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社説2 首相は党首討論に応じよ(11/17)

 鳩山政権で初めてとなる党首討論の開催のメドが立たない。有力視された18日の実施は見送りになり、民主党側の消極姿勢が目立っている。政権発足から2カ月が経過し、難しい判断を伴う懸案は山積している。鳩山由紀夫首相は野党との論争の場から逃げるべきではない。

 民主、自民両党は当初、党首討論を18日に開く方向で調整していた。しかし民主党は法案処理を優先する方針を示し「人事院人事官の認証式に閣僚を派遣する必要があり、全閣僚がそろわない」などとして日程を先送りする考えを伝えた。

 1週間後の25日の開催も「全国知事会に首相や閣僚が出席する必要がある」として否定的な声が出ている。自民党は「水曜日の午後3時に全閣僚同席で開く」という慣例にこだわらない姿勢を示しているが、調整は進んでいない。

 野党側は首相の政治資金の虚偽記載問題を念頭に「民主党政権は野党の追及に初めから逃げ腰だ」と反発を強めている。

 首相は10日の参院予算委員会で、鳩山家の資産管理会社「六幸商会」(東京・港)の資金から元秘書が6年間に約3億円を引き出していた事実を明らかにした。政治資金のずさんな処理への疑惑は膨らんでおり、首相は説明責任を果たすべきだ。

 鳩山内閣が内政や外交の懸案にどう対処していくのかという骨太の論争も聞きたい。

 景気対策と厳しい財政状況のバランスをどう取っていくのか。米軍普天間基地の移設問題では、首相や閣僚の発言のブレが日米関係に悪影響を与えている。自民党政権の何を引き継ぎ、何を変えるのかを討論を通じて明らかにしてほしい。

 党首討論は民主党の小沢一郎幹事長が旧自由党時代に主導して制度が確立された。民主党は野党時代に、党首討論の開催を渋る自民党政権を批判してきた。

 小沢氏が先に「新しい日本をつくる国民会議」(21世紀臨調)の小委員会から受け取った政治改革に関する緊急提言には、党首討論の週1回の定期開催などが盛り込まれていた。今のような及び腰の国会対応を続けるのであれば、国会審議の活性化という掛け声もむなしく響く。

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