イレたらしまい、投げたらしまい=犬丸正寛の相場格言
11月20日(金)9時18分配信 サーチナ
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「イル」とは、「炒める」、「煎じる」に近い意味でしょう。「しまい」とは終わりの意味です。フライパンなどで、水分がなくなるまで火で熱します。「煮詰める」より、もっと熱そうです。このため、売り方を締め上げるときに使われる言葉です。
相場が下がると読んだ場合、株券を借りて売りつけることを「空売り」といいます。普通一般では、保有している株券を、相場が下がると思えば売るのです。しかし、空売りの場合は、自分で保有していない株券を証券会社などから借りて売るやり方です。そこには、「相場は下がるだろう」という投資家自身の見通しだけが支えです。もちろん、下がれば、株券の賃料と売買手数料のコストを払うだけで、儲けを手にすることができます。当ればハッピーです。しかし、外れたら大変です。昔の北浜では、空売りで自殺者も出たほどです。
相場はご存知の通り、なかなか、思った通りには動いてくれないものです。借りたものは返さなくてはいけないのが世の約束事です。通常、株券を借りることのできる期間は6ヶ月です。その間に勝負ということです。多くの投資家が企業業績などに比べ、株価が割高と判断すれば、空売りをする人が増え、「空売りが積み上がる」ことになります。
たとえば、ジーエス・ユアサ コーポレーション <6674> 。08年10月の安値182円から上げに転じ、特に、300円を超えたあたりから、「空売り」が増え始めました。09年に入っては、さらに、空売りが積み上がったのです。09年3月期の1株利益11円に対し、PERが70倍にも達し、誰がみても「割高」だったのです。しかし、株価は上がり続け、遂に、6月には1228円の高値をつけたのです。
この高値をつけた背景となったのが、空売りの買い戻しでした。この買い戻しのことを「イレ上げ」と呼びます。空売りの返済期日が迫っていることを狙って、売り方をフライパンの上で、下から強い火で炒るのです。堪らず、売り方は買い戻し、つまり「イレ」るのです。そして、イレたら相場はしまいというわけです。
このように、マーケットでは、「空売り」の多い銘柄は「イレ上げ」が見込める銘柄として注目されます。もちろん、イレ上げの終わったジーエス・ユアサ コーポレーションの株価はそれ以降、冴えない動きが続いています。
一方、「投げたらしまい」は、空売りと、まったく逆のケースです。お金を借りて株を買うことを「信用買い」といいます。もちろん、株価が上昇することを目論んで、借金して株を買うわけです。上がればハッピーですが、反対に下がれば大変です。持ち家を処分して返済、ということも過去には多くみられました。信用買いについても、6ヶ月期日で投げたら底が入ると教えています。くれぐれも、あなた自身が、炒れ上げられないよう、あるいは、投げさせられないよう、信用取引には慎重な態度が大切です。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)
犬丸正寛
最終更新:11月20日(金)9時33分
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