では、JALの収益性を考えてみましょう。11月13日に発表された2009年9月期の中間決算では、1312億円の赤字となりました。では、将来的にJALは収益力を上げることができるのでしょうか?
今は世界的に景気が低迷していて、再び底割れする可能性があるという状況です。それから、今まで高収益だったビジネス客が非常に減少しています。さらに、インフルエンザの流行もありますし、2010年には羽田空港の第4滑走路ができることや成田空港の滑走路の延伸によって航空会社の競争がさらに激しくなるでしょう。
このような状況下で、実質的に債務超過になっている企業がこのまま順調に負債を返済できる可能性というのは、私はほぼないだろうと判断しています。
年金より資金繰りの問題
しかし、それでもJALは日本にとって必要というのであれば、どうすればよいのでしょうか。それは、負債を削減するしかありません。
負債の中で、大きな問題になっているのは二つあります。一つは、銀行からの借り入れの有利子負債や、社債。もう一つは、年金です。
年金の積立不足も大変ですが、これはすぐに必要な資金ではありません。直近で必要なのは、銀行などへの借り入れを返済する資金と給与などの運転資金です。
右の表を見てください。これは、JALの当第1四半期連結会計期間末(平成21年6月30日)のデータから負債の部を抜粋したものです。
営業未払金が1734億9400万円、短期借入金が163億3100万円、1年内償還予定の社債370億円、1年内返済予定の長期借入金1469億7900万円。つまり、短期で返済しなければならない負債が合計でおよそ3700億円あるのです。その他なども入れると6千億円以上あります。
短期的には年金より、そちらのほうが大変な問題です。しかし、返済のめどは立っていません。3700億円もの返済を迫られているのにも関わらず、利益が出ていないのですから、銀行が追加で貸さないと言うのであればもう破綻してしまうわけです。
つまり、短期的な資金繰りの問題が大変なのです。そこで政府が「つなぎ融資を出します」という話をしているわけです。
さらに表の下のほうの返済期限が1年を超える固定負債を見ていくと、社債が502億2900万円、長期借入金が5829億1700万円とありますが、これらの返済もこの先どんどんやってきます。
それにプラスして、年金の実質的な負債が何千億かあると言われているのですが、短期的には年金よりも有利子負債の返済の方がはるかに大変な状況にあるわけです。