17日、東エルサレムのユダヤ人入植地ギロの建設現場で働くパレスチナ人労働者=ロイター
【エルサレム=井上道夫】イスラエル内務省は17日、東エルサレムのユダヤ人入植地ギロに新たに900戸の住宅を建設する計画を承認した。パレスチナ自治政府は、和平交渉再開の条件に入植活動の全面凍結を掲げており、反発は必至。米国による和平仲介は一層困難になった。
この決定に対し、米ホワイトハウスのギブス報道官は同日、「落胆している。交渉再開に向けた努力をさらに難しくする」との声明を出した。
一方、アッバス自治政府議長は17日、ヨルダン川西岸(東エルサレムを含む)と自治区ガザを領土とするパレスチナ国家樹立を承認する決議を国連安全保障理事会に求める意向を示した。入植活動で強硬姿勢を崩さないイスラエルから譲歩を引き出すことが狙いと見られる。
イスラエルは、国際法で禁じられているにもかかわらず、67年の第3次中東戦争で占領したヨルダン川西岸や東エルサレムで入植活動を続けている。現在、約150カ所の入植地があり、ユダヤ人計約50万人が暮らしている。
東エルサレムを首都とするパレスチナ国家の建設を目指す自治政府にとっては、入植地によって、将来の自国領を分断、侵食されている形だ。アッバス氏は、イスラエルが入植活動を全面凍結するまで、和解交渉には一切応じない、としている。
これに対し、イスラエルのネタニヤフ首相は、既存入植地の住民が出産し、人口が増えることに伴う住宅建設は認められるべきだと主張。自国領とみなす東エルサレムでは政府として住宅建設を規制しない姿勢を貫いており、米国の仲介は難航している。