それすらもせず、わざわざ年金を引き下げる法律をJALのために作るのか、理解に苦しむところです。
なぜ、新旧分離や民事再生手続き、会社更生法の適用を行わないのでしょうか? それはそうすることで得をする人たちがいるからです。
JALへの公的支援の背景にある「銀行」の存在
逆に言うと、法的整理を行わない理由は、それらを行うと損をする人がいるからです。下の日経新聞の記事を見てください。銀行の話なので、一見、JALと全く関係ないように思われるかもしれませんが、実は大きな関係があります。
「主要国の銀行監督当局は世界で活動する主要な銀行に対して、自己資本規制を強化する。資本としての質が高いとされる普通株と内部留保を足し合わせた自己資本が一定の水準を上回るよう求める新たな規制を設ける。優先株や優先出資証券は原則として新基準への算入を認めない方向だ。(略)大手邦銀の一部は普通株の追加発行による多額の資本調達を迫られそうだ。」(2009年11月6日付 日本経済新聞朝刊)
バーゼル銀行監督委員会で、銀行資本規制を強化するという話し合いが進められているという記事です。
ここで、「自己資本比率」について復習です。「自己資本比率」とは一体何でしょうか?
まず、資産というのは、財産のことです。現金や土地などが含まれます。
次に、財産を賄うためには、お金が必要です。それを「負債」という形と「純資産」という形で賄います。これらを表したのが上の図になります。
「負債」というのは、人から借りてきたお金のことです。例えば銀行の場合だと、預金だとか、コールの借り入れも含みます。負債は、必ず返さないといけないお金です。
「純資産」というのは、株主が出したお金と、利益の蓄積です。もちろんこれは、返済義務のないお金です。
そして、「資産」を賄っているお金のうち、「純資産」の比率を「自己資本比率」と言います。
銀行の自己資本比率は独特の計算方法がありますが、原則は一般企業と同じです。その自己資本比率が、国際的に業務を行う銀行は、今までは8%以上と規制されていましたが、まだ、正式に決まったわけではありませんが、2012年からは12%以上にするよう、段階的に導入しようと話し合われているというわけです。記事にもありますが、一部の銀行では資本金の調達を迫られる可能性があります。
一部の報道によると、9月末のJALへの融資残高は、日本政策投資銀行が2758億円、みずほコーポレート銀行が774億円、三菱東京UFJ銀行が734億円と言われています。