デンマークなど3か国訪欧に際し、同行できない皇太子妃の健康不調の原因を「雅子のキャリアや、そのことに基づいた雅子の人格を否定するような動きがあった」とする皇太子発言は、女に子を産ませることで維持される「世襲制」に支えられている自らの立場を棚に上げた、厚顔無恥な発言です。雅子が「世継ぎプレッシャー」にさらされるのは、他ならぬあなたの「妻」だからです。それがまるで「旧態依然とした制度」への挑戦であるかのような、ポジティブな発言として容認されていくことに、私たち女天研は強く反対します。 世継ぎを産んで一人前といった女性にのみ押しつけられる「旧態依然とした制度」をその存在基盤とすることで、権威と特権的地位を得ているこの夫婦に、一般人とはまったく異なる次元で「世継ぎ」が重要視されるのは至極当然のことです。不妊治療を強要してでも世継ぎを産ませようとするグロテスクさは、“万世一系”“伝統”を継承することで成立する特権階級・天皇家そのもののグロテスクさであり、皇太子夫妻が寄って立つ基盤の本質なのです。
はっきりしておきたいのは、男か女か、直系か傍系かといった序列を明確に規定する皇室において、女性の「人格」など尊重されてきたためしはない、ということです。求められるのはつねに「笑顔」。健やかさ、美しさ、聡明さ、子への愛情、順調な夫婦関係を演出するための「笑顔」です。また、雅子が外交官としてのキャリアを「真の意味で」生かすとすれば、それは「皇族」には禁じられた恣意的な公の政治的言動を行うことを意味します。そもそも雅子が仕事を辞めたのも、皇太子という次期天皇が結婚相手だったからです。女性がどうしてもその仕事を断念してしなければできない結婚など、一般人にはありえない。それを十分承知の上で、雅子との結婚を望んだのは誰ですか? 雅子のキャリアをまっ先に否定したのは、他ならぬ、皇太子です。
現に、宮内庁はこの発言を受けて「公務の内容を見直す」などと発表しました。天皇皇后の口添えあってのこと! こんな親バカ丸出しによる権力行使を決して許してはなりません。私たち一般人の「人権」感覚から率直にいえば、雅子は今すぐ皇太子と「離婚」して、こんな一家から離脱すべきです。 2004年5月29日 女性と天皇制研究会 |