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国連:予算分担率で激しく対立 日米欧と新興国

 【ニューヨーク小倉孝保】国連総会第5委員会(行財政)で、通常予算(事務経費)と平和維持活動(PKO)予算について各国の分担率を決める交渉が続いている。国連の分担率交渉は通常予算が3年ぶり、PKO予算が9年ぶり。経済が急速に発展し予算負担能力が高まる中国、インドなどと、これまで高い分担率を担ってきた日米欧の意見が激しく対立し、交渉はクリスマス前までもつれ込みそうだ。

 国連の予算は、「加盟国の支払い能力」に基づいて分担すると決まっている。具体的算定法は各国の話し合いで決定しており、通常予算は最近は3年ごとに改定、PKO予算については00年、「9年後に見直す」となった。06年に決まった通常予算の分担率は、各国の直近6年(99~04年)と同3年(02~04年)の国民総所得(GNI)の年間平均値が基準だ。

 しかし、中国などはGNIは増えているものの1人当たり換算ではまだ世界平均値を下回っているとして、「国民生活は途上国水準であり、GNIをそのまま分担率の基準にすべきでない」と主張。このため、中国などは「低所得割引調整」により分担率が下げられ、その分を日本などが負担してきた。

 PKO予算の分担率は、安全保障に責任を持つ国が多く負担すべきだとの考えから、安全保障理事会の5常任理事国(米英仏中露)がやや高く分担し、日本などは通常予算の分担率が適応されている。

 現在の分担率は通常予算(08、09年の2年で41億7100万ドル=約3754億円)が、米国22%(定率)▽日本約16.6%▽ドイツ約8.6%▽中国約2.7%▽ブラジル約0.9%▽インド約0.5%--など。PKO予算(1年で約75億ドル)は、米国約26%▽日本約16.6%▽ドイツ約8.6%▽中国約3.1%--など。

 現在の算定方式を今回、そのまま当てはめれば、通常予算の分担率は米国は22%のままだが、日本は12.5%と4.1ポイント下落。一方、中国は3.2%、ブラジル1.6%と増える。

 しかし、中国、ブラジル、インドなど経済が急成長している国々について、日本や欧米諸国は「低所得割引調整」を見直し、より多く負担するよう要求。一方、中国、ブラジル、インドなどは、その他の途上国と共闘して現在の算定方法を採用するよう主張している。

 日本の場合、経済の落ち込みで分担率が下がることは確かだが、「下がり過ぎることで発言力が低下する」(日本外交団)ことへの懸念もある。分担率交渉は10月にスタート。話し合いによる全会一致を原則としているが、妥協点が見つからない場合、総会による多数決で決定する。

毎日新聞 2009年11月21日 21時16分

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