村や女性によると、女性は村営温泉「のめこい湯」の元臨時職員で、2001年から勤務していた。村長選告示前の今年4月5日、施設の支配人を兼務していた当時の村担当課長から呼び出され「村営施設では村長は社長のようなもので、職員は村長に使われる立場。対立候補を支援する選挙運動をするなら、職場から身を引くべきだ」などと暗に辞職を迫られたという。 女性の説明では、前日の4日には岡部村長から温泉施設で「けじめをつけてくれよ」と理由なく怒鳴られたほか、正規職員から「どの面下げて仕事に出られる、と思っている人もいる」などと言葉で嫌がらせを受けたこともあった。 施設側は4月以降、これまで週約30時間あった女性の勤務時間を、契約上の最低基準の15時間に短縮。業務内容を、主に温泉のフロント業務から道の駅の男子トイレ掃除を中心とした仕事に変更した。 女性は、不眠や涙が止まらないなど精神的に不安定になり通院。職場で頭部や背中を打つけがをして右手に後遺症が出たため、上司に業務の変更を申し出たが、聞き入れられず、退職を決めた。 女性は村の山村留学制度を利用し、1992年9月に神奈川県から家族4人で移住。村郷土民俗資料館に勤務し、丹波山金山跡の発掘調査などに携わった。女性は「選挙運動はしていないが、政治問題に巻き込まれてしまった。村の対応には納得できず、二度とこのようなことが起きないよう適切に対応してほしい」と話している。 当時の担当課長は女性への発言を大筋で認めた上で「女性が選挙運動をしているとのうわさがあり、選挙運動についての考え方を伝えただけ。辞職を迫る趣旨の発言ではなかった」と説明。労働時間の短縮などについては「契約条項をクリアしており問題はない」としている。 岡部村長は「女性を怒鳴った記憶はない。退職は職場でのけがが主な理由だと理解している。このような問題が起きたことは心外」と話している。 選挙をめぐる労働トラブルでは、昭和町の嘱託職員2人が03年、「選挙中に反町長的な姿勢を見せたと言いがかりをつけて契約更新を拒否したのは不当」として、当時の町長らに損害賠償を求めて提訴。東京高裁は「名誉棄損的な理由で更新を拒否した」などとして町側に2人への慰謝料の支払いを命じる判決を出し、07年に最高裁で確定している。
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