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小宮一慶の「スイスイわかる経済!“数字力”トレーニング」

JALへの公的支援
誰が損をし、得をするのか

 今後、JALが私的整理をする可能性もありますが、そこで銀行がどれだけ負担をするのか。それを注意して見る必要があります。

 もちろん日本の銀行がボロボロになって、また金融不安が起こるというのはよくないことではありますが、銀行側にもJALに資金を貸した責任はあります。金利も取っています。

 また、株主の責任を問わないのもおかしな話です。さらに言わせていただくと、JALの問題は政策投資銀行の審査能力の問題にも関わってきますから、こちらにも責任があります。

 そういうことが、このままではあやふやになってしまうのです。

 JALが立ち直ればいい問題かもしれませんが、先程も申し上げたように、厳しい経済環境の中で、問題が先送りされるだけになる可能性もあります。

 すると、国民の負担をさらに大きくした上に、どこかで破綻してしまうということもあり得るわけですから、ここで一旦、民事再生手続きや会社更生手続きなどの法的整理をしたほうが、すっきりしていいのではないでしょうか。

 それでもやらないということであれば、裏があると思った方がいいでしょう。

 誰が損をし、誰が得をするのか。この問題では、表向き上はJALの社員やOBということになっていますが、実はそうではありません。新聞記事を深く読むことで、表面では見えないものが見えてくるのです。(つづく)

小宮一慶(こみや・かずよし)
経営コンサルタント。小宮コンサルタンツ代表。十数社の非常勤取締役や監査役も務める。1957年、大阪府堺市生まれ。81年京都大学法学部卒業。東京銀行に入行。84年から2年間、米国ダートマス大学エイモスタック経営大学院に留学。MBA取得。主な著書に、『ビジネスマンのための「発見力」養成講座』『ビジネスマンのための「数字力」養成講座』(以上、ディスカバー21)、『「1秒!」で財務諸表を読む方法』(東洋経済新報社)、『お金を知る技術 殖やす技術』(朝日新聞出版)他多数。
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