今日は沖縄復帰30周年の記念すべき日です。私も先日沖縄を訪れまして、沖縄の歴史、風土、魅力を勉強してきました。沖縄がさらに発展していくことを心から願っていますし、一方で、私たち沖縄の外に住む日本人が、沖縄をもっと勉強しなければいけないと痛烈に思います。私は4月28日にうかがいましたが、たまたまその日は沖縄では屈辱の日でした。サンフランシスコ講和条約が発効した日で、これは沖縄以外の日本にとっては独立を勝ち得た明るい希望の日でありますが、沖縄は日本から外されたという意味で屈辱の日です。そういう認識も、沖縄以外の人々には十分知らされていない。沖縄が米軍の基地を多く抱え、大変な苦しみの中で暴行事件などの様々な事件が起きているにもかかわらず、日本政府は基地の縮小整理などの方向への努力を十分に行ってこなかった。今更ながら政治の力が必要だと痛感しています。基地問題は、国民すべてが感じなければならない国民的課題だという認識を、30周年を新たな節目として、私たち日本人すべてが考えるべきだということを申し上げておきます。
ふたつめは、外務省の情けない失態・不祥事の続発です。外務省の言っていることは信じられない、自分たちの都合のいいところだけ知らせて、都合の悪い部分は全部隠蔽するという体質が今日の外務省をつくってしまったのではないかとさえ思います。この体質が、鈴木宗男事件を生み、ODA疑惑を生み、不正経理事件を生み、さらに機密費事件を生み、そして瀋陽で起きた日本総領事館事件を生んだといわざるを得ません。こういうときは政治力が必要です。その政治力が必要なときに、官僚の言いなりの元官僚川口外務大臣に外務省の統括はまったく不可能だということが事実として判明しました。昨日、わが党の中川正春議員が質問に立って、外務大臣に対して、「もう辞めなさい、それを民主党として求める」という発言がありました。外務大臣は当然お辞めになるべきだし、外務省不要論まで出る中で、政治的にしっかりと外務省を立て直す能力のある人物に交代すべきです。あえて苦言を申し上げておきます。
瀋陽の総領事館事件にからんで、いくつかの新たな問題があります。そのひとつが阿南中国大使の発言です。北朝鮮亡命者に対して「煩わしい、来たら追い返せ」という阿南大使の気持ちが中国の大使館、領事館の中に伝搬しているのではないかと思います。亡命する人というのは命を賭けて行動しているわけですが、命を賭けた行動に対し門前払いを食わすという「事なかれ」の発想が見え見えの態度がとられてしまった。こういった発想を持っていること自体が大変恥ずかしい。日本人としてというよりも、人間として恥ずかしい。人権意識の希薄さだと思います。根底からこういう発想を変えていかなくてはなりません。
大使が「北からの不審者を追い返せ」というようなことを事実としておっしゃっていたとしたら、そのこと自体で阿南大使は大使としての資格はないと思います。発言には、人道的見地から保護すべきだという話が付け加えられていますが、そういった話は実はなかったとも言われています。この辺りの事実も調べなければならないと思っています。外務省は、「追い出せ」と言ったのではない、「来た人に対しては人道的立場から処すべきだ」と言ったとしていますが、これも大本営の発表ではないかと疑っています。さらに言えば、官邸にも報告しなかったこととか、あるいは事前に北からの亡命希望者がいることを察知していながら、また察知していたからこそ、むしろこのような発言をしたのではないかとさえ思われ、大変大きな問題だと認識します。阿南中国大使の更迭を求めます。
副領事が、英文のレターを渡して救いを求めてきた人に対して、読めなかったから返したと伝わっています。これも信憑性が極めて乏しい話です。もし読めなかったのなら、それだけでも大変恥ずかしい話です。まして、この話は中国側から伝わってきて知った事実ですが、外務大臣の報告には一切なかったわけですから、まさに隠蔽体質が表れていると言わざるを得ません。今日、海江田君と中川君を急きょ瀋陽に向かわせました。外務省の立場からではなく、国民の皆さま方に国会議員、国民の立場から、早急に調査に着手して事実関係を明らかにしてくれるものと確信しています。
Q:外務大臣に対して辞任を求めるのか?
A:いつ、どういう形でというのは国対で決めなければなりませんが、当然行動で示すべきだと思いますが、国対、幹事長とも相談して、国会の場で何らかの行動をとる必要があるということは言うまでもありません。
Q:国会運営について、野党がまた審議拒否か?という声があるが、それについては?
A:私たちが審議を拒否しているわけではありません。私たちは条件を提示して、与党が早くその条件を満たして審議に入りたいと思っています。言いたいのは、鈴木宗男議員にまつわる不祥事や外務省の不祥事など、政府与党の失態が次々に起きています。真面目に議論しようと思っている人間を欺くような話が次々出てくるものですから、その新しい状況に対して適切に行動していると思います。
Q:今回のことが日中関係に影響が出ると思うか?
A:日本の総領事館敷地に、中国の武装警察官が無断で立ち入ったということが事実ならば、そのことに対して厳しく抗議するのは言うまでもありません。主権侵害に対しては激しい怒りで行動すべきだと思います。その一方で、まだ事実が明らかではない部分というのがある。日本と中国の間には靖国問題や教科書問題などがあって、そういうトゲがこのような問題を引き起こしているとも思いますが、日中間の関係が基本的に悪い状況になっているわけではありません。したがって日中国交正常化30周年事業というのは、それはそれとして将来を見据えながらきちんと行動できるものだと思います。基本的には影響はないと考えております。
Q:瀋陽の問題と、鈴木宗男議員の問題など、外務省の一連の対応について、首相の対応をどのように思うか?
A:小泉総理の指導性はどこかに行ってまったく発揮されていない。瀋陽の事件においては初動を間違えた。もっと厳しくきちんと正確に状況を把握していなければならなかった。そして抗議すべきところはすぐに抗議をおこなわなければならなかった。それがずっと尾を引いていると思います。鈴木宗男議員問題は、秘書が逮捕され、昨日は新たに鈴木さん関連で外務官僚が逮捕されましたが、官邸からは鈴木議員に対して何ら指導性のある言葉は聞かれていない。国民の多くが小泉総理に大きな失望を感じたと思っています。
Q:個人情報保護法について読売新聞が試案というものを出したが、それについては?
A:政府が出してきた法案は、まさにメディア規制法案であって、これは葬り去らなければなりません。野党4党はその方向で協力をしていくことで確認済みです。
城山三郎さんとお話をしたときに、「個人情報を守る」ということは必要なことであるという認識で一致しています。したがって民主党としても、個人情報保護のための法律の必要性を感じています。しかし今回の政府案はそれとは完全に離れたものです。また読売新聞の試案に対しても、評価できないという判断をしています。報道に関しては、それなりに適用除外するということでいいのかもしれませんが、フリーのジャーナリストはどうするのかとか、色々と政治的裁量が加わるということになると、危うさが十分にあり得ると思います。細かい内容を十分に熟知しているわけではないので、これ以上は申し上げるつもりはありませんが、読売案は民主党として評価はしておりません。
そのような中で小泉総理が修正案を出したらどうかと言っていますが、まだ審議もしないうちから「修正したらどうか」という話であれば、出直してこいということです。修正が必要であれば先に修正をおこなった後に国会に出すべきであって、一旦出しておいて、おかしいからやっぱり直してくれ、根本的に変えてみてくれというようなことならば、くどいようですが出直してからちゃんとしたものを出し直さなければ、国会に対して失礼だと強く申し上げておきます。