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漫画『ジョジョの奇妙な冒険 ~黄金の風~』に、こんなエピソードがある。ナポリのギャング・パッショーネのグループに、娘を殺された一般人の父親がありったけのお金を渡し、娘を殺した恋人の男性を始末するようお願いをするのだ。

話を現実に戻そう。イギリスのメディア『Mail Online』は、イギリス人女性リンゼイ・アン・ホーカーさんを殺害した犯人を見つけるべく、その父親が日本のマフィア、つまりヤクザと接触し、犯人探しの捜査を依頼していたと報道している。

リンゼイ・アン・ホーカーさんは日本で働いていた頃、市橋達也容疑者に殺害されてしまった。市橋容疑者は逃亡し、数年が経った2009年11月10日、大阪府内で身柄を確保され逮捕されるに至った。リンゼイ・アン・ホーカーさんの父親がヤクザに捜査を依頼した事が逮捕に繋がったとは思えないが、『Mail Online』はイギリス『チャンネル4』のドキュメンタリー番組の撮影のため、クルーと共に父親が来日。そこで父親は、ヤクザと接触を持ったとしている。

父親が語るには、バーで待ち合わせをした8人のヤクザたちは刺青をしているものの一般人と同じような格好をしており、挨拶のためウイスキー2本を差し出したという。しかしヤクザたちは「受け取れない」と言い、それを受け取らなかった。だが父親の「どうしてもあなたたちの力が必要なのだ」という気持ちが収まらなかったのだろう。「私は娘(リンゼイ・アン・ホーカーさん)から、人に会うときは贈り物をするのが礼儀だと聞いていた。これはそのひとつだ」と言い、ウイスキーを手渡したという。

その後、父親はヤクザの力を借りて渋谷で犯人探しのためのビラを配る事ができたという。父親としては、藁(わら)にもすがる思いだったのだろう。ヤクザというと我々はかまえて考えてしまいがちだが、父親の立場と心境を考えると、その行動を強く責める事ができるだろうか? 難しいところである。