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筑波メディカル病院・術後死:7600万円支払い命令 粘り強い追及実る /茨城

 ◇遺族「医師らしく罪認めて」

 「原告勝訴が難しい医療過誤訴訟で、今回は全面勝訴だ」。卵巣腫瘍(しゅよう)摘出手術後、腹腔(ふくこう)内の大量出血で死亡した坂東市の小林佳子さん(当時25歳)の遺族が筑波メディカルセンターと執刀医2人を訴えた損害賠償訴訟で、病院側に約7600万円の支払いを命じた水戸地裁土浦支部(犬飼真二裁判長)の判決について、担当弁護士は勝利の重みをかみしめるように強調した。「勝訴」を導いたのは、病院側説明や記録の問題点を突き、証拠の信ぴょう性を揺るがせた、粘り強い追及だった。【橋口正】

 小林さんは02年6月28日午後2時40分ごろ手術を終え、9時間後の午後11時半、心肺不全の状態に陥っていた。司法解剖の結果、腹腔内に2リットルもの大量出血が確認された。

 訴訟で病院側は、同11時ごろは「異状はなかった」と主張し、わずか30分の間に2リットルもの出血があったと説明していた。

 これに対し原告の千葉憲雄弁護士らは、産婦人科分野の臨床研究で実績のある金沢大学の打出喜義講師に意見聴取を行い、「大動脈破裂でもない限り、大量出血は考えられない」という証言が得た。

 原告側は「看護師のノートは改ざんされた可能性がある」として、午後11時の所見記録を記した看護師の証言を要求。口頭弁論で看護師は、ノートの記載は小林さんが死亡した翌29日の昼ごろ「清書した」もので、28日夜に書いたのではないと認めた。これが病院側の証拠を打ち崩すきっかけになった。

 小林さんの父・真二さんは判決後の会見で「病院の管理は、あまりにもずさん。医師なら医師らしく自分の罪を素直に認めてほしい」と厳しい表情で語り、「命を返してもらいたい」と訴えた。

毎日新聞 2009年11月17日 地方版

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