2009年11月13日 8時6分 更新:11月13日 20時16分
13日午前5時25分ごろ、三重県尾鷲市の三木埼(みきさき)灯台の南約40キロの熊野灘を航行中の東京発志布志港(鹿児島県)行きフェリー「ありあけ」(松元浩人船長、定員448人)から「船体が急激に傾斜した」と海上保安庁に118番があった。第4管区海上保安本部(名古屋市)によると、ありあけは傾いたまま流され、浅瀬で座礁、横転。乗員21人、乗客7人が乗っていたが、海上保安庁のヘリコプターや巡視船艇が同10時20分ごろまでに全員を救助した。
4管によると、乗客の男性(70)=東京都調布市=が頭などに軽い打撲を負い、救助後に吐き気を訴えて三重県御浜町の病院へ搬送された。機関長の男性(42)も肩に打撲。乗員2人が沈没の危険を感じて海に飛び込んだが、救助され無事だった。
4管によると、フェリーは横波を受けて積み荷が崩れ、右に約22度傾いた。さらに45度近くまで傾いた状態で北西の陸側へ約32キロ流され、同9時50分ごろ、御浜町の七里御浜の沖合約200メートルで座礁、横転した。船体が損傷したとみられ、重油が南西へ幅50メートル、長さ約2.7キロにわたって流出している。
運航会社のマルエーフェリー(本社・鹿児島県奄美市)によると、ありあけはコンテナ計1600トンや大型車や重機など車両82台を運送。乗員は熊野市に「横波の衝撃で固定してあった貨物が右側へ移動したのが原因と思う」と話したといい、4管が積み荷の状態に問題がなかったか乗員から事情を聴いている。
ありあけは95年建造で総トン数7910トン、全長約167メートル、最大幅23メートルの大型フェリー。12日午後5時に東京都江東区の有明ふ頭を出発し、13日午後9時40分に志布志港に到着予定だった。
津地方気象台によると、三重県南部には12日午前から継続的に強風・波浪注意報が出ており、尾鷲市では13日午前6時に高さ3.71メートルの波が観測された。【秋山信一、七見憲一、福島祥】