【ローマ=南島信也】イタリアのラツィオ州前知事の買春疑惑の渦中にあった、男性からの性転換者が20日、ローマの自宅で焼死体で見つかった。警察当局が殺人事件とみて捜査を始めた。
ANSA通信によると、この人はブラジル出身で、体に可燃物をかけられ焼かれたとみられる。台所の流し台の水中に、ノートパソコンが沈められていた。売春の顧客データなど証拠の隠滅を図った可能性があり、警察でデータの復元作業を行っている。
ラツィオ州のマラッツォ前知事は10月までの在職中、焼死した人とは別の性転換者とホテルの部屋で一緒にいる場面を、カラビニエリ(警察軍)所属の4人の警官にビデオで盗撮された。有名人の私生活を盗撮して恐喝していたこの警官らが、マラッツォ氏からも現金を脅し取ったことが事件になり、同氏の買春疑惑も表面化した。マラッツォ氏は今回焼死した人との関係も浮上し、10月末に知事を辞職していた。
「顧客」として、最大野党・民主党の複数の政治家や財界人らの名前が取りざたされており、大スキャンダルに発展する可能性もある。