ここから本文です

ごみ食べさせられ中毒死…天然記念物・奈良公園の鹿が激減

11月19日15時4分配信 産経新聞

ごみ食べさせられ中毒死…天然記念物・奈良公園の鹿が激減
拡大写真
息数が1100頭を割り込んだ奈良公園のシカ。ごみを食べて中毒死するケースが相次ぐ=19日午前9時52分、奈良市(高森三紀撮影)(写真:産経新聞)
 国の天然記念物に指定されている奈良公園(奈良市)のシカの生息頭数が4年連続で減少して1100頭を下回り、平成以降で最少となったことが、財団法人「奈良の鹿愛護会」の調査で19日、分かった。交通事故や野犬の被害に加え、近年は観光客のごみを食べて死んでしまうシカが増加。中には故意にプラスチックの弁当ケースなどを食べさせるケースもあり、関係者は「来年は『平城遷都1300年祭』があり、マナーの悪い観光客が増えないか心配」と頭を抱えている。

  [グラフ]シカ生息頭数の動き

 ■“神の使者”への嫌がらせ止めて

 愛護会によると、奈良公園のシカは古代から生息し、松尾芭蕉の俳句に詠まれるなど、神の使いとして信仰の対象とされてきた。明治時代の廃仏毀釈(きしゃく)や太平洋戦争時の食糧難で頭数が激減したが、愛護会や市、奈良県などの保護で増加。平成元年に1100頭を超えて以降の頭数は1100〜1300で推移していた。ところが、18年の1248頭から4年連続で減少し、今年は1052頭に。ピークだった6年の1293頭と比較すると、200頭以上減った。

 原因は、病気や交通事故、野犬の被害のほか、ポリ袋やプラスチックの弁当ケースなどのごみを食べたことによる中毒死が目立つ。愛護会には「観光客がわざとごみを食べさせている」との通報も相次いでいるという。

 このほか、観光客が与える餌で栄養過多や体調不良となったり、本来は左右対称であるはずのシカの角に異変がおきて体のバランスが悪くなったりするシカも現れているという。

 来年に「平城遷都1300年祭」の開催が控える奈良市は観光客が増加傾向にあり、昨年は過去最高の1435万人を記録した。愛護会の池田佐知子事務局長は「奈良を訪れてくれる人が増えるのはうれしいが、ルールを守らない観光客が増えるとすれば心配。シカが嫌がったり、生態系をゆがめるようなことはやめてほしい」と話している。

【関連記事】
「ごみはお宝」英で争奪戦 処理業者、埋め立てよりも発電燃料に
宇宙ごみでもうけましょう! 露が巨利狙って掃除船開発構想
原発のごみ、落ち着き先は…
「脅威もたらす『ごみ』一掃する」 ブラジル大統領、リオの治安改善を約束
ペットボトル再利用制度ピンチ 中国景気に振り回される

最終更新:11月19日17時10分

産経新聞

 

この話題に関するブログ 13件

主なニュースサイトで 奈良公園 の記事を読む

ブログパーツ

国内トピックス

主要メディア6紙の過去記事2年分を瞬時に検索。
全国紙の社説を比較する毎日新聞の企画「社説ウオッチング」。産経新聞の「社説検証」とあわせてチェック(本文有料)。