2009年11月20日
練習生のパンチを受ける西沢ヨシノリ
■元東洋王者・西沢 ジム開設
ボクシングの元東洋太平洋王者で、43歳の今も現役を続ける西沢ヨシノリが、10月からアマチュア向けのボクシングジムを開設した。現役ボクサーがジムを作るのは異例だが、指導を通じ、自分と同年代に勇気や元気を与えたいと意欲を燃やす。
ジムは東京都中野区の「ゴールドジムウエスト東京」内に作った。リングはないが、サンドバッグやグローブを備えた。週3、4日、西沢自らミットを持って教える。ジム生徒は21〜42歳まで10人ほど。「50歳でも60歳でも受け入れたい」と言う。
西沢は日本のボクサーの定年である37歳を過ぎても、世界、東洋太平洋、日本の王者経験者に与えられる特例で現役が認められ、世界戦にも挑んだ。東洋太平洋王座から転落した後の07年2月、日本ボクシングコミッションから引退勧告を受けたが、オーストラリアのライセンスを取り、海外で試合をしている。
西沢は政財界や芸能界の人とも交際する。「社会保障、医療のひずみや不況の話が聞こえてくる。色々な人と付き合う中で、中年層に元気がないと感じた。パンチを打つことで得る自信を勇気に変え、仕事に意欲を持って欲しかった」。ジム開設の理由をこう語る。
朝は1時間のロードワーク、昼に練習をこなし、夜は指導者になる。パンチの打ち方、ガードの構え方といった基本を丁寧に教える。ジム生には「軽い気持ちならついていけない」と話し、健康目的とは一線を画している。「ジムを始めて1カ月半だけど、面白いように伸びている生徒を見るのはうれしい」
選手と指導者の両立は物理的にも大変だが、プラス面も大きい。「選手に基本を一から教えることが、自分にもガードやリズムなどの初心を思い起こさせてくれる」
今後は希望に応じてプロのジムに橋渡ししたり、中高年向けのボクシング大会に出場させたりする構想も描く。「ボクシングは何歳になってもできる。集中力や注意力、冷静さといった精神的な部分を伝えていきたい」と話した。(広部憲太郎)