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【放送芸能】

放送界全体で議論を バラエティー番組 

2009年11月18日 朝刊

 放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会(川端和治委員長)は十七日、テレビのバラエティー番組について意見書をまとめ、民放連に提出した。現状を「視聴者意見を見ると、相当数が不快感を持っている」としつつも、機械的な倫理基準を適用すれば「もっともテレビらしいジャンルを窒息させる」として、放送界全体で議論・検討することなどを訴えている。 (高橋知子)

 近年、バラエティー番組の内容について、視聴者から多数の不快感や嫌悪感を趣旨とする意見が同委員会に寄せられており、九カ月にわたって討議・審議を重ねていた。

 意見書は、イラストを添え「よーく考えてください」などと砕けた表現でまとめられた。「バラエティーが『嫌われる』五つの瞬間」=表参照=として視聴者の声を分類し、放送局・番組名を伏せ二十六の具体例を掲載。視聴者の反発を招いた要因として、制作者側との意識のズレなどを挙げた。

 また「放送倫理として放送表現に課せられた枠組みを四角四面に適用したのでは、バラエティーという表現形態の特性を殺してしまう」と理解を示した上で、シンポジウムの開催をはじめ、民放連の放送基準にバラエティーに関した項目を設定したり、放送基準とは別にバラエティーについての実効的な指針を作ったりすることが適切な場合もあると言及。ただ「意見をたたき台に現場の制作者に考えてほしい」としてそれ以上は踏み込まなかった。

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 「意見書を受け“べからず集”を作るのでは意味がない」。この日の会見で、川端委員長はこう話し「現場がより自由な表現ができるものを考えてほしい」と促した。

 放送の質向上・倫理について考える委員会が、個々の番組ではなく、バラエティー全体に対して意見することについて、漫画家の里中満智子委員は「バラエティーに対して抱いていた危惧(きぐ)が現実的なものになって、本来の役割とはちょっと違うが、こういう立場にいる責任感もあり意見をまとめることになった」と説明。「どの現場も大変だと分かる。仕事に誇りを持って頑張ってもらうためのエールと思って意見書を読んでほしい」と話した。

 また、作家の吉岡忍委員は、「視聴者もあるワンシーンだけを見て意見している場合もあり、意見のすべてが正しいとはいえない」と視聴スタイルや受け止め方の変化にも触れ、「視聴者に対しても『寛容さを持つ』という一言を意見書に入れた」と説明した。

 意見を受け会見した民放連の広瀬道貞会長は「バラエティーの意義を高く考えていただき、良いバラエティーを作るよう激励されたと受け止めた。放送基準審議会や小委員会、制作者レベルまで範囲を広げて議論を深めたい」と語った。

 

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