11月2日 この事件に関する公式発表
10月30日付の南アフリカランド/日本円取引において、取引終了間際の4時59分についた値段は、その時点に おいて、市場動向からマーケットメイカーが提 示した市場レートであり、システム障害等によるものでは ありません。ご理解の程宜しくお願い致します。 (本件に関するお問合わせ先) 株式会社 東京金融取引所 業務部 為替証拠金取引監視グループ
11月6日 10月30日付け南アフリカランド/日本円取引についての措置
2009年11月6日 各 位 株式会社東京金融取引所 10月30日付け南アフリカランド/日本円取引についての措置 発生事象 1. 10月30日付の南アフリカランド/日本円取引において、取引終了間際の4時59分33秒に、直近約定レート に比べ約30%円高となる8.415円の約定が成立しました。本約定は、「くりっく365」市場におけるマーケット メイカー1社が提示したレートにより成立したものです。 2. 当該日時においては、NYにおける米ドル等の主要通貨の急速な下落や、株価の急落などから、南アフリカ ランドを含むマイナー通貨に関して流動性が急速に低下している状態であり、同社は、これらの急激な変動を 踏まえ、同社のシステムに従って、極めて広いスプレッドのレート提示を行いました。その結果、当該8.415円 が提示された直後に、11円台でのレートのビッドが全て約定され、残った8.415円のビッドも瞬時に取引される ことになりました。 本件に対する措置 1. 本件は、取引終了間際の特別なタイミングにおいて、約30秒間という瞬間的なレート提示およびその他の レート提示がないという、特殊な状況における約定でありました。本取引所では、24時間の監視体制の下、 マーケットメイカーから提示されるレートについて、市場実勢から乖離したものは異常レートとしてチェック する体制を整えておりますが、上記のような瞬間的な事象であったことから、時間的に対応できなかったもの であります。そのため、結果的に異常なレートに基づく取引がなされたと判断し、当該約定に基づいて ロスカット発動等がなされた結果、不測の影響等を被った投資家に対して、当該マーケットメイカーとの間 で、以下の措置を講ずることといたしました。 ・今回の結果的に異常な価格で約定された取引及び当該取引を直接の起因とするロスカット取引について、 希望者からの申請に基づき、当該価格での反対取引を行う。 ・本措置は、2009年11月13日(金)15:00-まで当該取引を行った各取扱業者において希望を受け付ける。 2. 「くりっく365」市場のマーケットメイカーは、世界の為替市場における有力なプレーヤーであり、 世界の市場環境並びにリスク管理等を勘案しつつ、市場実勢に沿ったレートを提示するという合意に基づき、 マーケットメイク業務を担っています。本取引所は、マーケットメイカーに対し、その基本的認識を、 常に要請・確認しているところです。さらに、上記で述べているとおり、本取引所は、24時間の監視体制のもとで、 提示レートの妥当性のチェックを行っています。過去において、本取引所の監視により異常なレートを排除して きております。今回の事象は、瞬間的なレート提示であったために、実際上、レートの確認等を行うことが 時間的に不可能でありました。そのため、今回の事象発生を踏まえ、システム的な手当てを行い、極めて 短時間のレート提示であっても、自動的にレート提示を拒絶する方策を講ずることとします。 3. 本取引所は、公的な取引所として、市場デリバティブ取引の公正かつ円滑な実施を確保するとともに、 投資者の保護に資する市場運営を行っております。「くりっく365」取引については、経済の激変時等に おいても、投資家が手仕舞い等を行えるような流動性の確保に配慮し、可能な限りレート提示を継続する ことに努めるとともに、レートの妥当性についてもより一層十二分に監視を行い、「くりっく365」市場 についての投資家の皆様の信頼が維持されるよう、全力を尽くす所存です。 以 上
11月20日「くりっく365」マーケットメイカーの提示レートに係る新措置(受付制限)
2009年11月20日 各 位 株式会社東京金融取引所 「くりっく365」マーケットメイカーの提示レートに係る新措置(受付制限) 1.現状 (1)「くりっく365」市場では、マーケットメイカーは市場実勢に沿って誠実にレートを提示するという義務を負っており、 それを前提と して取引システムが構築されています(各マーケットメイカーは本取引所にその旨の誓約書を差入れています)。 従って、今回のマーケット メイカー1社(コメルツ銀行)による異常レート提示のような事象は、システム構築にあたって想定外の ものでありました。 (2) 上記(1)の前提のもと、取引所システムは次の機能を備えております。 ①マーケットメイカーからの提示レート及び投資家からの注文について、錯誤又は誤入力を防止する為、一定幅を超えるマーケット メイカーからの「高い買レート及び安い売レート」並びに投資家からの「高い買注文及び安い売注文」の受付を制限する機能を設けています。 一方、マーケットメイカーによる「安い買レート及び高い売レート」については、マーケットメイカーが市場実勢に沿ってレート提示を するという前提のもと、流動性確保の観点から、受付を制限する機能を導入しておりません。 また、投資家の「安い買注文及び高い売注文」についても、投資家保護の観点からチェックする必要が無い為、受付を制限する機能を 装備しておりません。 ②マーケットメイカーの提示レートについては、①に加え、さらに狭い幅でチェックを実施しており、実勢とかけ離れたレートが市場に 提示される事がないよう、当該マーケットメイカーの直前提示レートから予め設定してある乖離幅以上のレートを拒絶するシステム チェック機能を備えています(この乖離幅は①の制限より相当狭いものとなっています)。 即ち、直前提示レートから乖離したレートが提示された場合には、市場実勢に沿ったレートを提示するよう、一定回数拒絶する機能です。 当該マーケットメイカーについては、直前提示レートから0.3%以上の乖離が発生した場合には、30回提示レートを拒絶する設定となって いました。しかしながら、今回の南アフリカランド/日本円取引については、緊急スプレッドを適用しキャンセルメッセージを出した結果、 極めて乖離したレートが提示されました。 (3) さらに、市場監視担当者が24時間体制で目視によるレート監視を行っており、異常なレートが提示された場合には、速やかに マーケットメイカーに問合せを実施し、正当な根拠がないと判断される場合は、レート提示を停止する扱いとしております。 しかしながら、今回の南アフリカランド/日本円取引においては、当該マーケットメイカーによって取引終了間際に異常なレート提示が されたため、監視担当者がレート提示を停止することは不可能でありました。 2.新措置 (1) 上記事象の発生に鑑み、マーケットメイカーに対してのみ、1.(2)①の機能に加えて、一定幅を超える「安い買レート及び 高い売レート」をシステム的に制限する新措置を、11月23日(月)取引より導入することとしました。 (2) 本措置の導入の結果、マーケットメイカーの錯誤でも、不適切なレート提示でもなく、市場環境の急変を反映した市場実勢で あったとしても、直前の相場から大きく動いた場合において、極めて稀ではあると思われますが、レート提示がなされない状況が発生する 可能性がありますことをご理解願います。 (3) 当該マーケットメイカーに対しては、 ①11月10日(火)より、当該マーケットメイカーに対する特別の臨時考査を実施し、真相の究明を進めております。 ②上記考査等による実態の解明と当該マーケットメイカーによる適切な対応策の実施が確認されるまで、レートの提示を全て停止して おります。 以 上 【補足説明】 10月30日付の南アフリカランド/日本円取引にかかる事後措置について 1.約定取消措置の不適用 (1)市場で一旦成立した取引の価格修正をするという約定取消措置は、元の約定を取消した上で、新たな価格で取引を発生させる処理となります(いわゆるバストと称する)。 (2)金融取では、取引所システム障害時において誤って約定した取引についてのみ、多数の取引利害関係者の不測の影響を回復するために、 約定取消(バスト)を行う制度を導入しており、その旨を取引関係者にも周知しています。 システム障害に起因しないその他の場合は、取引の安定性等を重視し、約定取消措置は適用しません。 (3)本件のように、取引所システム障害に起因しないものについては、 ①MMは市場実勢に沿って誠実にレート提示を行なうという大前提があり、MMが錯誤でもなく、異常なレートを取引所システムの二重の 防止機 能を通過して提示するということは、想定していないこと、 ②多数の取引関係者が利用するシステム取引において、システム障害でないにもかかわらず、一旦約定が成立した取引を過去に遡って 取消することについては、取消を発動する客観的基準を定めることが困難であること、取消後に成立した取引に不測の悪影響を生ぜしめ 多くの利害関係 者に不測の混乱を招くこと、及び取引の安定性を保持出来ないこと、 等から、約定取消(バスト)の対象とはしていません。 2.特例的回復措置 (1)今回の措置は、上記1.の通り、約定取消措置には該当しないため、事後に特例的に講じた回復措置であり、これは、公的取引所として、 取引の公正確保及び投資家保護の観点から、取引所の権限と責任において、影響を被った投資家を回復するために行なったものです。 (2)本措置については、本事案発生直後の11月2日(月)から直ちに、着手・調整を始めましたが、 その決定には、 ①先ず、対象取引範囲の確定及び回復対象者の把握が必要であること、 ②回復措置の反対取引者となる当該マーケットメイカーと調整することが必要であったこと、 等により相応の時間を要しました。
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