政府税制調査会は17日、10年度税制改正の本格論議に入った。所得税の諸控除のあり方では、公立高校の授業料の無料化との関連で特定扶養控除の圧縮を検討対象とするかどうかをめぐり、異論が相次いだ。
1人あたり63万円の特定扶養控除は現在、16〜22歳の子供が対象となっている。古本伸一郎財務政務官は授業料無料化との関連で「高校生に限定してのあり方を議論してはどうか」と提起した。しかし中川正春文部科学副大臣は「総選挙で高校生以上にはお金がかかるから(特定扶養控除には手を付けない)と説明してきた。その辺の議論なしに出てきたのは問題だ」と指摘した。
税調の議長役の一人の渡辺周総務副大臣も「(見直しを)やるなら参院選のマニフェストで国民に言ってからでないと、だまし討ち的なやり方になる」と述べた。
また、「子ども手当」との関連で廃止を検討する扶養控除(1人あたりの控除額38万円)については、阿部知子社民党政審会長が「控除廃止の対象は15歳までか」と質問。古本政務官は「23歳から69歳までも視野に入れている」としたうえ、「障害者の皆さんについては現行控除を存続させてはどうかと考えている」とした。
このほか、租税特別措置(租特)の効果を検証する租特透明化法案の骨子も示された。租特の適用額などを記した明細書を企業に出させる仕組みだが、経済界に批判が強い企業名と適用額の公表は賛否が分かれているため結論を先送りした。