魁皇８００勝！１位千代の富士まであと７勝…九州場所３日目

意気揚々と支度部屋に戻る魁皇

　◆大相撲九州場所３日目　○魁皇（小手投げ）把瑠都●（１７日・福岡国際センター）　今場所で史上１位の幕内在位９８場所に到達した大関・魁皇が関脇・把瑠都を破り、幕内通算８００勝を飾った。必殺の小手投げで１９７センチ、１８４キロの巨体をねじ伏せた。あと７勝で史上１位の千代の富士に並ぶベテラン大関がご当所場所で新たな金字塔を打ち立てる。朝青龍と白鵬の両横綱はともに安泰。３日目を終えて全勝は両横綱と大関・琴欧洲、平幕の嘉風と高見盛の５人だけとなった。

　ふるさとの声援をバックに魁皇の必殺技がさく裂だ。立ち合いで右に動くと、流れるように把瑠都の左腕を小手で投げ捨てた。節目の幕内８００勝は幾多の力士を病院へ送った魁皇スペシャルだ。「あんなふうになるとは思っていなかった」。千代の富士、北の湖に次ぐ史上３人目の８００勝の大台到達にも浮かれない姿勢に３７歳の味がにじみ出た。

　史上１位の幕内在位９８場所に到達した今場所。自らが築いた歴史は「周りで応援してくれる人がいたから」と周囲へ感謝した。「自分だけの力では果たせなかった」とも言った。中でも胸に響くのがふるさと・福岡県直方市の激励だ。郷土の熱気が今年は格別だ。場所後の１２月９日に直方市で巡業が開催されるのだ。

　実行委員会は「大関の年齢を考えると、今回が現役で帰ってくる最後かもしれないので悔いのないよう開催したい」と話す。ＪＲ直方駅前にしこ名が入った１５本ののぼりが飾られた。１６日から市内の幼稚園児らが作製した１５枚のタペストリーが商店街を彩っている。地元の高校は「魁皇１号、２号」と命名した着ぐるみを作製しＰＲに汗を流している。まさに市を挙げて魁皇の凱旋を待望。両腕、両足、腰に負傷を抱え傷だらけ。それでも「昨年のように休場はできない」と決意。すべてはふるさとの期待を肌で感じる責任感だ。

　節目の８００勝。武蔵川理事長（元横綱・三重ノ海）は「すごい。けがを抱えながらでたいしたもの」と絶賛した。実行委員会はさらに熱い声を上げる。「通算勝ち星でも千代の富士の１０４５勝を超えて前人未到の領域までがんばってほしい」。「こうなったらやれるところまでやる」と魁皇。３７歳の戦いに終わりはない。