オバマ大統領演説全文(日本語訳)〈5〉◆ミャンマー 自由と尊厳の希求は、すべての人の生き方を形作るものだ。人類には、考えを述べたり指導者を選んだりする自由や、情報に接する能力、望むような形で礼拝を行うこと、法の支配への信頼、公正な司法行政など、共有するいくつかの理想があるからだ。これらは安定を阻害するものではなく、安定の礎である。我々は常に、これら諸権利を求める人々の側に立つ。 例えば、ビルマ(ミャンマー)に対する我々の新しいアプローチを導いているのもこうした真理だ。ミャンマーに対しては、米国による制裁、他の諸国による関与のいずれも国民の生活向上にはつながらなかった。そこで我々は今、(軍事政権の)指導部との直接協議に乗り出し、民主改革に向けた具体的な措置がない限りは現在の制裁は継続することを明確に伝えた。我々は、統一され、平和的で繁栄し、民主的なミャンマーを支援する。ミャンマーがこの方向に進めば、米国との良好な関係は可能だ。 取るべき措置としては、(民主化指導者)アウン・サン・スー・チーさんを含む全政治犯の無条件解放、少数民族との紛争終結、政府と民主化勢力、少数民族が将来構想を共有するための真の対話がある。ミャンマー政府はこうした道をたどることで、国民のニーズに応え、国に真の安全と繁栄をもたらすことができる(拍手)。 ◆結び 米国はこうした措置を通じてアジア・太平洋での繁栄と安全、人間の尊厳を向上させていく。日本は常に、地域における米国の取り組みの基軸であり続け、米国は日本との緊密な友好関係を通じ行動する。私がきょう述べた関与の拡大を通じ、我々はパートナーとして行動する。米国は、この地域で人格の一部が形作られた大統領を持つ国であり、太平洋国家として行動する。米国は、50年近くにわたって日本国民との絆を導いた共通の目的意識を基に行動する。 こうした絆の形成は、前世紀半ば、太平洋地域の戦火が鎮まったしばらく後にさかのぼる。日本がその後、世界が目にした中で最も速くて力強い経済成長、いわゆる「日本の奇跡」を果たしたのは、国民のめざましい回復力と勤勉さに加え、日本の安全と安定に対する米国の関与があったからだ。 この奇跡はそれから数十年間の間に地域全体へと拡大し、たった1世代で数百万人の生活と運命が、永久に良い方向へと変わった。こうした進歩は、ようやく手にした平和によって支えられ、拡大を続けるこの巨大な地域の国々を束ねる、相互理解という新たな懸け橋によって、強化されてきた。 米国は、今後もなさねばならない任務がまだあることを知っている。科学技術の急発展が、太平洋の両岸での雇用創出や地球温暖化からの安全保障につながるために。危険な兵器の拡大の流れを逆転させ、分断された半島の南側の人々を恐怖から解放し、そして北側の人々を欠乏と無縁に生きられるようにするために。若い女性が、その肉体ではなく精神によって評価され、あらゆる場所にいる若者たちが能力と意欲と選択次第でどこまでも伸びていけるように。 いずれも簡単に実現できることではないし、挫折や苦難もあろう。だが、奇跡を果たしたこの地域の歴史は、(世界の)再生の時代において、こうしたことが可能であることを我々に示している。これこそが米国の基本方針であり、日本や地域の国々、国民との共通の目的なのだ。明確に述べておきたい。太平洋地域出身の初の米国大統領として、私は、この太平洋国家(である米国)が、死活的に重要なこの地域における指導力を強化し、持続させていくことを約束する。 ありがとう(拍手)。 (2009年11月14日23時04分 読売新聞)
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