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2009年11月15日 (日)

日本の未来のお金を作ってみた。

これが日本国政府硬貨だ!

Photo_3

続いて日本国政府紙幣だ!

Photo_4

モデルはもちろん丹羽春喜先生です。

右側の紙幣は、元の素材がドル札なので右下の表記が「ONE HUNDRED DOLLARS」のままになっちゃってますね。

きちんと綺麗に編集したかったのですが、編集ソフトを使いこなせず断念しました・・・^^;誰か編集できる人いないかな?

まぁ別に半分本気で半分気晴らしなのですがw

極上コイル

続きを読む "日本の未来のお金を作ってみた。" »

民主党と官僚

09/11/16(593号)

民主党と官僚

  • 官僚化した政治家
    選挙用マニフェストが原因で、民主党連立政権がモタついている。その一つが官僚依存からの脱却するという方針である。民主党が野党時代、財務官僚を日銀総裁に登用しようとした自民党政権にイチャモンを付けていたことがアダとなっている。

    民 主党は、日銀総裁の場合は「財金分離」、つまり財政担当者に金融政策を委ねることに問題があったからと釈明している。しかし財務省と日銀の間では、人事交 流が行われている。このことから分るように既に財務官僚が金融政策にも関わっているのである(一方、日銀マンは財政政策に携わっている)。

    国 民にとっては、財政政策と金融政策がうまく噛み合っていることの方が重要で、日銀が独立性を保っているかどうかはどうでも良いことである。そもそも「財金 分離」はインフレ時に問題になることである。国が発行した国債を中央銀行にどんどん買わせることの弊害を阻止することが目的である。しかし20年ちかくデフレ経済が続く今日の日本で、ことさら「財金分離」を主張する者は世間知らずの観念論者である。むしろ政府の財政政策に逆らうように、日銀の独立性を盾に 金融引締めを行った速水日銀みたいなものこそ批難されるべきである。


    「官僚依存からの脱却」の背景の一つに官僚の性悪論があると 考える。官僚が、政治を歪め、自分達の利益だけを追求していると映るのである。たしかにそういう事もあろう。しかし政治家が、官僚を攻撃することで、マス コミや庶民から喝采を受けることを計算している面が強い。小泉政権以降の自民党も、選挙が近付く度に官僚批難を繰返していた。


    筆者が官僚に抱く問題点はこのような些末なことではない。一番問題にするのは07/5/7(第480号)「日本の公務員」から07/6/4(第484号)「金・銀の産出量と経済」で説明したような、意識しているかどうかを別にして、日本の官僚組織が本能的にデフレ経済を指向していることである。これは歴史教科書にもはっきりと見てとれる。例えば荻原重秀のように改鋳を行った政治家は、インフレを起した悪徳政治家の代表として記される。

    財 務省も、大蔵省時代と違って完全に緊縮財政指向になった。このことは大蔵省・財務省出身の政治家の傾向を見ても分る。昔は大蔵官僚出身の政治家にはむしろ 積極財政派が多かった。池田総理、福田総理、宮沢総理、そして相沢英之氏などである。特に福田元総理は財政均衡派と見られていたが、オイルショック後の世 界的な不況に際して、積極財政を展開した。財政再建を目立って唱えていたのは大平元総理くらいのものであった。やはり消費税導入以降、大蔵省・財務省には マクロ経済はどうでも良いという雰囲気がまん延しているのであろう。


    民主党は、政策決定に「官僚を入れない」という方針である。国会答弁からも官僚を排除するという。筆者は政治家が官僚をうまく使いこなせば良いと素朴に思う。本来、政治家は、例えばデフレ指向に傾きがちの官僚に対して、「それは間違い」と大きな指針を示すべきと考える。

    しかし今日、事業仕分などに見られるように、政治家がむしろ官僚の仕事を担うようになった。官僚を信頼しない政治家の方が今日官僚化しているのである。デフレを好む官僚と官僚化した政治家しかいない日本が、デフレ経済から脱却するのは「夢のまた夢」の話になっている。


  • 公務員の天下りの根絶
    二番目の官僚の問題点は常識がないと言おうか、末端の情報に疎いことである。端的なこの例として法務省が裁判員制度のテレビCMに酒井法子氏を起用したこ とが挙げられる。地元の者なら誰でも「この人選はヤバイ」と思ったはずである。案の定、問題が起ったのである。しかし世間知らずは法務省の官僚に限ったこ とではない。

    と ころが大蔵省・日銀の過剰接待が問題になって以降、事実上、公務員と民間人が交流することが禁止されている。このようなことを続けておれば、官僚はますま す世間に疎くなる。筆者は奇妙な法律が増えたのもこの事が影響していると考える。そう言えば規制緩和や構造改革で経済が成長するという「嘘話」に真っ先に 飛びついたのも、末端の経済を知らない官僚達であった。

    筆者は新卒者を公務員に直接採用することに問題があると考える。世間がこれだけ複 雑になっているのだから、例えば公務員の採用条件に「最低3年以上の社会経験が必要」といった項目を加えれば良いと考える。裁判官も同様であり、このよう な採用条件にすれば、裁判員制度など不要である。

    以上の二点が日本の官僚組織の最重要な問題点と筆者は考える。しかしこのようなことを日本のマスコミが問題として取上げることはない。むしろマスコミは次に触れる「公務員の天下り」などに人々の関心を向けようとしている。


    民主党は、マニフェストに掲げた「公務員の天下りの根絶」というスローガンに振り回されている。「根絶」といった極端な表現を使ったことで自らの首を絞めている。まるで政権交代は起らず、自分達の野党時代が続くとでも思ったのであろうか。


    ま ず日本の定年制度の話から始める。民間で55歳の定年制度が一般化した明治の時代の平均寿命は50才くらいであった。つまり事実上の終身雇用であった。ま た公務員には定年がなかった(ただし退職金割増による勧奨制度というものが今日はある)。このような時代は今日のような「公務員の天下り」が問題になるこ とはなかった。

    しかし日本人の平均寿命がどんどん伸びため色々な問題が起るようになった。民間は定年を60才に延長した。しかし年金支給 開始年齢が上がっているので、定年がさらに延長する可能性がある。ただし民間は50才台の前半で給料のピークが来るような賃金カープに変えている。一方、 公務員は退職の勧奨年齢まで俸給が上がり続ける給与体系になっている。


    「公務員の天下り」だけが問題になっているが、民間でも大 企業は子会社を沢山作って退職者のOBの受け皿にしてきた。子会社の中にはOBの受け皿を主な目的に作られたものもある。親会社が資材を購入する場合は、 これらの子会社を通した形にし、子会社にマージンを落としこれをOB退職者の給料に充てていた。

    ただ20年もデフレ経済が続き、大企業は 子会社をどんどん作るわけに行かなくなった。子会社も生え抜きの者が育ち、簡単には親会社のOBを受入れられなくなった。一方、官の方は国費でOB退職者 の受け皿となる公益法人を作り続けている。このように退職者の待遇で官民の格差が大きくなった。もちろん大企業より雇用条件がずっと劣悪な中小・零細企業 の従業員にとっては、「天下り」なんて夢の世界の話ということになる。


    職員より役員の数の方が多い公益法人が目立っている。また国が無意味な資格制度をどんどん作り、これを公益法人に所管させている。とんでもないことにこれらが民間の経済活動を邪魔しているのである。

    一般国民が「官」に不満を持つのは当り前である。しかし「公務員の天下りの根絶」をしなければ何事も始まらないという民主党の方針も問題である。今日、これ以外にもっと重要な経済問題があるはずである。


来週は、素朴な経済に対する疑問をテーマにしたい。

2009年11月14日 (土)

決起せよ!

丹羽経済塾「東アジア共通通貨」の危険性1

丹羽経済塾「東アジア共通通貨 」の危険性2

今こそケインズ主義復権に決起せよ

アジア共通通貨の危険性については、藤井厳喜氏がまとめているのでここでは割愛させて頂くことにして、各国が理想的な経済成長の軌道に乗せるための金融・経済政策はどうあるべきか、又日本の経済成長がうまく軌道に乗っていた頃の経済政策がどうであったのかを丹羽先生が解説していたので、そちらを紹介したい。

結局のところ、デフレ経済下では総需要を拡大させディマンド・プル型のインフレを起こすことで経済を拡大・成長させ国民の所得を上げ効用最大化につなげることが目的なのだが、そのためには政府に国債を発行させ一旦民間部門から国庫へとカネを徴収して財政政策を行わなければならない、その際に重要なのは日銀が政府に協力し一緒になって金融政策を打たなければいけない。日銀は、政府の国債発行によって民間部門から一旦国庫に吸い上げれたカネを、国債買いオペレーションで再び民間部門に戻さなければならない。そうしなければ民間部門において金詰まり(クラウディングアウト)が発生してしまい、効果的な経済成長に結びつかせられなくなるのだ。

現に過去、高橋是清大蔵大臣と深井英五日銀副総裁がデフレ脱却を最速で成し得たような財政赤字の大半を国債に依存していた時代には、国民のカネを国庫に吸い上げた際に金融政策として民間部門で市中金利が上昇し、民間銀行が金を貸さなくなる所謂クラウディングアウトを起こさないために、市中消化した国債の6~7割近くを日銀が市場から買いオペをし政府をバックアップしていた。

日銀の国債引き受けでクラウディングアウトを防いだおかげで市中金利の上昇は抑えられ、1950年~1960年代の高度経済成長を成し得たのだ。
1973年の第一次オイルショック時、急激なコスト・プッシュ型インフレが起きたので、政府は総需要抑制政策を打ち出した。まず金利の引き上げを行い、石油資源を得るために外国へ円を売ってドルを稼ぎ、そのドルで高い石油を買ってうまくいったのだ。

異常な通貨価値を是正したあとの福田赳夫内閣は、大規模な積極財政政策を打ち出し、再び経済成長軌道へと乗せようしたが、成長率は下がりその効果は現れなかった。
それは日銀が市中から国債の買いオペ政策を1~2割ほどしかバックアップせず民間部門の資金不足を補わなかったせいで、結果としてクラウディングアウトが生じてしまった事が最大の原因であった。

急激な金利上昇は起こさなかったものの、金利は高止まりが続き経済成長率は下がった。
オイルショックは乗り切ったが、もし日銀の市場介入で低金利政策を実施しておれば、経済は再び高度成長へ軌道を乗せたはずだったのだ。

ところで、アジア中央銀行なるものができてしまえば、どうなるか?
日銀法にある中央銀行と政府の協力関係が断絶されてしまい、その理想的で強力な経済効果を得られる政策が打てない状況に陥ることを意味し、さらに国家の基本権である貨幣発行特権を放棄させてしまうので最終手段である打ち出の小槌をも使えなくなり、国家として対策を打てないばかりか経済政策を打てなくなる。

これは1989年の西ドイツと統合した東ドイツと同じ状況である。

経済規模が縮小する中で調整過程を迎えるが喜ぶべきことではないし、ということはただ指を加えて経済動向を眺めているしかないのであり、経済全体のパイが縮小する停滞期には当然税収も減り安心した生活を支える社会保障費や、国民の安全を守る国防費までもが削られそれらが保障できなくなる可能性すらあるのだ。

EU圏内の通貨同盟各国(ウクライナ・東ドイツなど)ではユーロ金利の高すぎ、或いは安すぎでそれぞれが対応できず誤謬を犯してしまっている。
その原因は国家の基本権である自由な金融・財政政策の放棄によるものだと丹羽先生は指摘しておられる。

いまの変動為替制度・管理フロート制では為替レートが動くことで対外均衡は回復する。
貿易収支黒字が大きすぎてインフレ要因となり困ることや円安に決まりすぎている、又は貿易収支赤字では為替レートが高すぎても為替レートが動くことで長期では対外均衡は回復する。
投機や投資でカネが大量に流入した場合は金利を上げるなど金融政策によってコントロールし、実際に多くの国々は管理フロート制で、緩やかにまた激しく介入し為替相場をコントロールする。

固定相場制では国内の総需要GDPの上げ下げで対応する。IMF立ち上げ当初は事実上固定相場で始まり、統制経済をとった各国の貿易不均衡により自国の繁栄と為替レートに整合性を持っていないときには、為替レートの切り上げ切り下げで対応していた。丹羽先生はそうすれば良いのだと仰っている。

反ケインズ・新自由主義の中心である新古典派経済学は、広域経済圏は国家基本権の通貨発行権を放棄し、国家をなくしてしまうべきという考えで、政府をやめる新自由主義は無政府主義、国家廃絶主義なものが思想の根底にありそれ以外にもさまざまなトリックを使い、わざわざ国民を騙している詐欺である。

鳩山内閣は麻生内閣で組んだ平成21年度予算の補正予算だけでなく本予算からも削っている、その財源を次の予算に組んでいるが、これは有効需要の原理(生産されたモノ・サービスを実際に買う需要、これに土地や株式の売買は有効需要に含まない。)から見れば右から左に金を移しただけで+-ゼロだが、実際はほかの部分で損なうことをマスコミは一切報道しない。

過去20年間で6000兆円の潜在GDPは失われている。

自生的有効需要支出のトータルを2倍にすれば、GDPも2倍、国民生活水準も2倍になる。

日本の乗数効果は約2.5ある。
内閣府では民間の消費性向は60%(公比0.6)とある。つまり乗数約2.5倍の経済効果が見込まれることを内閣府が認めているのだ。

デフレギャップがある中での物価上昇はコスト・プッシュ型、ディマンド・プル型インフレを起こすには、財政政策でのばら撒きが効果的なのだ。同時に金融政策も行う。

ばら撒き批判の1つとして、通常の何千倍ものハイパーインフレが起こると躍起になっている人がいるが、あれは物価上昇事態が生産を止めることで、インフレスパイラルになっている状態。つまりディマンド・プル・インフレが止まってしまった状態だ。

しかしハイパーインフレは成熟した資本主義経済を持つ国では極めて起こりにくい、

そして莫大な生産力が眠る日本ではありえない。

(日本とジンバブエのような国とを比較する事自体がナンセンス)


福田内閣以降の反ケインズ論者のニヒリスティックな発想からのゼロサムゲーム経済では勝ち組が、負け組を食いつぶさないと勝ちを取れないが、ケインズ型の自生的有効需要支出の拡大と、管理フロート制は見事にフィットしており、これにより経済全体が成長すれば組織も負け組も全てのプレイヤーが得となるのだ。

ポイントは・・・

デフレギャップの隠蔽・秘匿 乗数効果 政府紙幣発行権

これで国の貨幣発行権限が如何に重要な国権であるか理解できただろうか?

では今こそ、決起せよ!!!!

極上コイル

2009年11月12日 (木)

天皇陛下御即位二十年

H1912231 (皇居東御苑にて)(写真:宮内庁)

天皇陛下御即位二十年、誠におめでとうございます。両陛下の益々のご健勝と御皇室の弥栄を心から祈念申し上げます。千代に八千代に栄えあらんことを。

〈天皇陛下〉
 日本国憲法では、「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」と規定されています。私は、この20年、長い天皇の歴史に思いを致し、国民の上を思い、象徴として望ましい天皇の在り方を求めつつ、今日まで過ごしてきました。質問にあるような平成の象徴像というものを特に考えたことはありません。
 平成の20年間を振り返ってまず頭に浮かぶのは、平成元年、1989年のベルリンの壁の崩壊に始まる世界の動きです。その後の2年間に東西に分かれていたドイツは統一され、ソビエト連邦からロシアを含む15カ国が独立しました。そしてそれまで外からはうかがい知ることの難しかったソビエト連邦、及びそれに連なる国々の実情や過去の歴史的事実が、世界に知られるようになりました。このような世界の動きを、深い感動を持って見守ったことが思い起こされます。ベルリンの壁の崩壊から4年後、私どもはドイツを訪問し、ヴァイツゼッカー大統領ご夫妻、ベルリン市長ご夫妻と共に徒歩でブランデンブルク門を通りました。西ベルリンから東ベルリンに入ると、ベートーベンの「歓喜の歌」の合唱が聞こえてきました。私どもの忘れ得ぬ思い出です。
 しかし、その後の世界の動きは、残念ながら平和を推進する方向には進んでいきませんでした。平成13年、2001年世界貿易センタービルなどが旅客機の突入により破壊され、3000人以上の命が失われました。それを契機として、アフガニスタン、続いてイラクで戦争が起こり、今も両国とパキスタンでは多くの命が失われています。
 このように今日の世界は、決して平和な状況にあるとは言えませんが、明るい面として考えられるのは、世界がより透明化し、多くの人々が事実関係を共有することができるようになったことです。拉致の問題も、それが行われた当時は今と違って、日本人皆が拉致の行われたことを事実として認識することはありませんでした。このため、拉致が続けられ、多くの被害者が生じたことは返す返すも残念なことでした。それぞれの人の家族の苦しみは、いかばかりであったかと思います。また、チェルノブイリ原子力発電所の事故のような、人々の健康や環境に大きな影響を与える事故であっても、当時のソビエト連邦では発表されず、事故についての最初の報道はスウェーデンの研究所からもたらされました。ソビエト連邦が発表したのはそれより後のことで、事故のあった地域の人々の健康に与えた被害は、一層大きくなったことと思います。
 国内のことでまず思い起こされるのは、6400人以上の人々が亡くなった阪神・淡路大震災です。地震による家屋の崩壊とともに火災が起こり、誠に痛ましい状況でした。ただ淡路島では、火災がすべて未然に防がれ、また、地域の人々による迅速な救出活動により、多くの人の命が助けられたと聞きました。この地震は、その後に大きな教訓を残しました。建築の耐震化が進められ、人々の間に、災害に対する協力の輪が広がりました。後に他の被災地を訪れた時、自分たちの災害に支援の手を差し伸べてもらったので、お礼の気持ちでこの被災地の支援に来たという人々に会うことがあり、頼もしく思いました。
 苦労の多い中で、農業、林業、水産業などに携わる人々が様々に工夫を凝らし、その分野を守り続けてきている努力を尊いものに思っており、毎年農林水産祭天皇杯受賞者にお会いするのを楽しみにしています。
 今日、日本では高齢化が進み、厳しい経済情勢とあいまって、人々の暮らしが深く案じられます。そのような中で、高齢者や介護を必要とする人々のことを心に掛け、支えていこうという人々が多くなってきているように感じられ、心強く思っています。皆が支え合う社会が築かれていくことを願っています。
 平成が20年となり、多くの人々がお祝いの気持ちを表してくれることをうれしく思い、感謝しています。
 この機会に、我が国の安寧を願い、国民の健康と幸せを祈ります。

今、日本では高齢化が進み、経済が厳しい状況になっています。しかし、日本国民が過去に様々な困難を乗り越えて今日を築いてきたことを思い起こす時、人々が皆で英知を結集し、相携えて協力を進めることにより、日本が現在直面している困難も一つ一つ克服されることを願っております。
 私がむしろ心配なのは、次第に過去の歴史が忘れられていくのではないかということです。昭和の時代は、非常に厳しい状況の下で始まりました。昭和3年、1928年昭和天皇の即位の礼が行われる前に起こったのが、張作霖爆殺事件でしたし、3年後には満州事変が起こり、先の大戦に至るまでの道のりが始まりました。第1次世界大戦のベルダンの古戦場を訪れ、戦場の悲惨な光景に接して平和の大切さを肝に銘じられた昭和天皇にとって誠に不本意な歴史であったのではないかと察しております。昭和の60有余年は私どもに様々な教訓を与えてくれます。過去の歴史的事実を十分に知って未来に備えることが大切と思います。
 平成も20年がたち、平成生まれの人々がスポーツや碁の世界などで活躍するようになりました。うれしいことです。いつの時代にも、心配や不安はありますが、若い人々の息吹をうれしく感じつつ、これからの日本を見守っていきたいと思います。
http://www.nikkei.co.jp/topic/091112.html

11月12日祝日法案を提出=天皇在位20年で-超党派

 自民、公明、国民新3党と一部の無所属議員は30日、天皇陛下の即位20年に当たり今年11月12日を臨時の祝日とする法案を衆院に提出した。今国会成立を目指す。民主党は賛否両論があり、対応を調整する。
 法案は祝日の目的を「天皇陛下御在位20年を記念し、国民こぞって祝うため」としている。提出者には自民党の森喜朗元首相や無所属の平沼赳夫元経済産業相らが名を連ねた。(2009/06/30-20:17)

http://www.jiji.com/jc/zc?k=200906/2009063000991

7月21日、衆院解散により廃案。実に残念。

2009年11月 9日 (月)

首都圏のハブ空港

09/11/9(592号)経済コラムマガジン
首都圏のハブ空港

  • 15分で説得
    羽田空港の第4滑走路(D滑走路)の完成(来年)を前にして、前原国土交通大臣の「羽田空港のハブ空港化構想」発言が注目を集めている。前原大臣のハブ空 港の概念を別にして、今週は首都圏におけるハブ空港について述べる。どういう訳か、最近本誌が取上げるテーマは亀井静香氏が必ずからんで来る。まるで日本 で政治家と呼べるのは、亀井氏しかいないのではないかと言う錯覚にさえ陥る。

    羽 田空港の第4滑走路の建設も、亀井さんが、自民党の政調会長時代、運輸省の官僚を説得し調査費を付けさせたのがスタートである(石原都知事の話ではわずか 15分で運輸省を説得したとのこと)。石原都知事が羽田の混雑緩和と国際化を睨んで、同志であった亀井氏に頼み込んだのである。ちなみにこの二人は仲が良 いのであるがしょっちゅう大げんかをしている。亀井さんによれば、石原氏が「東京さえ良ければよい」といつも我がままを言っているとのことである。


    当 時、空港がパンク状態であり(状況は日々悪化)、航空増強策についていくつかの案があった。石原都知事達が推す羽田の新滑走路建設が一つである。しかし成 田の二本目の滑走路は工事中であり、成田空港の建設で苦労している地元のことを考えると、運輸省はとても新滑走路の話を持出すことはできなかった。しかし ぐずくずしている間に状況がますます悪くなっていた。ここに「断」を下したのが亀井政調会長である。

    当時、羽田の拡張に対抗する有力な案がもう一つあった。東京湾に本格的な首都圏空港を造ろうというものである。首都圏湾奥新空港研究会がその中心であった。これを強力にバックアップしていたのが一橋大学のOBで作る一橋総研であった。


    一 橋総研は元々石原都政の政策ブレーンを目的に設立された。中心人物は学生時代から石原都知事と親友であった高橋宏氏(現在首都大学東京理事長)であった。 高橋さんは、日本郵船の副社長から、航空貨物を扱う郵船航空サービス(株)に転出された。筆者達がお会いした時には会長であった。

    郵船航 空サービス会長として日本の航空設備の貧弱さにずっと泣かされてきた。このような事情もあって、高橋宏氏は首都圏に新空港を造ろうという首都圏湾奥新空港 研究会の有力メンバーとして活動された。首都圏湾奥新空港研究会は竹村健一氏なども巻込み、一時かなりの盛上がりを見せた。竹村健一氏が新空港の必要性を テレビで何回も取上げていたことを覚えている人も多いであろう。


    親友同士の石原都知事と高橋さんとの間で激しいキャンペーン合戦があった。週刊誌の誌上でも両者は激しい論争を行っている。しかし亀井氏の決断で羽田の拡張論が勝った形になった。

    高橋氏達は、首都圏の新空港をあきらめたわけではない。亀井氏の影響力を知った高橋さん達は、亀井さんに新空港の必要性を説明した。高橋さんの話では、最後には亀井さんも「俺は判断を間違ったかな」と言っていたそうである。

    こ れ以降、高橋宏氏達は政治的に亀井氏をバックアップし始めた。例えば亀井さんに国際性を身に付けてもらうため、一橋総研の人々は米国のアーミテージ元国務 副長官との会談をセットしたりした。ちなみに日本経済復活の会の小野会長と筆者は、6年前に一橋総研の人々に対してセミナーを行ったことがある。


  • 新空港の建設を
    筆者は、羽田空港の第4滑走路建設の判断は決して間違っていなかったと考える。これでも完成まで10年もかかったのである。新空港となれば場所の選定から 始めることになり、完成までに気が遠くなるほど時間がかかると考えられる。これでは今日の空港のパンク状態の緩和にはとても間に合わなかった。ただ羽田の 新滑走路建設が決まったことによって、新空港構想が下火になったことも事実である。


    高 橋宏さんによれば、標準的な国際空港の条件は「長距離のジャンボジェットが離発着できる滑走路が複数本ある」と「24時間使用が可能」ということである。 特に欧米への直行便の離発着には、3,500m以上の滑走路が必要である。しかし首都圏では3,500m以上の滑走路は成田空港の一本(4,000m)だ けである。

    羽田は3,000mが二本と2,500mが一本である。ちなみに成田の二本目と羽田の第4滑走路は2,500mである。つまり 羽田や成田はとても標準的な国際空港とは呼べない。一時、横田基地の返還が話題になったが横田の滑走路も2,500mしかない。つまり標準的な国際空港と なれば新空港を建設する他はないのである。


    前原国土交通相の発言で「ハブ空港」化が話題になっている。しかし羽田は国際標準のハ ブ空港にはなり得ない。3,000mの滑走路では、燃料を満タンにしたジャンボジェットが離陸できないのである。羽田はせいぜいアジア向けの中途半端な 「ハブ空港」にしかならない。案外、このようなことは知られていないのである。「ハブ空港」と前原大臣は簡単に発言しているが、「ハブ空港」のことをどれ だけ理解しているのか不明である。


    筆者は野方図なグローバル経済(特に金融面)に疑問を持っている。しかし航空貨物などが増えて いるのは現実である。またこれまでお話をした通り、羽田と成田だけでは首都圏の航空処理能力に限界が来ている。先ほど述べたように早くも「羽田に5本目の 滑走路を」という声が出ている。

    第4滑走路(D滑走路)の完成を目前に、日本の貧弱な航空事情に関心が集まると思われる。新空港構想にとって今がチャンスなのである。空港建設には長い時間が必要であり、早く結論を出すことに越したことはない。

    新空港建設のための資材が不足しているわけではない(関西空港の不等沈下を考えれば、工法にはメガフロートなどが考えられるが、工法はここでは問わない)。人手も余っている。あとは財政といったバーチャルな問題だけである。


    空港のネットワークやアクセスにも不満がある。羽田は都心に近いということになっているが、都心までかなり時間がかかる。モノレールも時代の遺物になりつつある。またモノレールはやたら停車駅が増えている。

    新 空港、羽田、東京駅を結ぶ高速鉄道が必要である。当然、これは大深度の地下鉄で建設することになる。さらにこれを成田まで延長すれば、首都圏の空港同士の ネットワークが完成する。羽田は国内線、成田と新空港は国際線となる。ただどうしても成田は貨物の割合が大きくなると思われる。2016年の東京へのオリ ンピック誘致は失敗したが、次に誘致するまでにりっぱな新空港が完成していることが理想である。


来週は、今問題になっている政治の官僚依存を取上げる。

2009年11月 8日 (日)

【論争:デフレ対策】菅直人副総理×勝間和代氏

まず、デフレを止めよう ~若年失業と財政再建の問題解決に向けて~pdf

勝間和代でも何でもいいのでデフレ経済克服してほしいですね。
議論の中で、政府紙幣の話も少し出てきましたが、とにかく勝間氏がインフレターゲットを打ち出し需要を増やすことを指摘してきた。当たり前ですが、それに関して管氏がデフレ経済を問題視していたことに対して、少し評価できますね。

本来は非常に重要な話なのですが、結局は経済政策の参考程度の話だと思うので、期待度は薄いのかもしれません。
しかし管氏が「日銀にやれるならやってもらいたい」と前向きな姿勢も見せたので見守りたいですね。

日銀の見識が狂っているのは自明ですが、民主党がそれを見誤らずにどこまで積極財政を打ち出せるのか、それが問題です。

財政再建論者に騙されて予算削ってばかりじゃ経済縮小するだけですよー管さん。

いやほんとに・・、どんどん罪無き日本人が死んでますし年末どうなるんだろな・・・。

極上コイル

2009年11月 4日 (水)

サルでも判る日本の異常なデフレ経済

[世] 実質経済成長率の推移(日本、アメリカ、中国の比較)

[世] インフレ率の推移(日本、アメリカ、中国の比較)

Tky200906010337

さて、以下の図で日本はインフレランキング何位でしょうか?

世界のインフレ率ランキングを表示します(対象国:180ヶ国、比較年度:2008年)。

デフレ.jpg

そう、世界インフレランキング最下位である。つまり世界一のデフレ国家だ。膨大なデフレギャップが存在するとは、余剰した労働力や資本設備が儚くも遊惰しており、本来の日本経済がフル稼働していない証拠である。そして即ちそれこそが日本経済が抱える最重要経済課題である。株式会社日本銀行は一体何をやっているのか?

Pn2009101401000952ci0003

「過去の内外経済をみても、物価の下落自体は少なからず起きている。問題はこの物価の下落がデフレスパイラルという事態は決して起こしてはいけないと私も強く思っている」

「現状、そうした意味でのデフレスパイラルに直面しているということではない」

「いつもの繰り返しになるが、展望リポートでは2011年度まで物価下落圧力が続く見通しだ。これをデフレと呼ぶかどうかは、論ずる人の定義如何だ。ただ政策として大事なのは、わが国経済が中長期的にみて、物価安定の下での持続的成長経路に向かっているのかどうかの判断だ。この点では、わが国経済は持ち直しを続け、消費者物価の下落幅が徐々に縮小する姿を想定している。こうした動きが持続することにより、日本経済は、やや長い目でみれば、物価安定の下での持続的成長経路に復していく展望が開けると考えている」

あきれ果て言葉にならない、と同時に憂慮に堪えない・・・・・。

日銀の白川総裁はこれを見てもデフレを認識できないのか???デフレスパイラルに陥っていることに気がつかないのか?

それともコスト・プッシュ型の物価上昇と、ディマンド・プル型の物価上昇の区別がつかないのだろうか?

彼に一言申し上げたい。

「お前わざとやろ!?わざと日本経済悪くしてるやろ!?」

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白川総裁って、売国民主が選んだんだよなぁ?

2009年11月 3日 (火)

日本郵政の新社長

09/11/2(591号)経済コラムマガジン

日本郵政の新社長

  • 斎藤次郎氏のこと
    日本郵政の新社長に斎藤次郎氏が内定した。世間はびっくりし筆者も少し驚いた。斎藤次郎氏は実力派の大蔵省事務次官であった。斎藤氏は、小沢一郎民主党幹事長と親しく、細川政権時代、小沢氏と一緒に「国民福祉税構想」をぶち上げた。しかし強引な小沢氏の政治手法は政権内外の批難を受け、この一件を境に細川連立政権内の小沢氏に対する不満が大きくなり、連立政権は崩壊に進むことになった。

    当時、野党であった自民党は、小沢氏に協力するこの大蔵官僚の斎藤氏に対して反感を持った。羽田短命内閣の後、社会党党首である村山富一氏を総理大臣に担ぎ、自民党は与党に復帰した。自民党が政権に戻ってからも、自民党と斎藤氏の間はぎくしゃくしていた。それもあってか95年に任期を二ヶ月余し斎藤大蔵省次官は退官した。


    大蔵省事務次官となれば、退官後、相応のポストが用意されているものである。しかし自民党に良く思われていなかった斎藤氏は、まともな再就職先が決まらず、長い間、事実上の浪人生活を送ることになった。ちなみに村山富一氏を総理大臣にする画策を行った中心人物は野中広務氏と亀井静香氏であった。ようやく斎藤氏は東京金融取引所社長に就いたが、このポストは決して元大蔵省事務次官に相応しいものではなかった。

    ずっと斎藤氏と亀井氏の間が良くないと思い込んでいた者達にとって、今回の日本郵政社長就任は驚きであった。もっとも亀井さんと小沢一郎氏との間も、良かったり悪かったりの連続であった。亀井さんと斎藤次郎氏との交流はずっと続いていたようである。もしそれを知っておれば今回の人事も納得が行くものである。


    今回の人事はマスコミから異常なくらいの攻撃を受けている。せっかく民営化した郵政事業に官僚OBが天下るとは何事かいうのである。調子に乗って竹中平蔵氏は「これは高級官僚の渡り」と的外れの批難をしている。あまりにもばかばかしいので、これにはコメントをしない。

    筆者は、日本郵政の新社長は官僚OBと漠然と思っていた。理由ははっきりしている。本誌09/6/15(第573号)「「かんぽの宿」の一括売却」から09/7/6(第576号)「日本郵政問題の結末」で述べたように、西川善文氏という民間出身者の経営に問題が多すぎたからである。これではとても民間人を次の社長に就けるわけには行かない。ところが読売を除き、新聞各紙は社説で斎藤新社長を厳しく批難している。相変わらず新聞には常識がないのである。


    参考までに09/6/22(第574号)「国有資産の纂奪者」で取上げた住友系の郵政各社に対する食い込み方の異常さを改めて示す。
         日本郵政
         代表取締役社長 西川善文(三井住友銀行頭取)
         執行役副社長  寺坂元之(元スミセイ損保社長)
         専務執行役   横山邦男(三井住友銀行)
         常務執行役   妹尾良昭(住友銀行、大和証券SMBC)

         郵便局会社
         代表取締役社長 寺坂元之(元スミセイ損保社長)
         専務執行役   日高信行(三井住友海上火災)
         常務執行役   河村学 (住友生命保険)

         ゆうちょ銀行
         執行役副社長  福島純夫(住友銀行、大和証券SMBC)
         常務執行役   向井理寄(住友信託銀行)
         常務執行役   宇野輝 (住友銀行、三井住友カード)
         執行役     村島正浩(三井住友銀行)

    もちろん郵政各社には「かんぽの宿」の異常な安値売却問題以外にも色々と疑惑のある取引があった。だいたい6月の株主総会で、西川社長の再任を認める条件が、30%の給与カットと側近の「チーム西川」の解任であった。これは明らかに西川氏側が、これまでの郵政の経営に不都合があったと認めたことを意味する。

    ところが退陣を予定されていた「チーム西川」の4名が、株式総会後、現場に居座りなかなか出身の住友グループに戻らなかったという話がある。金融機関の人事異動では、転勤の辞令が出ると対象者は間を置かず新任地に向かうのが常識である。後任者がやって来て、前任者の関係書類を不正がなかったか徹底的に調べるのである。現場に居座った「チーム西川」の4名は一体何をやっていたのかということになる。
  • 「不規則発言」
    西川社長とチーム西川の面々は与党三党の有志議員から特別背任未遂罪で刑事告発されている。原口総務相の元で郵政事業を巡る一連の疑惑を解明するチームが出来た。メンバーには亀井久興前国民新党幹事長も含まれている。原口チームは、当然、西川前社長のやっていた業務を徹底的に調べ上げるはずである。

    このような疑惑があることを考えると、次期社長は検察関係の官僚が一番適当と思われたくらいである。しかし日本郵政社長には民営化の見直しや、日常業務をこなす必要がある。このような状況を総合的に考え、斎藤次郎氏が適任という結論に達したと思われる。また今回の人事に対して批難が多いが、一体誰が相応しいのか候補者を挙げる者がいない(事前には漠然とした予想はあったが)。


    表向きの西川日本郵政社長の退陣理由は郵政改革の方針変更となっている。しかしもう一つの重要な理由は、本誌もずっと指摘してきたような、これまでの関係者(例えば住友グループ)への露骨な利益誘導経営である。ところが不思議なことにマスコミはこの点を全くと言って良いほど取上げない。何か裏があるような異様な光景である。

    先週、大塚金融・郵政担当副大臣がサンデープロジェクト(サンプロ)に出演した。しかし話のほとんどが例のごとく「官僚OBである斎藤次郎氏の新社長就任」の話であった。大塚副大臣はほぼ吊るし上げ状態であった。


    話はちょっと変わるが、筆者は全てのテレビ番組は台本に沿って作られるものと考えている。サンプロみたいなフリートーク形式の生番組も台本があると見ている。政治家であっても台本の範囲内の発言が求められる。これに逸脱しそうな政治家は番組に呼ばないか、もしくは編集が可能な録画での出演となる。

    昔、大手金融機関の不良債権が問題になっていた頃、ある国際金融評論家がよくサンプロに出演していた。ところがある時この評論家が大手の銀行が今にも破綻しそうな話を始めた(筆者はそこまで切羽詰っているとは思っていなかったが)。本人にとっては番組へのサービスのつもりだったのであろう。しかし見ていた筆者も一瞬「これはまずいのでは」と思った。明らかに「不規則発言」であった。

    とたんにカメラはしゃべっている国際金融評論家からはずれ、宙に舞った。どこを映したら良いのか製作サイドも混乱したのであろう。サンプロ発で信用不安が起ってはと番組制作者もあせったことが見てとれた。この「不規則発言」の評論家は、その後、サンプロには一切登場しなくなった。


    さて大塚副大臣を囲んだサンプロは坦々と進んだ。例のごとく官僚OBを社長に据えたことへの批難が繰返され、本当につまらなかった。ところが最後の一分になって、突然、大塚副大臣が、西川前社長を巡る不祥事に触れ、これから総務省が中心になって疑惑を解明するという話を始めた。筆者は少し驚いた。これは日本のマスコミではほぼタブーになっていることである。

    とたんに司会の田原氏は「それは問題がなかったと聞いている」と口を挟んだ。しかし問題がないのなら給与カットや「チーム西川」の解任はなかったはずである。実に奇妙な発言である。またこのことを最初から取上げておれば、官僚出身者が日本郵政の新社長に就かざるをえない状況は簡単に説明できたはずであった。


    しかし筆者は、大塚副大臣の最後の発言がいわゆる「不規則発言」ではなかったと見ている。これは番組製作サイドとの妥協の産物と考える。西川前社長の話は最後の一分に限ることが条件になっていたのであろう。しかし最初からこの発言を行っておれば、番組内容は全く違ったものになっていたはずだ。

    大塚副大臣を囲んだコーナは35分くらいであったが、コーナ開始からの34分間は何の意味もなかった。どうも日本のマスコミ界(雑誌を除く)では西川前社長に関する疑惑は小出しにしかできないようである。これはスポンサーとしての住友グループに対する遠慮をはるかに越えている。今の日本のマスコミ界は何か大きな「闇」に包まれている。

来週は羽田空港のバブ空港化を取上げる。

http://www.adpweb.com/eco/

2009年10月31日 (土)

八ッ場ダムの建設中止

09/10/26(590号)経済コラムマガジン

八ッ場ダムの建設中止

  • 軽くてガンコ
    民主党連立政権が発足して一ヶ月が過ぎた。政策の評価を下すにはまだ早いと言われそうであるが、今の段階での感想を述べる。ただし金融庁所管の返済猶予法案については先週号まで取上げたので、これ以外の政策が対象である。

    今 のところマスコミが盛んに取上げているのは予算の編成作業の様子である。これが政治家主導になっているかが注目されている。しかし結果は自民党時代とそん なに違うことにはならないと考える。また出来上がった予算で、日本経済がデフレから脱却できるとはとうてい思われない。デフレ脱却には、国民新党が主張し ているような、5年間で200兆円程度のマクロ経済対策が必要と筆者も考える。


    たしかにこれから迎える年末・年始あたりに日本経済が二番底を付けるリスクを、民主党の面々も口にしている。また雇用状況が悪化していることも認識している。これに対して民主党は雇用対策本部(緊急雇用対策)を設置して対処するという話である。

    また民主党は二番底が深刻な時には年明けにも補正予算を組むという。しかし雇用対策本部や補正予算はバンソウコウ的政策であり、経済全体を浮揚させるものではない。これでは自民党時代と変わりがない。

    た だ鳩山総理が、最近、エコノミストとの懇談の席で無利子国債について意見を聞いている。もし鳩山連立政権が無利子国債など、通常行わない政策に踏出す可能 性があるのなら大ニュースである。しかしこれが与党の検討課題に直にでも上る雰囲気は今のところない。このように筆者が一番関心のあるマクロ経済政策には 大きな変化はないと見ている。


    個別の案件で注目を集めているのが前原国土交通相の行動である。マスコミは前原大臣を「ブレない」 と持上げ、アンケート調査でも「よくやっている」という評価になっている。しかし筆者は前原氏にちょっと「軽い」という印象を持っている。あまりにも簡単 に結論を出すのである。またこの政治家は「ガンコ」という面がある。人々が「ガンコ」を「ブレない」と勘違いしているのではないかと思う。一連の政治行動 は前原氏が民主党代表だった時の「偽メール事件」をなんとなく思い起こす。

    八ッ場ダムを始めとした工事中のダムの建設を中止・凍結したことで、人々は前原大臣に喝采を送っている。とにかく日本ではダム建設が無駄な公共事業の代名詞になっている。「ダムはもういらない」ということが常識になっている。

    し かし筆者は、人々がダム建設に嫌悪さえ感じているのは、長年のマスコミによる「反ダム」キャンペーンの影響が大きいと思っている。また田中康夫前長野県知 事の「脱ダム宣言」なども影響している。たしかに最近では渇水の経験がないため(特に首都圏)、人々は水がいつでも手に入ると思い込んでいる。


    しかし日本の川は急傾斜であり大きなダムの建設に向いていない。たしかに日本には2,000以上のダムがあるが、貯水量を全部たしても米国のフーバダム一個にも満たないのである。日本の一人当りのダムの貯水量は世界でも最低クラスである。

    日 本の首都圏の一人当たりのダム貯水量はわずか30立法メートルである。飲み水だけでなく、工業用水、農業用水などを全て含んでの話である。ちなみにボスト ン717、ソウル392、ニューヨーク285、台北118立法メートルとなっている。このように日本には主要国の10分の1程度の一人当たり貯水量しかな い。


  • 第二の「偽メール事件」
    日本はアジアモンスーン地帯にあり降水量に幸い恵まれている。しかし近頃の気候の変調を見ていると、日本もいつ渇水に見舞われても不思議ではない。実際、日本は16年前の93年に大渇水を経験している。

    一 人当り30立法メートルといえば一ヶ月程度の水の使用量(工業用水、農業用水などを含め)である。常にわき水があるため一ヶ月雨が降らなければ干上がると いう話ではないが、決して潤沢にダムの水があるという訳ではない。不思議なことに日本のマスコミはこのような事実を全く伝えない(知らない可能性が高 い)。


    平均的な日本人は、ばかマスコミが伝える「日本のダムの貯水量は十分」という大嘘に洗脳されている。このように日本にダム 建設は不要という「空気」が醸成され、政治家もそれに迎合してきた。実際、アンケート調査でも今回の八ッ場ダム建設中止に対して、首都圏ですら賛成が反対 を上回っている。

    テレビに登場する政治評論家(屋山太郎氏)も「八ッ場ダム建設には50もの公益法人がぶら下がっている。中止して当 然。」と前原大臣の判断を高く評価している。しかし公益法人の問題とダム建設は別次元の話である。公益法人に問題があるから、ダム建設を止めるべきという のは非論理的である。まるで「自動車は事故を起こすから走らせるな」と言っているのと同じである。


    首都圏の知事はこぞってダム建設中止に反対している。首都圏のダム貯水量が貧弱なことを分かっている地方自治体としては当り前である。渇水になれば非難されるのは自分達だということを知っている。分担金を返せば良いという話ではない。

    ここまでダムを利水の面だけで論じてきた。当然、治水や発電としての用途があるが、今週はこれらの話を省略した。またダムにまつわる土砂や腐葉土の滞積の問題があることも承知している。さらに農業用水に関する受益者負担の問題も割愛した。


    亀 井静香氏は、自民党の政調会長の時に223もの公共事業を中止にした。しかしほとんどは計画段階のものであり、実現性の乏しいものばかりであった。ただ中 には中海の干拓事業のように工事が進んだ例外もあった(住民の反対で長らく中断していた)。しかしこの時には農水省や地元と合意を取付けて止めている。今 回の前原大臣のようにいきなり中止にしたわけではない。

    亀井大臣の持論は「不必要な公共事業は止めるが、必要なものは積極的にやる」と理 解している。ダムだから全て不要という考えではない。筆者は、亀井さんが中止した公共工事は本当に人々から賛同が得られない案件ばかりだったと見ている。 今回のように首都圏の知事がこぞって反対している八ッ場ダム建設中止とは事情が全く違う。

    事業を進めることが公共事業全体の悪評に繋が り、むしろ今後必要な公共事業が実施できなくなると困ると亀井さんが判断したからこそ、そのような案件を中止にしたと考える。ただこの時はゼネコンから大 きな反感をかった。兄の亀井郁夫氏には参議院選で、建設業界から協力が得られないどころか、いやがらせまがいのことがあったと聞く。


    筆 者は、八ッ場ダムなど既に工事を開始した案件は、建設を続行し完成させるべきと考える。ところが中止になっても困るのは、大手ゼネコンだけという間違った 事を流布しているマスコミ人や評論家が多い。しかし最近では公共事業の採算が悪くなっているため、撤退しても大手ゼネコンの損害はそんなに大きくはない。 またゼネコンの社員は会社から給料が支払われるから生活に困ることはない。

    一方、下請業者には基本的に出来高払いであり、工事がなければ 支払いはない。前途が真っ暗なのは、下請業者であり下請業者の従業員である。特に今日は亀井政調会長が数多くの案件を中止した時代と違い、公共投資が極小 になっており別の公共工事は全くない。ダム建設の中止については、実情が知られるにつれ世論も大きく変わる可能性がある。筆者には、八ッ場ダム建設中止が 何か第二の「偽メール事件」になりそうな予感がする。


来週はハブ空港を取上げるつもりでいたが、日本郵政の新社長が決まったので、予定を変更してこれを取上げる。

政 権交代があり政治の世界に色々な変化がある。そのせいか、本誌で取上げるべき事が次々と起る。特に亀井金融・郵政担当大臣の周辺で興味を引くことが頻繁に 起っている。日本郵政の人事もその一つである。週一回発行の本誌がこの流れについて行くのは大変である。最近では亀井大臣が公正取引委員会の竹島委員長を 呼びつけて「良い談合と悪い談合がある」と、公取に注文をつけている。筆者は亀井さんとほぼ同意見である。これを取上げたら2週間ほどかかるが、そのうち 取上げることにする。

2009年10月20日 (火)

「家族殺人が増えたのは大企業のせい」 亀井氏の経団連批判の真意

家族内の殺人事件が増えているのは、大企業が日本型の家族的経営を捨てたためという発言についての考察

Kamei

都留文科大学教授 後藤道夫教授
・日本は福祉国家ではなく開発主義国家である。

「福祉国家」と「開発主義国家」については、以下のエントリを参照してください。

「正規でも非正規でも、つまずいても生きていける福祉国家へ」すくらむ 2009-09-30
http://ameblo.jp/kokkoippan/entry-10353768656.html

-------------ここから引用--------------------

「開発主義国家」というのは、国家が大企業を優先的に応援すると、その大企業が成長し、“おこぼれ”が国民生活を潤す、という国家による「間接的」な国民支援が中心です。日本は、特殊な「開発主義国家」という仕組みでやってきたわけですが、これを根本的に転換しないとやっていけない時期に今来ているわけです。福祉がボロボロの状態でもやってこれたのは、曲がりなりにも「日本型雇用」「開発主義国家」で「間接的」にせよ、国民生活への「支援」があったからなのです。それがこの間の構造改革で、切り縮められてきたのです。
-------------ここまで-----------------------
亀井氏の発言は、為替介入や消費税で、輸出依存型大企業(トヨタやキャノン)を優先的に応援して来たのに、内部留保を増やし、正社員を雇用せず、労働分配率も低く抑えていることに対して憤りを覚えてのことでしょう。

日本独特の開発主義国家という仕組みを破壊し、もともと高くない福祉までも切り捨て、多くの国民に貧困をもたらしたのは、新自由主義を推し進めた奥田・御手洗経団連と小泉政権のせいと言っても過言ではないと思います。

亀井氏の発言の真意が理解できたかと思います。