2009年11月21日

オリエンタルランドの「掟」やぶりを批判する

<引用開始>
応募500万通以上!嵐がTDS貸し切り

 「嵐」が20日、千葉・浦安の東京ディズニーシーで貸し切りイベントを行った。船上でミッキーマウスなど44体の人気キャラと共演。ディズニーのクリスマスメドレーや「A・RA・SHI」などの嵐スペシャルメドレーを歌い踊った。



 同所でタレントが持ち歌を歌ったのは初めて。松本潤(26)は「ディズニーの世界に自分の曲が流れて不思議」と笑顔を見せれば、相葉雅紀(26)は「(キャラに)見とれちゃう」と“夢のコラボ”を満喫していた


<引用終了>

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091121-00000048-spn-ent

  

ディズニー・テーマパークの良識を超えています。これでは、オリエンタルランドは「金権主義」と言われてもしかたありません。

 


東京ディズニーランドのオープン当初のカウントダウンパーティに、有名歌手をアドベンチャーランド・ステージなどの個別のステージに上げることはありました。これは、シンデレラ城前にゲストが集中するのを防ぐために行われたものであり、集客のためのものではありません。

 


この「貸し切り」がどのようなものであったのかは分かりませんが、スポンサー企業が絡んでいるところをみると、スポンサー企業であるJCBが東京ディズニーランドの夜間数時間を貸し切って開催される「マジカル・ファンタジー・パーティー」と同じ企画だったと思います。

http://www.tokyodisneyresort.co.jp/party/magical.html

 


私は正直、悲しくて涙しています。ここまでオリエンタルランドが「落ちた」ことに対してです。 (「嵐」が品質を下げたと言っているのでは決してありません。反対に「嵐」だからオリエンタルランドはOKしたのであり、スポンサーが「ど演歌歌手」をミッキーたちと共演させたいと申し出たら断ったことでしょう。)

 


出演者は「ディズニーの世界に自分の曲が流れて不思議」と話していますが、実感でしょう。なぜならば、(私が知っている限り)今まで、巷のタレントとミッキーたちがディズニー・テーマパーク内で共演することはなかったからです。


 
前述したように、オープン当初はタレントの力をお借りすることもありましたが、数年で「もう止めよう」と全社的に意思統一した経緯があります。 


その理由です。ディズニー・テーマパークの主役はミッキーやミニーであり、決して時の有名人ではないからです。一時的であっても、ミッキー、ミニーを主役でなくすことはディズニー・テーマパークのしてはいけない「掟」であると、ディズニー関係者の誰もが認識していたと思います。




ですから、JCBの「マジカル・ファンタジー・パーティー」でも、その「掟」は守られていました。あくまでも「ディズニーの世界をお貸しする」というポリシーに従っていただきました。 


今回、オリエンタルランドはスポンサー企業の圧力に負けたのか、それとも3,500万円という売上を目的にオリエンタルランド側から話を持ちかけたのかは分かりませんが、実際に開催されてしまったのは事実です。 


東京ディズニーランドには、開園以来「絶対に設置しない」としてきたペットボトルの自動販売機があります。これもディズニー・テーマパークの「掟」破りです。 


来年は、加賀美会長の下で1997年から実行されてきた「OLC2010ビジョン」の最終年です。すべてではありませんが、私は、この計画はディズニー・テーマパークの心の活力を低下させるという理由で反対してきました。 


今、このように下落したディズニー・テーマパークの品質をみると、私の提言は正しかったと言わざるを得ません。 


最後に私の提言が正しかった理由を明示します。それは、私たち東京ディズニーランドを創ってきた人間は、誰もが以下の言葉を信じて疑わなかったからにほかなりません。 


after Disney

今では、私のスタッフ、若い世代の重役陣、その他すべての人々が

「ウォルトは正しかった」と確信していると思う。

品質こそ、成功の鍵なのだ。

これは、ビジネスとしてもよい方針だということを証明されたのだから、

彼らは将来も、このポリシーに沿って進んでいくだろう。

人々に、自分のもち得るすべてを与えよ。パークをできるだけ美しく保ちなさい。

そして、親しみやすい雰囲気にすること。ここを、本当に楽しい場にしなさい。

彼らは私の方針をよく理解しているし、それをそのまま実行し続けてくれる、

と信じている・・・つまり、

皆の言うように・・・「ディズニー亡き後」も。

ウォルト・ディズニー