福岡県鞍手町の公金約1億円を着服したとする業務上横領容疑で、県警は19日、元町職員でアルバイトの梶原康幸容疑者(51)=同県直方市頓野=を逮捕した。
逮捕容疑は、鞍手町収入役室会計係長だった2003年5月26日ごろ、かんがい施設を維持・管理する町の特定目的基金の定額郵便貯金3口座を解約し、約1億円を横領した疑い。容疑を認めているという。
梶原容疑者は町の調査に「(カネは)オートレースなどに使った」と話しており、県警はギャンブルと、その借金の穴埋めに使ったとみている。
梶原容疑者は1995年から収入役室(現会計収納対策課)などで町の会計を担当。町の調べでは、逮捕容疑の基金からの横領以外にも、職員給与から源泉徴収された所得税を税務署に過少申告するなどして着服していた。不正の総額は98年ごろからで約2億5500万円に上るという。
昨年4月の定期異動をきっかけに不正が発覚。町は同5月に梶原容疑者を懲戒免職にし、今年8月、時効を迎えていない約1億5000万円分について直方署に刑事告訴。県警は、逮捕容疑の約1億円を除く約5000万円についても立件に向けて捜査を進める。
鞍手町の柴田好輝町長は「二度とこのような不祥事がないよう再発防止に努めるとともに、信頼回復に向け、全職員が一丸となって取り組んでいく。誠に申し訳ない」とのコメントを出した。
=2009/11/19付 西日本新聞夕刊=