先進国への入り口で足踏みする韓国(下)

経済・社会発展指標で経済14位、社会統合26位、環境22位

■福祉と環境対策を強化すべき

 経済・人文社会研究会は指標について発表を行った直後、「韓国経済・社会先進化の条件」をテーマとする大討論会を行った。

 この席で専門家らは、韓国が先進国としての地位を確かなものとするには、成長一辺倒の政策から抜け出し、社会統合や環境に配慮しつつバランスの取れた経済政策が必要と強調する。ソウル大学社会福祉学科の安祥薫(アン・サンフン)教授は、「最近の韓国社会は中産層が崩壊し、貧困層が増加している。そのため生活の質を保障する社会資本を食いつぶしている」と指摘した。さらに「福祉を強化すれば、すぐにでも雇用が拡大して長期的には良い人材を育てることができる。一方で福祉に力を入れれば成長が阻害されるという考え方もあるが、社会的資本である福祉を拡大させても、生産活動とバランスを取ることは可能だ」と述べた。

 延世大学社会学科の金皓起(キム・ホギ)教授は「韓国は高齢化が進んでおり、50代半ばで退職すると、20年から30年は定職がないまま老後を過ごすことになる。これは深刻な問題だ。福祉で最も重要なのは雇用の創出であり、これは政権の課題ではなく国家としての課題だ」と述べた。韓国が環境分野で遅れている理由について、中央大学経済学科の洪起沢(ホン・ギテク)教授は「韓国は製造業の割合が非常に高く、とりわけ環境汚染を引き起こす石油化学が大きな比重を占めている。環境を考慮に入れるのなら、エネルギーを大量に消費する製造業中心から、サービス業中心へと産業構造を転換する必要がある」と提案した。

 韓国開発研究院(KDI)の全洪沢(チョン・ホンテク)先任研究委員は、「過去における発展のパラダイムは経済、社会、環境のうちの一部だけを重視してきたが、先進国となるにはこの三つの要素の間で良い循環が起こるように導き、それによってこれらが同時に成長できるようにしなければならない」と分析した。

方顕哲(パン・ヒョンチョル)記者

宣政敏(ソン・ジョンミン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

このページのトップに戻る