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きょうのコラム「時鐘」 2009年11月20日
英国議会で初めて日本酒が振る舞われたという。それも富山の酒だった。すしなどの和食人気が背景にあるのだろう。清酒の国際化はうれしい
先日の本紙に高峰譲吉博士が米ルーズベルト大統領から贈られた金時計が、博士を支えた杜氏(とうじ)の子孫宅から見つかった話が載った。日本酒の杜氏が古くから誇った発酵技術が、当時は化学の最先端にあった高峰博士の研究と組み合わさったとは意外だった 日本酒はコメを発酵させてつくる。すしも元は発酵食である。「かぶらずし」など漬け物もある。能登の神社で「どぶろく」の話題もあった。全国醤油サミットが来年金沢で開かれるとの記事も目についた。北陸は発酵食の宝庫だ 英国議会や米大統領を持ち出して認識を新たにするのは先人に申し訳ないが、組み合わせの妙と、回り道をして気づく良さもある。食通は「くさいはうまい」と言う。これも回りくどいが発酵食の良さを表している うまいけれど、においがきつくて作るのに時間がかかる。くさみの下にあるうまさに気づくのも年期が要る。発酵食はどことなく「中年の魅力」に似てはいまいか。 |