高知県東洋町リコール事件 コメント
最高裁大法廷の判決について
2009年11月18日
東洋町長 澤山保太郎
一)今歴史的な最高裁の判決を厳粛な気持ちをもって受け止めました。
国民とりわけ公務員の参政権の重要な一角をなす直接請求権が正しい法令解釈によって確定されたものと考えます。
50年前の政府の行政実例やそれに基づく最高裁判例が間違っていて、地方自治法及び同施行令では公務員も基本的に請求代表者になる資格があることが認められました。
この点についてわが町の選挙監理委員会は法令の規定を軽んじ、安易に前例に従い、同じ過ちを繰り返して、本件上告人(原告)に対して大きな迷惑をおかけしたことを深く反省する必要があると思います。
二)しかしながら、地方自治法ではこの種事件は100日裁判で決着するという定めであるにもかかわらず、誤った第1審判決のおかげでリコール請求より1年半以上も経過し、確定判決が遅延してしまい、被解職請求町議は今ほとんどその任期(来年1月)を終了しようとしています。リコール請求の実質的な効果は大きく減殺されたというべきであり、今回のリコール請求者(上告人ら千数百人)である東洋町民に関する限り、当然の権利が実質上不当に奪われたのであるから、町としてはただ頭を垂れて謝罪をするしかないのであります。
三)今般の最高裁の判断が示すとおり、昭和29年の最高裁判例といい、また本件高知地裁(第1審)といい、法令解釈のごく初歩的な次元で間違いを犯したのであるから、その責任はあげて政府と裁判所にあり、極めて深刻かつ重大であります。
厳格かつ明瞭に規定された法令の解釈においてこれほどの間違いはかつてなかったと言うべきであります。
これらの誤りの因るところは、畢竟、過去の裁判所の国民の参政権への軽視、とりわけ公務員のそれに対する偏見にあるものと考えます。
まして、農業委員や各種審議委員など町や村の大勢の非常勤の公務員にまで政治活動(直接請求権)を禁圧することは、無用でありまた有害であります。
今後、我々は行政実務において法令解釈を厳正にし、憲法で保障された住民の政治的権利を最大限擁護することに意を尽くす所存であります。
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