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事業仕分けで有機EL支援事業「廃止」 結城・山形大学長「何とか継続を」
文部科学省の独立行政法人・科学技術振興機構が16日に支援を採択した「先端有機エレクトロニクス国際研究拠点形成プロジェクト」(山形県、山形大共同提案)が、行政刷新会議の事業仕分けで「廃止」と判断された事業に含まれていることが17日、分かった。最終判断は12月の閣僚折衝などに委ねられるが、事業仕分けの結論が施策にどう反映されるかは不透明。関係者は「文部科学省や民主党議員などを通じて事業の必要性を訴えていくしかないが先行きは見えない」と頭を抱えている。
一線級の有機EL研究者を山形に招き、世界的拠点の形成を目指す同大と県の共同プロジェクトに暗雲がたれ込めた。同大の結城章夫学長は、17日の定例記者会見で「地元にとって大事なプロジェクトなので何とか継続できるようにしたい」と表情を曇らせた。
廃止と判断されたのは、文科省の「地域科学技術振興・産学官連携」事業。13日の仕分け作業で結論づけられた。この中に、共同プロジェクトに対する事業支援を決めた同機構「地域卓越研究者戦略的結集プログラム」も含まれていた。
同機構は、廃止判断後の16日に採択を決めたことについて「すでに公募、選考作業を進めており決めた。判断は本当に残念だが、今後流れが変わって見直される可能性もあり、文科省と連携し事業の必要性を訴え続けていく」と説明する。
採択通りに支援が行われれば、5か年、計約16億円の事業費用のうち3分の2に当たる約11億円を同機構が負担する予定だった。すでに予算化されている09年度分(1・1億円)は、研究者招聘のための交渉費用などに充てられる見込みだが、10年度以降は不透明となる。
有機EL拠点化を巡っては、新政権による09年度補正予算見直しを免れ、同大の研究棟新設が予定通り決まったばかり。同大関係者は「世界有数のハコが出来るのに、研究者など中身が伴わないことになりかねない……」と肩を落とした。
(2009年11月18日 読売新聞)
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