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ホーム > 新着情報 > 記者発表 2009年11月18日

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Human emissions rise 2% despite global financial crisis
世界金融危機にも関わらず 人為起源排出が2%増加

(筑波研究学園都市記者会、環境省 記者クラブ同時配付 )

平成21年11月17日(火)
独立行政法人国立環境研究所(029-850-内線番号)
地球環境研究センター長  笹野 泰弘(2444)
グローバルカーボンプロジェクト(GCP)つくば国際オフィス長
ソバカル・ダカール(2672)


グローバルカーボンプロジェクト(GCP) (注1)は、世界金融危機の経済的影響にも関わらず、2008年における人間活動に起因する炭酸ガス排出量は前年比で2%増加し、一人当たり年間1.3トン(過去最高)に達したことを、Nature Geoscience(ネイチャー・ジオサイエンス (英国地球科学専門月刊誌))に発表します。この成果は、2009年11月18日(英国時間午後6時、日本時間午前3時)の電子版にて掲載の予定です。

グローバル・カーボン・プロジェクト(GCP)は、Nature Geoscience誌に掲載されるレポートにおいて、世界金融危機の経済的影響にも関わらず、2008年における人間活動に起因する炭酸ガス排出量が前年比で2%増加し、一人当たり年間1.3トンの過去最高に達したことを発表します。

このレポートは、GCPに参加する、世界的に評価の高い気候研究グループに属する科学者たちが執筆しました。レポートでは、石炭消費の増加を主因として化石燃料からの排出量が増加したものの、石油消費と森林破壊に起因する炭酸ガス排出は若干減少したことを報告しています。

本レポートの主たる執筆者の一人である、豪州連邦科学産業研究機構(CSIRO)のMike Raupach博士は「現在の二酸化炭素(CO2)排出量の増加は、国内総生産(GDP)の成長と密接に連関している」と述べています。

さらに同博士は、「化石燃料の燃焼によるCO2の排出は1990年のレベルから41%増加しており、ほぼ『気候変動に関する政府間パネル(IPCC)』が予想した最悪ケース・シナリオに沿った動きを追っている。世界金融危機の影響によって排出量は若干、減少するが、世界が排出量削減に向けた努力を加速しない限り、排出量は経済の回復とともに再び増加基調に転じると思われる」と述べています。

また、途上国におけるCO2排出量の増加率も高まっています。これは、先進国で消費される製品の途上国における生産が一因になっています。例えば、中国だけをみても、2002年から2005年にかけて増加したCO2排出量の半分が、輸出品の生産に起因することが説明できます。

GCPの調査結果によれば、2008年の大気中のCO2増加量は、約40億メトリックトン炭素換算量(4 PgC)で、全世界の大気中CO2の濃度は385ppmに達しており、産業革命以前の値と比較すると38%の増加となっています。

(独)国立環境研究所GCPつくば国際オフィス事務局長のShobhakar Dhakal博士によると、天然炭素吸収源は、人間の活動による排出量の増加が及ぼす影響を緩和する上で重要な役割を果たすが、上記調査結果は、天然炭素吸収源によるCO2の吸収がCO2レベルの上昇に追いついていない、という事実も明らかにしています。

Dhakal博士はまず、「毎年排出されるCO2の内、大気中に残存する割合は平均45%にとどまり、残りの55%は陸上と海洋の吸収源に吸収される」と述べています。

その上で、同博士は「とはいえ、排出量の大気中残存割合はこの50年間で上昇しており、CO2吸収源による吸収は急激な排出量の増加に追いついていない。これは、CO2吸収源が排出量の増加と気候変動の影響を受けやすくなっており、人為的な炭素汚染の洗浄装置としての天然吸収源の効率性が低下しつつあることを意味しているので、懸念すべき事項である」と述べています。

さらに、国際貿易に伴い発生するCO2を考慮した場合と、それを除外した場合の間には、途上国と先進国の寄与分に明確な差が現れることが浮き彫りになりました。Dhakal博士は、GCPが関与した「2008年 グローバル・カーボン・バジェット」(注2)に基づいて、「2008年のCO2排出に占める先進国の寄与分は45%である(国連気候変動枠組み条約の付属書 B)。しかし、国際貿易に体化された炭素を算入すると、先進国の寄与分は途上国のそれを凌駕する」と述べています。

(注1) 地球環境変動にかかわる国際研究計画(IGBP, IHDP, WCRP, DIVERSITAS)の連携による「地球システム科学パートナーシップ(ESSP)」がスポンサーとなって2001年に発足した国際研究計画。グローバルな炭素循環にかかわる自然と人間の両方の側面とその相互作用について、自然科学と社会科学を融合した分析を実施し、国際的な炭素循環管理政策の策定に役立つ科学的理解を深めることを目的とする。 (独)国立環境研究所と豪州連邦科学産業研究機構に事務局が設置されている。

(注2) 主要な気候研究機関の30人以上の専門家が関与した、GCPの年次レポート。同レポートは、人間活動が大気中のCO2に与える影響に関して、世界中の政府や政策担当者が参照する重要な文献である。

更に詳しい情報は、以下のウェブサイトで入手できます。
(2009年11月18日(水)日本時間午前3時以降掲載)
www.globalcarbonproject.org

【お問い合わせ】
(独)国立環境研究所
地球環境研究センター
GCPつくば国際オフィス事務局長
Shobhakar Dhakal
Tel: 029-850-2672, Fax: 029-850-2960
E-mail: shobhakar.dhakal@nies.go.jp

豪州連邦科学産業研究機構 海洋大気研究部門
GCPキャンベラ国際オフィス事務局長
Pep Canadell Tel: +61-408-020-952
E-mail: Pep.Canadell@csiro.au


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