株式 [ 企業を知るには製品から ]
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レジ袋の無料配布中止をいち早く実施するなど、環境にやさしいストアを目指す!
- 地球温暖化が問題となってきている中、各企業ともCO2排出量の削減に力を入れている。そんな中、積極的に環境保全活動に取り組んでいるイオンは、ショッピングセンター(SC)を、より環境への配慮を高めた“エコストア”としてオープン。同社に『エコストア』について話を聞いた。
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太陽光発電を利用した店舗をオープンしたのは27年前
- SCを“エコストア”化させるずっと前から、環境に配慮した店舗づくりを進めてきたというイオン。1997年の京都議定書(※)をきっかけに、小売業界トップとしての使命を果たすべく、同社は本格的に動き出した。その大きな成果が『エコストア』だ。「約27年前に太陽光発電を利用した店舗をオープンさせるなど、店舗ごとに地道な取り組みは続けていました。『エコストア』は、弊社が長年にわたって蓄積してきた環境保全のノウハウをすべて盛り込んだ集大成の店舗といえます」(グループ環境・社会貢献担当 上山静一氏)。
- そんな同社の『エコストア』は、3つの柱からできている。1つ目が店舗開発と店舗オペレーションの面で、CO2の削減と生産性向上につながる新しい仕事の仕方をつくること。「CO2の削減だけでは、企業の環境保全の取り組みは長く続きません。そこで、生産性を向上させることで、CO2の削減も行いつつ、企業としても経済成長していこうということです」。2つ目は商品のつくり方や包装材、運び方を変えること。「例えば、包装材をバイオマス資材に代えたり、物流をできるだけ環境に負担のかからない方法に変えていくなどです」。3つ目は大幅なCO2の削減や省エネルギー、省資源を消費者とともにやっていこう、というもの。「その一つの取り組みが、お客さまと一緒に木を植えるという活動です。これは、エコストアだけでなく、SCをつくるときにはいつも行ってきたことです。この活動によってイオングループ全体で800本の木を植えることができました」。この3つの柱を基に2005年5月初めてイオンの“エコストア”がオープンした。
- (※)1997年12月に京都で開催された「気候変動枠組条約第3回締結国会議(COP3)」で採択された、二酸化炭素(CO2)など6種類の温室効果ガスについての排出削減義務などを定めた議定書。
イオン柏SCの両面受光式太陽光発電の様子
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第1号店は名古屋「イオン千種ショッピングセンター」
- 記念すべき『エコストア』第1号店は、名古屋市千種区の「イオン千種ショッピングセンター」。「このSCに導入した、環境保全への主な取り組みは、風力発電、太陽光発電、井水や雨水の利用、壁面緑化などですね」。井水や雨水の利用に関しては、豊富な井水を利用することで地域の給水負荷軽減を図っている。例えば、空調の冷却水に利用することでかなりの省電力となるのだ。壁面緑化については、日射による熱付加を減らすとともに、消費者に環境への関心を高めてもらえるよう視覚的効果もあるという。「これらの取り組みによって、同店は目標のCO2削減量に対して、91%という高い達成率をあげました」。
- その後、『エコストア』ではないが、イオン三川SCで100%リサイクルできるクールカーペットという床資材を試験的に使用。その結果、今までの資材と比較して約35%ものCO2を削減できることがわかった。今後はこのクールカーペットも『エコストア』に導入されていくという。このように、同社の店舗は『エコストア』以外の店舗で効果をあげた取り組みを、新たな『エコストア』に導入していくことでも、より多くのCO2削減を可能にしている。
イオン千種SCの壁面緑化
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一番注力したのは、従業員たちの意識改革
- さまざまな取り組みによって成果をあげている『エコストア』だが、オープンさせるにあたっては苦労した点もあったという。「なによりも店舗開発担当者たちの意識改革が大変でした。今までは、ゼネコンさんから提案されたものの中から選ぶ、という受身な仕事の仕方でしたから、それを情報は自らで探しに行くものだという考え方に変えていったのです」。この新たな考え方を根付かせるための方法はいたってシンプルだ。「まず目標ありきです。店舗づくりを始めるときにCO2削減量の目標数値を決めます。店舗開発者はそれが達成できるような店舗づくりを考える。そこでもし、既存の資材を使用しては達成できないとわかると、どうにかしてもっと環境にやさしい資材がないかを考えるんですね」。その結果、資材調達先が海外ということも少なくない。例えば、上述したクールカーペットの販売先は海外の企業。まさに店舗開発者が自ら探してきて、提案した結果、大きな成果をあげたものの一つといえる。「誰でも今までの仕事の仕方を続けがちなもの。そこをいかに変えられるかです。慣性の法則との戦いですね」。数千人もの店舗開発者がいるという同社。これからも意識改革は続いていくという。
イオン柏SC壁面緑化の様子
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目標は2012年度までにCO2排出量を30%削減!
- そんな『エコストア』では、同社の環境問題に対する取り組みを消費者に知らせるため、最近では一つひとつに説明書きをおいているという。「読まれたお客さまからは『このお店が好きになった』などという声をいただき、大変うれしく思っています。しかし、私たちの反省点はこれらのさまざまな取り組みをお客さまに十分にお知らせできなかったことです。そこで、説明書きをおくようにしました」。これからの課題は、環境問題に関する取り組みをさらに強く発信していき、より多くのお客さまにイオンの活動を知っていただき、イオンを好きになってもらうことだという。
- そして、今後のCO2削減目標については、2012年度までに2006年度の総量比で30%削減することを目標としている。「2006年度にグループ全体で370万CO2トンを排出していました。それを30% 削減することは、店舗数も年々増えていく中、ありとあらゆる技術を導入しなければ達成できない数字です。それでも当社は挑戦する姿を皆さまにお見せすることで、世の中に環境問題を問いていきたいのです」。より環境にやさしい店舗づくりを目指し、果敢に取り組んでいるイオン。環境問題から逃げない同社の今後を見守りたい。
イオン柏SC保水道路の様子
- 執筆:QBR、掲載日:2008年月7月29日
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