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外為・株式:東証 4カ月ぶり安値 二番底、現実味 新政権への失望感・増資・円高

 日本株の下落が続き、二番底懸念が現実味を帯びてきた。海外の主要市場で年初来高値の更新が相次ぐ一方、鳩山政権の経済政策の先行きが見えにくいことや大手企業の増資が嫌気され、日本株は世界で置き去りにされた格好だ。市場関係者からは、政権が成長戦略を示さないと日経平均株価は9000円程度まで下がるとの指摘も出ている。【工藤昭久】

 19日の日経平均株価の終値は前日終値比127円33銭安の9549円47銭と7月17日以来約4カ月ぶりの安値水準だった。8月26日に付けた1万639円71銭の年初来高値から10%以上の下落。対照的に、ニューヨーク市場のダウ工業株30種平均、ロンドンのFT100種指数は、今週に入って年初来高値を更新した。

 日本株の低迷の要因について、市場では9月に誕生した鳩山政権の経済政策を指摘する声が多い。みずほ証券の高橋幸男マーケットアナリストは「景気対策など需要を拡大する政策が示されず、外国人投資家らの失望を誘って日本株の売りにつながっている。子ども手当などマニフェストで約束したものも削減される懸念がある」と指摘する。前原誠司国土交通相が今月18日、日本航空の法的整理の可能性に言及し、日航株が大きく売り込まれるなど閣僚発言に振り回される場面も目立つ。

 需給面では企業の増資ラッシュが悪影響を与えている。9月以降、野村ホールディングス、日立製作所、三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)など大手企業が財務基盤の強化などを狙った大型増資を発表し、1株当たり利益の希薄化を嫌気した売りが金融株などで目立っている。世界的な自己資本規制の流れから増資観測の出ている三井住友FGは19日に4・5%下落、みずほFGは6・6%下落するなど大きく売り込まれた。大和証券SMBC投資戦略部の高橋和宏部長は「銀行株は時価総額が大きく、相場全体の重しになる」と指摘する。

 円高も懸念材料だ。自動車や電機などの業界では1ドル=90円前後のレートを想定する企業が多いが、足もとでは88~90円で推移。米国の低金利政策の長期化からドル安・円高基調が当面続くとの見方が根強く、収益圧迫懸念の広がる輸出関連企業の株が売られる要因になっている。市場では「政権が成長戦略を示さないと、年末にかけて日経平均は9000円程度まで下落する可能性がある」(みずほ証券の高橋氏)と悲観的な声も出ている。

毎日新聞 2009年11月20日 東京朝刊

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