朝青８連勝ターン、ヤジに負けず秒殺

　「大相撲九州場所・８日目」（２２日、福岡国際センター）

　横綱朝青龍が栃煌山を送り投げで退け、初日から８連勝とした。土俵入りの際に「お前の相撲は横綱相撲じゃない」とヤジを浴びる場面もあったが心を乱さず、事前の作戦通りに白星を重ねた。横綱白鵬が勝ち、平幕の嘉風が敗れたため、優勝争いは両横綱のマッチレースの様相を呈してきた。

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　まばたきする間もなかった。立ち合い強烈な左張り手を一撃。栃煌山をひるませ、左に動き背後を取った時点で勝負がついた。送りつり落としを狙いつつ豪快に投げ捨て、全勝ターンを決めた。

　栃煌山は出げいこ先でけいこを重ねた相手。攻略のイメージは出来上がっていた。「左からまわしを取って攻めようと思った。イメージ通りの立ち合いだよ」と自画自賛。精神面についても「集中力がいいんじゃないかと思う」とうなずいた。

　実は横綱土俵入りの際、ハプニングがあった。花道で控えていると観客から「朝青龍！お前の相撲は横綱相撲じゃない」とヤジが飛んだ。周囲の視線が注がれる中、朝青龍はちらりと声の主をみるだけで、表情一つ変えず土俵入りを行った。

　短気なイメージとは反対の冷静さが安定感の一因だ。全勝が白鵬との２人だけになったことにも「普通。そういうことは考えない」と表情を変えなかった。両者がそろって全勝ターンした過去４回は、必ずどちらかが優勝している。静かな心で朝青龍がマッチレースを制する。