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【栃木】急患“たらい回し”防げ 搬送時間増で対策2009年11月18日
県内の消防本部が一一九番を受けてから患者を病院に救急搬送するまでの昨年の平均所要時間は三六・八分で、十年間で一〇・二分増えたことが分かった。病院の受け入れ拒否による“たらい回し”の増加が原因とみられ県は十七日、専門家による協議会を発足させ、消防と医療との連携を円滑化させるルール作りに乗り出した。本年度末をめどに救急患者の受け入れ基準策定を目指す。(小倉貞俊) 県消防防災課によると、昨年の救急搬送人数は約六万千人で、うち重症者は六千三百六十一人。三回以上受け入れを拒否されたのは重症者の5%を占める三百二十人(前年比三十九人増)で、年々増加傾向にある。 背景にあるのは、医師不足をはじめとする地域医療の危機だ。やけどを負った足利市の女性は「専門医がいない」などの理由で十二回拒否されたといい、救急現場で三十分以上収容先が決まらなかったケースは二百八十七件に上っている。 全国で社会問題化するこうした現状を受けて先月施行された改正消防法は、関係機関による協議会の設置を都道府県に義務化。消防・医療機関の連携体制を強化し、患者受け入れのルールを策定するよう求めていた。 十七日は、学識者や関係機関の担当者ら十九人でつくる「県救急搬送受入協議会」(会長・新沢敏章県医師会常任理事)の第一回会合が県庁で開かれた。今後は、患者の症状や緊急度別にした受け入れ可能な医療機関をリストアップするほか、たらい回しが起きた際の対応などを検討していく。新沢会長は「今ある県内の医療資源の中で、いかに有効な連携を図れるかを話し合いたい」と語った。
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