未公開株をめぐる3億7000万円の詐欺と恐喝未遂罪に問われたタレント羽賀研二(本名・当真美喜男)被告(48)と、恐喝未遂の共犯とされた元プロボクシング世界王者渡辺二郎被告(54)の控訴審初公判が19日、大阪高裁(古川博裁判長)であった。一審の無罪判決の破棄を求める検察側に対し、羽賀被告は毎回のように涙を流した一審公判と同様に、この日もわずか30分の公判中にまた涙…。“検事VS泣きの研二”の第2章が幕を開けた。
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昨年11月28日の大阪地裁での無罪判決から1年。再び、羽賀被告が法廷で涙を見せた。
羽賀被告は、黒のスーツに黒のシャツ姿で入廷。最初は落ち着いた表情で、傍聴席と裁判官に向け「失礼します」と述べて一礼。冒頭で裁判官に職業を尋ねられると「現在は無職です」ときっぱり。隣の渡辺被告は一瞬言いよどみ「まあ、会社役員とか、させてもらってます」と答えた。
弁護人は裁判長の許可を得て、書記官の目の前という異例の立ち位置であらためて被告の潔白を訴えた。再び無罪を勝ち取ろうと熱弁を振るう弁護人に心を打たれたのか、羽賀被告は次第に感極まったような表情でうなずいたり上を向いたりと、感情の高ぶりを抑えられない様子に。一審の公判でおなじみだったハンカチこそ持ち出さなかったものの、手で涙をぬぐうしぐさを何度も見せた。
検察側は「犯行は明白」と一審の無罪判決の破棄を求めた。ところが、検察側が予定していた証人が、気管支ぜんそくのため出廷が困難になり、証人尋問は中止に。およそ3時間の予定が30分ほどで閉廷となり、何とも“肩すかし”な初公判となってしまった。
初公判を傍聴した被害者男性は「事実は事実ですから。(羽賀被告は)信用なりませんよ。今後明らかになると信じています」と話した。
大阪地検は3月に、一審で羽賀被告に有利な証言をした元歯科医(48)を偽証罪で在宅起訴。元歯科医の公判の行方が、羽賀被告らの控訴審に影響を与えるとみられる。