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連載コラム 大久保 幸夫 氏コラム 「転換期」に生き残るための人材マネジメント

本コラムでは、人材マネジメント・労働雇用政策を研究テーマとするシンクタンク、リクルートワークス研究所所長の大久保幸夫氏に、転換期を迎え、企業において今後の施策が緊急視されている人材マネジメントに関し、さまざまな角度から語ってもらう。

2009/11/18公開

 

「最低賃金アップ」で「失業する」という、「皮肉」

 総選挙は民主党が308議席を得る圧勝に終わりました。

 この選挙で民主党が掲げたマニフェストから、民主党が政権公約どおり労働政策を行った場合の影響を見てみたいと思います。

 マニフェストの目玉は、最低賃金についてです。

 マニフェストでは全国最低賃金を設け、その想定金額を800円にしているのですが、これは地方の企業にとってみれば大変な話でしょう。

 現在の最低賃金は都道府県別と産業別に決められていて、東京都でこそ766円ですが、宮崎県・鹿児島県・沖縄県では627円です。

 最低賃金の低い地方ほど、最低賃金に近いところで働いている労働者比率が高い傾向があるので、一気に800円になるとしたら、企業経営への負担は計り知れません。

 もともと時給800円に相応しい生産性を上げている人ばかりではないでしょうから、そのような人の場合は、雇用の場そのものが消えてなくなってしまうことにもなるでしょう。

 しかも実は問題はそれだけではありません。

 マニフェストには、「最低賃金は全国平均1000円をめざす」とあります。つまり現在の平均703円から、300円近くも上げようとしているのです。

 これは企業経営者には、言うまでもなく大きなマイナス。働く個人にとってさえ、「時給が上がるか雇用がなくなるか微妙」としか言いようがありません。




 

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