)」(東京)を相手に、増資時に還流させた資金の返還を求めた訴訟は、双方の主張が食い違ったままなのに、両社とも「近く和解する」と株主らに説明していたことが17日、大阪府警捜査二課の調べなどで分かった。
同課は訴訟自体が架空増資を疑う株主らを欺く目的があり、さらに和解が近いと知らせることで駿河屋への不安感をぬぐおうとした可能性があるとみている。
調べなどによると、駿河屋は今年4月、飯倉HD傘下の焼き肉店の営業譲渡代金5億円など計約9億7000万円の返還を求めて提訴した。(共同通信) - 11月17日6時41分更新
「あおぞら銀部長が指南」 投資会社前社長が供述 駿河屋架空増資
老舗和菓子メーカー「駿河屋」(和歌山市)の架空増資事件で、投資会社「飯倉ホールディングス(HD)」(東京)前社長、上田高嗣容疑者(42)が大阪府警捜査二課の調べに対し、架空増資の資金十二億円の融資を受けたあおぞら銀行(東京)との関係について「あおぞら銀行の部長から架空増資のやり方を教わった」と供述していることが十七日、分かった。
架空増資の一連の作業が行われている間、あおぞら銀行の担当者と上田容疑者が頻繁に連絡を取り合っていたことがすでに判明。府警は銀行の関与をさらに捜査する。あおぞら銀行広報室は「当時の融資の各担当者に調査したが、(架空増資の方法を教えたという)確認は取れていない。事実はないと思っている」としている。具体的な方法としては、飯倉HD傘下の高級中華料理店の営業権を駿河屋に五億円で売る名目で還流。残り約六億五千万円は、飯倉HDが上田容疑者の知人のテレクラ経営者から借りていた借金を駿河屋が肩代わり返済するかたちにしていた。
<監査人2人 3月に辞任 架空増資と判断し>
「駿河屋」の会計監査人二人が今年三月末、架空増資の事実を知り、辞任していたことが十七日、大阪府警捜査二課の調べで分かった。産経新聞の取材に対し、監査人二人はいずれも「守秘義務があり、話できない」としている。
調べでは、同社は今年三月、監査役会を開催し、会計監査人二人の辞任を承認、この際、辞任の理由について「病気」などと偽って公表していたが、監査人の一人は府警の参考人聴取に「役員の説明で架空増資と思った。監査報告書に会社の会計に問題がないとする『適正意見』を書くことができないと判断し、辞任した」と話したという。(産経新聞) - 11月17日15時19分更新