<信州・野生の横顔(プロフィル)>
赤外線自動カメラを設置し、野生哺乳(ほにゅう)類の動向を定点観察している北アルプス・常念岳山ろくの沢沿い。ここでは昨年10月、初めてニホンジカが撮影され、北ア南部では初の確認例となったが、その姿が今年も相次いでキャッチされた。
10月末には立派な角を持った雄の成獣が、そして11月初めには、細長い貧弱な角を持つ若い雄が撮影された。いずれも上流側からやってきたようだ。
昨年は雄の成獣1頭だけだったが、今年は2頭。定着しているのかどうかは分からないが、その勢力は増しつつあるようだ。
ニホンジカは県南部を中心に分布する。山域別では南アルプスが最も多いが、今では中央アルプスや八ケ岳連峰、中信高原などを経て、さらに各地に広がりつつある。
野生動物対策の関係者は、北アへの進出を「北アの高山植生やライチョウに影響が及びかねない」と憂慮している。進出を阻止することはできるだろうか。【武田博仁】
毎日新聞 2009年11月16日 地方版