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【続スクリーンとともに】テアトル石和(山梨県笛吹市) (1/2ページ)
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■温泉街のパラダイス
温泉街の古い映画館なんていうから、湯けむりの中にたたずむ情緒ある風景を想像していたら、まるで違っていた。劇場に通じる道路はごくありふれた住宅街の裏道で、日曜の昼下がりは行き交う人もほとんどいない。わずかに真向かいにブドウ畑があるのが、山梨らしいといえばらしい景色といえるだろうか。
「もともとここが建てられた当初はポルノ映画の専門館で、ポルノをやるには表通りじゃない方がよかったんです。今になってみると場所が悪すぎるけどね」とテアトル石和の社長、有泉英機さん(67)は苦笑する。
「テアトルアンネ」の名前でここがオープンしたのは昭和42年のこと。有泉さんの父親は戦前、旧満州でタクシー運転手から身を興して映画館を経営し、戦後も生まれ故郷の山梨に引き揚げて一時は一帯に10館ほどを所有していた。甲府市内にも洋画の封切館のテアトル甲府という大きな劇場を持っていたが、あえて石和の劇場をポルノ専門館にしたのは、温泉客を当て込んでのことだった。
☆ ☆ ☆
昭和36年に突然、ブドウ畑から温泉がわき出して誕生した石和温泉は、東京に近いこともあって団体客でにぎわう歓楽街として発展した。周辺にはストリップ劇場が何軒かでき、ポルノ映画館もそこそこ人が入ったが、むしろ地元客が中心だった。5、6年して父親から引き継いだ有泉さんは客の要望もあり、一般映画も併映することにした。
「映画界は斜陽だったけど、まだ本数は出ていた。ポルノ2本と一般映画2本の4本立て、なんてやっていましたよ」と有泉さん。黒澤明監督の「乱」とにっかつロマンポルノの同時上映という仰天プログラムもあったという。
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