|
その後、変わったのか気になって、最近、同社の教科書を調べてみた。彼が言ったとおり高3の歴史教科書の改訂版には「独島」と出ていた。フランスの教科書が独島を単一表記したのは今回が初めてだ。アティエ側は「韓国政府の説明を聞いたら、当然、独島と表記しなくてはならないと思った」と説明した。しかし出版社側は狼狽したこともあったと言った。昨年、アティエ出版社の独島表記計画が報道されると、駐フランス日本大使館から抗議の手紙が来たのだ。手紙は竹島と表記するのが正しいという内容だったが、論理を語るというよりは、一方的な主張に近かったという。
出版社側は執筆陣の判断によって独島と直すことはしたが、気をもんだ。自分たちの決定が外交問題に飛び火しないか懸念しているようだった。日本の狙いはまさにそれだ。執拗に働きかけて脅かし、気を使いたくなくても竹島とそのままに放置させるのだ。
昨年、フランスのルーアンのある高等学校では、正規の授業時間に初めて韓国語・韓国文化の授業を始めた。韓国政府が長い時間をかけて実現させたことだ。関心が高まり、この授業はすぐににパリとボルドー、ナントなど大都市の10校に広がった。第2外国語の授業として韓国語の講座を取り入れたいとする学校もあるという。すると日本がまた割りこんだ。これらの学校を訪ねは「日本関連の授業も入れてほしい」と押しつけているというのだ。ある校長先生は「韓国関連の授業を始めるときに、急にどうして日本の方からやってくるのかわからない」とし、韓国大使館にその理由を聞いてみたという。
ヨーロッパ各国で「漫画」を広めた日本文化の人気は、ハリウッド文化商品と競っても全く押されないほどだ。だからほとんど知られない韓国文化の授業と日本文化の授業が同じ学校で同時に始まれば結果は明らかだ。日本外交官たちにはそれが任務なのではないかと考えてもみた。しかし韓国側が何かちょっとやってみようとすることを、鬼神のように見つけ出しては妨害して歩くのはどうも理解できないことだった。
鳩山政権になり、世界が日本の変化にかける期待は大きい。しかし依然としてあちこちで繰り広げられる彼らの度量の狭い行動を見ていたら「一国の水準なんて簡単に変わらないのだな」と思う。
パリでたびたび会うあるフランスの医師は寿司を好んで食べ、日本映画とマンガにすっかりはまっている。そんな親日派が日本に対してはこう言う。「日本人は1人と会えば皆、礼儀正しくて教養があるのに、どうして2人以上となると、そのように非理性的になるのかわからない」それがまさにヨーロッパが見る日本、日本人だということを、そしてその理由を彼らは知るといいであろう。
パリ=チョン・ジンベ特派員